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第1107号 エコラリア

パピーいしがみです。

エコラリア』ってお聞きになったことはあるでしょうか?

この『エコラリア』は、自閉症のお子さんによくある特徴で、

こちらが言った内容をそのまま繰り返したり、コマーシャルの言葉を繰り返すような症状です。

過去、私へのご相談を頂いた中で、幼稚園で先生にとてもきつく叱られ、友達からもバカにされてしまった子が、

突然、車掌さんのアナウンスを延々と繰り返すようになり、「やめなさい」と言えば言うほど続ける・・・という事が起きた事例がありました。

そのお子さんも非常に繊細なお子さんで、幼稚園の先生の強い叱責と、友達の言葉で強い不安状態に置かれてしまったことで

「車掌さんのアナウンス」を呪文のように唱えて、一つの現実逃避をしていたようです。

今回、パディントンさんから、ちょっと似たメールを頂きました。

パディントンさんの息子さんは、下に弟さんがいるのですが、弟さんが生まれた時に、かなり強い赤ちゃん返りをしたそうです。

そしてこんなご相談を頂いていました。

ココから・・・

相談したいのは、長男についてです。

長男は次男妊娠の頃から赤ちゃん返りをしていました。かなり強力な赤ちゃん返りだったと思います。

その頃パピーさんが書かれた何かの記事を読んでからパピーさんのメルマガや教えを頂くようになり、私も一緒に勉強し傷つきながら成長している途中です。

次男出産直後は、それまでなかったおねしょ、頻尿、お漏らしが出て、うんちを漏らすことが続いた時もありました。

赤ちゃんの次男を蹴ったり押し潰したりすることもありました。

夜寝ているとき(半分寝ていたと思います)「嫌だ嫌だ!」と叫びながら暴れ、私を強く叩いたり蹴ったりして私の足がアザだらけになったこともあります。

いつもはそんな乱暴なことは絶対しない子です。

ちなみに赤ちゃん返りをするまでは、本当に落ち着いていて、理解力がよくて、自分のやるべきこと(食事やお支度など)を集中して淡々とできる子でした 。

言われたことができるだけでなく、遊び方も独特の創意工夫ができました。

赤ちゃん返りの症状がひどくなると、自分が責められているようでもう長男に接するのが苦になることもありました。

そして今の長男の様子ですが、

1)何か聞かれてもただひたすら押し黙り、何を聞いてもはっきりしなくなることがあり、頷いたり首を振ることもしなく(できなく?)なります。

叱られている時が多いですが、叱っている訳ではないときまでそうなるケースもあります。

何かを確認したくて「○○なの?」と真剣に聞く時にもなり、保育園でもあるそうです。

いつもはおしゃべり過ぎるくらいなのに、一旦こうなると「怒ってないよ、どっちなのか教えて」と優しく言ってもダメなのです。

後で聞いてみると「泣くのを我慢していた」とか「言葉が出なくなる」とか色々理由を教えてくれることもありますが、良く分からない場合もあります。

親の私達もかなり短気ですが、頑張って忍耐強く待っても絶対に話さないので、ついに頭に来て怒ってしまいます。

特に夫は「黙ってればやり過ごせると思ってるんだろ」と詰め寄ります。

別の時に私自身も堪忍袋の緒が切れて「言わないと分からない!」と大きな声を出してしまうことが多いです。

「後で落ち着いたら教えて」や「手紙に書いて教えて」などの方法で平和に解決することもありますが、

それも必ずうまくいく訳ではなく、良く分からなかったりモヤモヤすることもあります。

夫の言うように長男が「黙ってればやり過ごせる」と思っているとは思いませんが、事実や思っていることをちゃんと伝えられるようになって欲しく、

どうしてそうなる(押し黙る)のか、何にそんなに苦しんでいるのか知りたいですし「何か言ってくれ!」という感じです。

またそうなった時の接し方が誤っているなら正さねばと思っています。

怒鳴ったり大きな声を出すことは良くないのは分かっているのですが、何も言わない状態を肯定して良いのかどうかです。

言わないと伝わらないということは毎回まだ怒ってしまう前に落ち着いて伝えていますが、頷くなどの反応がなくてイライラしてしまいます。

無反応なことは責めてもいけないのかもしれませんが、容認することはどうなのでしょうか。本当に分かりません。

そして、

2)話をしている時、ご飯を食べている時、手いたずらがひどい。

何かを触り続けたりいじって、結局床に落としたりして怒られる、ということを毎日のように繰り返す。

空想の中、自分の世界に入ると言うか、まさに心ここにあらずという感じに良くなります。

ある程度は必要なことだと思いますが、人が話しかけているとき、ご飯を食べている時は集中して欲しいと思っています。

テーブルの上の何でも、ティッシュの箱でも、たまたまあったペンでも、自分のおはしや食器でもなんかぶつぶつ言いながらいじって、やめなさいと言っても聞こえてないのか無反応。

