第1095号 性教育の準備
こんばんは。パピーいしがみです。
いきなりのタイトルで驚いたか、と思います。
この「性」について、私のメルマガでは登場することが少なくて、いつかお話ししなければならない、とは思っていました。
もちろん個別の相談では現実に問題は起きていますし、お返事もしてはいるのですが、メルマガにしてお知らせすることは(プライバシーもあるし)ちょっと難しかったのですね。
そしてどんどん先伸ばしにしてきたのですが、ここにきて「急いでお伝えしなくちゃ」と強く感じるようになりました。
というのも、このコロナ禍で、中高生の妊娠や性病に関する相談が急激に増えた、と知ったからでした。
学校が休みになって時間が増えた子供たちが、軽はずみな行動をとってしまい・・・
その結果、親にも相談できなくて、NPO法人を探したり、“赤ちゃんポスト”で有名な熊本市の慈恵病院にたどりついたり、そんな相談が多くなったのだそうです。
顕在化しているだけでもかなりの数ですが、まだ誰にも話せず悩んでいる子は、その何倍もいると思われます。
それら相談先では、コロナが始まってからの相談が、その前の月に比べて3倍に増え、通常2割程度だった10代の相談が7割を占めた、という事でした。
なぜでしょうか?
専門の相談者が口を揃えて言うのは「性の知識が乏しいから」です。
私たちが性に興味を持った頃。大っぴらにそんな情報を得ることができず、手に入れる情報はティーン雑誌で、ほんのわずかでした。
ところが今は、ネットで検索すればあふれるほど出てきます。
それも動画やサイトは、興味をそそる部分だけにフォーカスされ、過剰な演出や嘘の情報ばかり。
興味がある上に、刺激的なシーンを何度も見ているうちに間違った情報がどんどんインプットされ・・・
結果的に、望まない妊娠をしたり、中絶することになったり、詐欺、性犯罪・・・と、子供たちが巻き込まれる事件も実際に起きています。
だから子供が検索して嘘の情報を取り入れる前に、親が正しい情報を正しく教える必要があるのです。
でも「なぜ、親が教えなければならないの?」と思うかもしれません。
これは実に残念なことですが、日本は性の分野について、とてつもなく遅れていて、学校ではほとんど教えてはくれない。
だから親以外に教えられないのです。
いえ、先生が悪いのではありません。
必要だと感じている先生は沢山いるのに、学習指導要領で制限されていて「教えたくても教えられない」という実情があるのです。
(必要を感じ、性の授業をした先生と、それを許可した校長先生が訴えられ、裁判にまでなった事例もあります)
ネットやスマホはどんどん進み、環境はこんなに急激に変わっているのに、制度が全く追いついていかない。
だから「学校任せにしておけない」のです。
ただ「性教育をすることで余分な知識を与えてしまうのでは?」とお考えの方も少なからずいらっしゃることは確かです。
では性教育は必要なのか必要ないのか?ですが、それを証明する数字があります。
アメリカでは1990年代、10代の妊娠率はなんと11.7%でした。
ところが懸命な性教育を実施したおかげで今は2.7%まで下がったそうです。
努力している国はとても多く、オランダではわずか0.5%。スイス・フィンランド・ドイツ・・・各国で効果が表れています。
日本でも少しだけ前例があります。
秋田県でも1990年代、10代の人工妊娠中絶率が日本全国平均の1.5倍はありました。
そこに危機感を感じた教育委員会が地元の医師会と連携し医師による性教育講座を県内の高校・中学で始めたところ、2011年には1/3まで減少しました。
国連の調査においても、適切な性教育を受けた子どもは『性行動に慎重になる』という事が分かっていますが、
性についてオープンにするのではなく「正しく教える」事が大事なんです。
が、日本ではほんの一部の地域だけであり、ほとんどの子供たちはその『必要な性教育を受けていない』のが実情なんですね。
でも、子育て中の方の多くが「私に性教育?できないよ!」と言われると思います。
例えばあなたのお子さんに「赤ちゃんはどうやって生まれてくるの?」とか「僕のおちんちん筋肉もりもりになっちゃった」と言われたら何と答えるでしょう。
実はそんな風に「初めて性について質問した時」こそが、性教育を始めるベストタイミングなのです。
これは、テキストでもお願いしていますが、そんな時、絶対にしてはいけない事は
「そんな事知らなくていいの!」と怒ってしまうことや、ギョッとしてドギマギしてしまうことです。
また「こうのとりが運んでくるんだよ」とか「キャベツの中から生まれるんだよ」のように嘘を言わない事。
子供は何の疑いもなく、とても素直な気持ちでお母さんに聞いてくるのですから、
その時に「知らなくていいの」と怒ったり、ギョッとした顔をすると、それだけで子供は「あ、この事については触れてはいけないんだな」と察知します。
又、こうのとりの話や、キャベツから生まれてくるなんておとぎ話は必ず「嘘だった」と分かる時が来ます。
そして「触れてはいけない事」と悟った子供や「本当の事を教えてくれない」と知った時は、その後一切親に聞くことなく、黙ってネットで検索をするようになるのです。
中には「お母さんは今まで何回セックスしたの?」とまるで「今日のご飯は何?」と同じテンションで聞かれた・・・そんな方もおられます。
純粋な疑問から生まれる、そのような質問が、いきなり子供の口から飛び出してくるのです。
そんな時、なんと答えるでしょうね?瞬時に返答ができるでしょうか?
「う~~~ん」考えちゃいますよね。当然です。
私たちはその時が来る、と知っていて、準備をしておかないと、そんな場面に直面した時、正しい返事が難しいのです。
だから、まずは「性教育は必要だ」と分かって頂く事。
そして、子供がまだ小さいうちに、必ず起きる純粋な質問の答えとして準備をしておいてもらいたいのです。
ちなみに私の場合は、お兄ちゃんが昆虫・動物好きで、最初に教えた性に関する言葉は「交尾」でした。
お兄ちゃんが「交尾」の言葉を使うようになった時、3歳のお姉ちゃんも知っていたし、1歳の妹にも「交尾」は普通に家庭内ある言葉でした。
当然「お父さんとお母さんも交尾したの?」という質問がありました。
もちろん平気な顔で「そりゃしたさ。でなきゃあなた達は生まれてないよ♪」と返しました。
でもそれは「そんな質問が必ず来る」って知っていたから。
そして「その時は、嘘をつかずに平然な顔をして返事をする」と決めていたからした。
では「僕のおちんちん筋肉もりもりになっちゃった」と子供が言ってきたら、何と答えますか?
「そんなもの、見せるもんじゃありません」なんて言ってしまいそうですよね。
何の疑いもなく、とても素直に、自分の体の変化を「見て~」と言ってきた子です。
でしたら焦ることなく
「ほんとだ。でもね水着や下着で隠す部分は“水着ゾーン”と言って、大事なところだから、人に見せたり、人のを見たりしてはいけないんだよ」と言ってほしいのです。
親が冷静に対処することで、おちんちんが固くなったり、大きくなることも「あ、普通の事なんだ」と変な意識を持つことはありません。
又、そうやって“水着ゾーン”を教えておくと、例えば「お母さんは今まで何回セックスしたの?」と突然言わた時も、こんな返しができます。
「水着ゾーンの事は、親であっても人には言わないんだよ。でもあなたたち(姉弟の二人の子がいる家庭)を生むためには2回はしたね」(産婦人科医師 高橋幸子氏談)
準備をしておけば、嘘偽りなく、そして焦ることなく、堂々と返事をすることができます。
「赤ちゃんはどうやって生まれてきたの?」についても、
「お母さんにはね、1か月に1回、赤ちゃんの卵が作られるの。その赤ちゃんの卵は“卵子”っていうんだけど、その卵子にお父さんの精子が届いて、そこからお母さんのおなかで大きくなるんだよ」でいいんです。
分かろうが分かるまいが、正しい事を、普通の質問に応えるのと同じ態度で答える。それが大事なんです。
そんな話から、お母さんには1ヵ月に1度、生理が来ることも教えられるし、その時は体調が悪かったりイライラしやすい、という事も教えられます。
もっと専門的な事や、それ以上に興味を持ったら「お母さんもわからないから、今度一緒に勉強してみよう」でいいんですね。
ただ、気を付けてほしいこは「このように“子供が聞いてくるチャンス”は一度しかない」という事です。
その“たった一度のチャンス”で怒ったり、ドギマギして失敗すると、子供はもう聞いてこなくなってしまい、ネットで嘘の情報にまみれる、という事です。
なので、そのチャンスに向けて準備をしておくことと一緒に、子供がまだ質問をしてくる前にお風呂に入る時など“水着ゾーン”などについて教えるようにしてほしいのです。
とは言っても・・・多くのお母さんたちにとって、今回の話はちょっと衝撃だったと思います。
「えっ、子育てってそんな事もやるの?」と思った方もおられると思います。
性については、あまり表に出てこない部分(子育て本でも紹介されない)なので、
突然な事に感じ、大きなハードルに思われるかもしれませんが、
性もお金の貯め方・使い方を教えるのと同じで、学校では教えてくれません。
挨拶も同じこと。思いやりを教えるのだって同じ。学校で理解できなかった勉強を家庭で教える事も同じなんです。
そう考えていただくと「あ、そうか・・・」とお分かりいただけると思うのです。
結局は『親が意識するかどうか』なのです。
それでも、最初はまだまだ抵抗があるでしょうし「どう話したらいいんだろう?」と思うでしょう。
突然「私が教えるの?」と思ったら頭もごちゃごちゃですよね。
そんなお母さんには是非、読んでいただきたい本があります。
それは「お母さん、学校では防犯もSEXも避妊も教えてはくれませんよ」という本です。
タイトルはとてもショッキングですが、でもまったくの事実で、何の脚色も誇張もされていません。
その位、私たちは性についての『現状を知らない』のです。
上記の本には“水着ゾーン”も出てきますし、何より性について『親の考え方』を変えてくれる本で、私は是非一度は読んでいただきたいと思っています。