大きな声で言ってやっとちょっとはっとしますがすぐにはやめずやり続け、結局テーブルから落としたりひどい時はお味噌汁やお茶をこぼしたりします。

こうなり出したのはまさに前述の赤ちゃん返りからなので、

パピーさんの記事で、こどもと目が合わなくなったら、言い過ぎのサイン、もう親の声が雑音になっている、というのは読んだ当時かなりはっとさせられて、

できる限り小言を減らし多少のマナー違反にも目をつぶるようにしたのですが、まだまだ多すぎるのですね。

私よりも夫が音をたてたりクチャクチャ噛んだりにものすごいうるさくて、不快感を全面に出すのです。

我慢の臨界点が人より低いとは思います。

私がいくら目をつぶっても、夫がすぐ不機嫌になるので、それをされたくなくて私が言ってしまうこともあり、徹底はしてこれなかったと思います。

夫にも、こういう記事があったよ、と、親の声が雑音になっている話しはして、一応聞いてはくれましたが、

いざこどもにイライラし出すと、「こういう時は存在を無視すればいいの?」と私に詰め寄ります。

赤ちゃん返りをし出したときは保育園の園長にも呼ばれて「まだまだ甘えさせる時期だから、マナーとか挨拶とかはもう少し大きくなってからでいいから、たくさんたくさん甘えさせてあげて」と言われ、

できる限りそのようにしてきたのですが、もうすぐ小学校に入るという時期になってしまい、全然良くなってない、ひどくなっているところもある、と心配です。

とくに返事と挨拶は大切だよ、とよく伝えていますが、ハキハキとはできない状態です。

怒ったりはせず「どうして?」と聞くと「恥ずかしい」と言います。

自分が話したいことだとハキハキしゃべることもできます。ただ、あまり相手の話をしっかり聞いていない気もします。

又、3)不快な音や声を繰り返し出す、マンガやドラマやCMの台詞を暗記していて同じシーンを繰り返し再現する。

ある程度はやらせておくが、あまりにもしつこく、夫か私がうるさいと言ってしまう。夫の方が我慢できずすぐうるさいと怒ります。

2)と、似ているのですがこれもどこまで許すべきなのか、迷っています。

こどもの空想の世界を大切にした方が良いとは思いますが、同じセリフを本当に信じられない位何度も何度もリピートしたり、嫌な音をたてたりして、

前述の夫が我慢できるわけもなくイライラします。

確かに他人には迷惑に感じる人もいるということは知ってもらうのは良いかもしれないとも思いますが、家でくらい好きなようにさせたい気もあり、

ただ、正直私も不快になることは事実です。

また、次男が泣くときは大声で長時間泣くので夫との会話が妨げられ、更に長男がそういう感じで本当に家の中が不機嫌で溢れることが多く、辛いです。

(後略)

ココまで・・・

という内容でした。実はパディントンさんには以前にもメールを頂いており、

ご自分で「後から後悔するような怒り方をしてしまうことがある。ヒステリックに怒鳴ってしまうのは、ほとんどパニックのようになっている時」と分析をされていました。

パディントンさんは「理解不能!考えれば分かるでしょ!」と言ってしまう、との事でした。

そして今回の長男さんの様子をお聞きした時、これはまずいぞ・・・と長男さんのSOSを感じました。

そしてこんな風にお返事したのです。

ココから・・・

長男さんの事で、お悩みのようです。

妊娠されたぐらいから、長男さんの赤ちゃんがえりがすごかった・・・とありましたが、かなり激しい赤ちゃん返りだったことが分かります。

そしてそれまでは「本当に落ち着いていて、理解力がよくて、自分のやるべきこ と(食事やお支度など)を集中して淡々とできる子でした 」と書かれていたように、とても優秀なお子さんだったみたいです。

でも今は・・・次男さんが生まれる前よりも問題が多くなったとお感じみたいですね。

「何か聞かれてもただひたすら押し黙り、何を聞いてもはっきりしなくなることがある。頷いたり首を振ることもしなく(できなく?)なる」

「話をしている時、ご飯を食べている時、手いたずらがひどい」

「不快な音や声を繰り返し出す、マンガやドラマやCMの台詞を暗記していて同じ シーンを繰り返し再現する」

という事があるようです。

お話を聞いて、まず私が感じたのは「この子は、かなりナイーブなお子さんなんだな」という事でした。

というのもそれがとても顕著に出たのは、やはり赤ちゃん返りです。

私もいろいろ赤ちゃん返りの状況をお聞きしていますが、その中でも、相当頑固で強いものだったと思います。

どうやら赤ちゃん返りは出産前からあったようで、お母さんの体調の変化や「なんか今までと違う」という事を感じ取ったのかもしれません。

そこまで敏感なお子さんだとしたら・・・とても納得できるのが、

「何か聞かれてもただひたすら押し黙り、何を聞いてもはっきりしなくなること がある。頷いたり首を振ることもしなく(できなく?)なる」

「話をしている時、ご飯を食べている時、手いたずらがひどい」

の2つなのです。

と言うのは、「何か聞かれてもただひたすら押し黙り、何を聞いてもはっきりしなくなる」って、これはわざと黙っているのではなく、

「話せなくなってしまう」のです。声が出なくなっちゃうのですね。

パディントンさんは「場面緘黙」という言葉をご存じでしょうか?

これは家族以外の人の前では、全くしゃべれなくなってしまう症状なのですが、 実際にしゃべれなくなってしまう事ってとても多いのです。

もちろん「黙ってればやり過ごせる」と思っているわけではなく、固まってしまってできなくなるのですね。

決してわざとではないのです。

そして「怒られると怖い」という思いから「頷いたり首を振ることもできなくなる」場合があります。

そして、そういったとてもナイーブな子に良くあるのが、困った時のモジモジです。

「話をしている時、ご飯を食べている時、手いたずらがひどい」と書かれていましたが、この「手いたずら」がモジモジなのですね。

それも「ぶつぶつ言いながらいじっている」という事に、強い危機感を感じています。

そして「不快な音や声を繰り返し出す、マンガやドラマやCMの台詞を暗記していて同じシーンを繰り返し再現する」は、これって不安な気持ちを落ち着かせるためにやっているんですね。

例えば、自閉症のお子さんが、電車のアナウンスなどを何度も何度も繰り返している様子って見た事はないでしょうか?

映画やドラマの中で自閉症のお子さんや、成長された方を表現するのに、そんな仕草をさせたりするのですが、これを反響言語(エコラリア)と呼びます。

それこそCMだったり、ドラマのセリフだったり、さまざまですが、発達障害のお子さん、自閉症のお子さんによく見られます。

でも、以前にはなかったことだとすると長男さんが自閉症だったり、発達障害だとは考えにくく、だからこそ早めに専門医に見てもらう事が必要では?と感じたのですね。

そして今の状態になったのは「ナイーブな性格」もあったとは思いますが、その 後の厳しい叱責も関係しているんじゃないかな?と思います。

本来、健常者で生まれた子が、発達障害や自閉症になることはありません。

が、強い恐怖を感じていたり、厳しい叱責をされ続けた子は自信を無くしてしまい心配な行動を起してしまう場合はあるんですね。

それを考えた時、厳しい接し方が続いてしまって、長男さん、とても不安な状態なのではないかな?と思うのです。

今までできていたことができなかったり、黙りこくってしまう様子を見て「黙ってればやり過ごせる」とお感じかもしれませんが、

私は「わざとではない」「大きなストレスを感じている」「固まってしまっている」のでは?と感じています。

こういう場合、何より否定を止めて肯定を増やすことなのですが、

きっと今の長男さんの状況が理解できないと思いますので、発達支援センターに相談をなさったり、発達の専門医に診察をしてもらったりなさったらいかがでしょう?