ただ、その中に書かれていることは、性教育の始まりから緊急避妊ピルまで、情報は満載ですので、今の子供に合わせてどう教えたらいいか?はわかりにくいです。
私の今回のメルマガで「性教育の必要性はわかった。でもその進め方はわからない」と思われる方は、
性教育を積極的に推進されている産婦人科医師・高橋幸子氏が制作にかかわられた「性の絵本」を子供一緒にお読みになることをお勧めしたいです。
この「性の絵本」の何が素晴らしいか?というと、内容はもちろんの事。書かれているすべて(イラストも文章もレイアウトも)を先に確認しておくことができるからです。
ですから子供の年齢や知識に合わせて選ぶことができて、間違いがないのですね。
そんな「性の絵本」は理解順に6つに分かれています。
最後の「性の絵本6」は、望まない妊娠や、避妊に失敗してしまった場合について。(かなり知識がある子向け)
「性の絵本5」では自慰のやり方。
「性の絵本4」では実際の性交や避妊の仕方、性的同意についてもで出てきます。
非常に内容の濃いものですから、全部を教えようとすると、子供が(親も)付いていけなくなります。
子供の成長に合わせて「性の絵本1」から、一緒に親も学ぶつもりで1冊を時間を掛けて読んで頂くといいと思います。
大人であっても、知らなかったこと。初めて聞くことが一つや二つではないと思いますし、
女性は男性の性について「そうだったの?!」と初めて知る事が有ると思いますし、男性でも「もっと早く知っておきたかった」と感じることがあるはずです。
そんな「性の絵本1」では、まず男性と女性の違いについて書かれています。
そして赤ちゃん(自分)が生まれるまでの事が書かれており『そうやって生まれたあなた自身はとても大切な宝物なんだよ』と教えてくれています。
その上で、水着で隠れるところは大事なところ。という事。
好きな友達がいても、いきなり抱き着いたりしたらびっくりさせてしまうからいけないよ、という事。
人との距離感についても教えてくれています。
「大事なところを触ってはいけない」とは言っても、悪いことをしようとする人もいるから、嫌な気持ちだったら大声を出したり、逃げていいんだよ、ともあります。
決して性だけの事ではなく、親が「説明が難しいけど教えておきたい」と思うことまでイラストと短い言葉で簡潔に説明されているのですね。
この「性の絵本1」だけでも、とても大事な事がぎっしり詰まっていて、どんな絵本よりいいかもしれない、とさえ私は感じています。
「性の絵本」は下記のホームページで見ることができますので、じっくりご覧になってください。
https://seinoehon.jimdofree.com/
もちろん、図書館などにお願いすれば(取り寄せもしてくれます)無料で読むことができます。
が、私は子供の成長に合わせて、1冊づつ、ご購入されて、子供がいつでも読めるようにしておくといいのでは?と思いますが、どうでしょうか?
そしてすでにお子さんが小学校高学年、中学生・・・になってしまっている場合、性教育をしようとしても、子供は素直には聞いてくれません。
そんな年頃のお子さんがいらっしゃるご家庭では、この「性の絵本1」と「性の絵本2」をトイレにそっと置いておくといいかもしれません。
思春期の子供は、顔には出しませんが、絶対に興味があるのです。
特に女の子には初潮が始まるなど、現実問題として自分の体に変化が起きてきます。なので必ず知りたいことなのですね。
でも親から直接聞くのは照れくさい。
そこでもし、トイレにスッとおいてあれば、落ち着いて何度も読み返すわけです。
ちなみに「性の絵本2」は、ジェンダーの事。自分も人も大事にする事。それから「愛し合うって何か?」という事も教えてくれます。
そして何より教えておきたい、ネットでの性被害。近寄ってくる危険な人物についても説明しています。
もちろん、先のサイトで何が書かれているか、しっかり確認してから必要か否かをご判断くださいね。
誰もが知っていてほしいこと。
子供たちが正しい知識を得て、自分で判断して自分を守れるように、是非、性教育の準備をお願いしたいと思います。
※このメルマガ「幸せなお母さんになる為の子育て」では、会員さんの喜びの声、子供たちの成長、家庭内のうれしい変化などを募集しています。よろしかったらご報告くださいね♪
★★★ 通信講座「幸せなお母さんになる為の子育て」★★★
【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。