が、まずはエコラリアをネットで調べてみてください。

そして早い段階で発達に関する専門医に診て頂いてほしく思います。

ココまで・・・

パディントンさんは、以前もパニックになって子供を叱ってしまう、という事が有ったり、

保育園の園長先生からも「マナーとか挨拶とかはもう少し大きくなってからでいいから、たくさんたくさん甘えさせてあげて」と言われていたのですが、

なかなかご自分のスタンスが変わらないようでした。

そこで、発達の専門医に相談してもらったり、発達支援センターに相談してみてほしい・・・とお返事をしたのですが、発達支援センターでとても腑に落ちるアドバイスを頂いたそうです。

こんな風にお返事を頂きました。

ココから・・・

(前略)

まずは住んでいる地域の発達相談窓口へ電話したところ、とても満足のいく対応をしてもらうことができました。

そして

・注意は短い言葉で。
・否定よりして欲しい適切な行動を示す(「○○するな」ではなく「△△するよ」など)。
・叱責と尋問を一緒にしない。

などのアドバイスも頂きました。

これらについては電話の後で夫と共有した時、夫も自分で
「尋問してたな」と苦笑いしていました。

パピーさんに言って頂いて初めて認識し、今回電話相談した際にも言って頂けて再認識したことでもあったのですが、

長男は非常にナイーブであるということ、(電話相談の方は敏感という表現でした)これに気づけたのはとても良かったと思います。

ちょうど叱責をやめると夫婦で決めた翌日、保育園にお迎えに行ったら、まさに何を聞いても話さない状態になり、一人で固まっていました。

一人で一点を睨みながら何かを耐えているようでなんだか痛々しく、思わず背中をさすりながらよしよしと言っていました。

「言わないと分からないよ」や「何があったの」は敢えて言わずにいたら泣き出しました。

これにはほっとして、「そうだよ、泣いていいんだよ」と、とにかく背中をさすりました。

ちょうど良い機会だったので、先生にも場面緘黙の疑いがあり、そうなった時は色々問い詰めないで、

(優しい言葉でも質問を重ねないなど)接して欲しいことを伝えました。快く理解を示してくださいました。

同じことを何度も繰り返し言うこと(エコラリア)については、この1ヶ月ほとんどなくなりました。

ちょうどエコラリアがよく出るようになっていたのが、引っ越し(家の購入)を検討し出して夫婦で大事な話をかなりの頻度でしなければならない時期だったことが思い当たりました。

次男も次々いたずらをして手がかかっていたし、長男は問題行動(不適切な行動?)が多くて叱責や注意が増え、割と険悪でした。

もし今後出たとしても、そのことを責めたり注意するのではなく、構って欲しいのか不安なのかなどを見極めてうまく気持ちを切り替えられるように誘導しようと思います。

何か話している時や食事中のモジモジはこの1ヶ月ありませんでした。おそらくそうなってしまうほど追い詰めてしまうことがなかったからだと思います。

いつまでもダラダラ、ボーッと、というのがとても減りました。着替えもいつの間にか終えていたりして、最近かっこいいじゃん!と言うと、

本人も「グラフにするとこんな感じ」と言って、右肩上がりの折れ線グラフを書いたりしています。

返事や反応がなかったり曖昧なのがずっと気がかりでしたが、最近は「お返事は?」と聞くと少々やけくそ気味に「はいー!」と言ったり、

不適切な行動時は理由を示してだからダメなんだよ、と伝えるとしぶしぶ「分かったよう」と言うようになりました。「分かったよう」の時は目は笑っています。

どんな形でも返事があるのがとても喜ばしく、よしよしと言っています。

ココまで・・・

長男さんのSOSが、ご両親に伝わって、本当に良かったです。

パディントンさんのご主人も言われていましたが「質問しながら尋問する」って、実は多くの方がされています。

ガンガン叱っている最中に「何考えてんだ!?」のように。追い詰めてしまうのですね。

子供は考えて行動はしていないので、このような答えられない言葉を投げかけられると、沈黙するしかないんですね。

でも、エコラリアも無くなったみたいですし、口ごもってしまうことも、ご理解いただけたようです。

何より「分かったよう」の時は目は笑っています、とか「グラフにするとこんな感じ」と言って、右肩上がりの折れ線グラフを書いたりしている・・・とあったように、

かなり気持ちに余裕が出てきた、と感じます。

以前の長男さんみたいに、天真爛漫にふるまえるように安心できる雰囲気づくりを、これからも気を付けてくださいね♪
   
   

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パピーいしがみ 人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。

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