第1114号 ケンカ仲裁をしない訳
こんばんは。パピーいしがみです。
今回のメルマガは「親が(兄弟)ケンカの仲裁をしない訳」という内容でお話させて頂きます。
以前、会員さんからのご相談のメールに「どうして兄弟ゲンカをしているのにお母さんは止めないの?」と長女さんに言われて、答えに困った・・・と頂きました。
ご相談を頂いのは、KOUさん。
KOUさんには、小学校3年生の長女さん、そして幼稚園年中さんの双子の男の子がおられます。
長女さんは、下のお子さんとは離れているので、ケンカにもならないのですが、
下の双子さんが、寄ると触るとケンカになって、泣きながら叩いたり蹴ったりしている、という事でした。
KOUさんは、2人のケンカが始まると、そのケンカに割って入り、どちらが悪かったのかを聞き、悪い方を謝らせたり、叱ったり・・・という事をずっとされてきたそうです。
でも、一向にケンカが無くならない。そこでご相談を頂いたのですが、
「兄弟ゲンカに介入するから無くならないんですよ」「自分たちで解決するように放っておけばいいんです」とお返事をして、その理由についてもお伝えしておきました。
ですが、お母さんがケンカに介入しなくなったら、今度はお姉ちゃんが介入するようになって、今までお母さんがやっていた同じことをする、というのですね。
そしてお母さんが「自分たちで決着がつくまでやらせてあげて」と言っても放っておくことができず、
「わたしだってこんなことしたくないよ!」「お母さんがケンカを止めようとしないからやってんじゃん」
「なぜ、お母さんは、ケンカを放っておくの?!」と言われ、娘さんが分かるような返答ができなかった、との事でした。
なのでここでもう一度、細かくお話させて頂きたいと思うのですが、
なぜケンカに介入しないのか、最も大事な事は、“兄弟ゲンカは今後の人付き合いにおいて、とても重要な練習になるから”なのです。
ケンカって、それだけを見たら「やめさせたい」と思われるでしょう。
うるさいし、ギャーギャー泣くし、何より兄弟でケンカしているその姿を見たくない、と思われる方がとても多いです。
又、幼稚園や学校では、友達同士がケンカをしていると「やめなさい」と言われますし、多くの方が「ケンカは悪いこと」と考えています。
ですが、人は自分の考えを持たなければいけません。
それが判断の基準になるし、イヤな事はイヤ!と言えることが自分を守る事になるからです。
(自分の考えを持たないでいると、常に誰かに指示されなければ動けない、そして自分一人では何をやっていいかわからない子になってしまいます)
そしてちゃんと自分の考えを持っているからこそ、人とぶつかりケンカになるのです。
「僕はこうしたい」「僕だってこうしたい」それが平行線になって、どちらかから手が出てしまえば、それがきっかけでケンカになります。
だからケンカになることはとても自然で、決して悪いことではありません。
そしてケンカができるってことは「自分の考えを持っている」という証明で、
なおかつ「ちゃんと言葉にできる」という事でもあるし、正しく成長しているってことなんです。
きちんと自分の考えを持ち、ちゃんとそれを発言できる事。その結果がケンカになっているのですね。
そしてケンカをすることで「叩かれたら痛い」「叩く方も痛い」という事を知り、ケンカを繰り返すことで力加減も学びます。
そしてこれもとても重要な事ですが、いつもそばにいる兄弟だからこそ「仲直り」の方法も学ぶのです。
その上、もし年が離れている兄弟であれば、上の子にガツンとやられることで「お兄ちゃんには叶わない」と年上への敬いの気持ちも抱くようになれます。
ちょっとばらばらとお話ししてしまいましたが“兄弟ゲンカは今後の人生において、とても重要な練習になる”について、もう一度確認しますと、
1)自分の気持ちを持ち、それを人に伝える練習(これが自分を守ることになります)
2)叩いたり叩かれたりしながら、それが痛いことを学び、力加減を覚えていく。
3)ケンカした後に「仲直り」をすることを学ぶ。
4)年上の人への敬意を学び、秩序を覚える。
という4つになりそうです。
この中で何より基本になるのは1番で、自分の気持ちを言葉にして“自分で自分を守る”事ができなければいけません。
又4番の「年上の人への敬意や秩序」もとても大事で、これは社会に出た時に絶対に役に立ちます。
もちろん「痛み」を知る事は大事ですし、「仲直り」が上手にできれば友達も増えるでしょう。
こんな風に「人とのコミュニケーション」を培う上で非常に重要な基礎が兄弟ゲンカに含まれているんですね。
だからただ単に「ケンカは悪いこと」「ケンカをするな」と短絡的に介入しないでほしいのです。
では先ほどの、双子の兄弟のケンカにお姉ちゃんが介入して「なんでお母さんはケンカを止めないの?」と言われたら、なんと言ったらよいでしょう?
私だったらこんな風に言うと思います。
「それはね。兄弟ゲンカをすることが、今後、子供たちが大きくなった時に必ず役に立つからだよ。
お母さんが間に入ってケンカを止めるのは簡単な事だけど、それをやってしまうと、二人とも自分達でなんとかしおうと思わなくなっちゃうんだ。
誰かが間に入る事が当たり前になってしまうと、誰かが入ってくれなければ仲直りできない子になっちゃうんだよ。
二人がケンカするのを見るのはイヤだろうけど、二人はケンカを通じてお互いの気持ちを知る勉強をしているの。
これ以上やったら危ないな、とか怪我をしそうだな、と思ったらお母さんが止めるから、それまではやらせてあげて」
とこんな感じでしょうか?
そんな風に言ってみたら?とお返事したのですが、その後娘さんが「お母さんの言っている意味が分かったよ」とその日にあったことを話してくれたそうです。
娘さんの言葉はこうでした。
ココから・・・
「お母さん、この前、なんで兄弟喧嘩を止めないのか聞いたけど、今日分かったよ。
クラスのA君って、すごいわがままなんだけど、この子が自分の思い通りにならないとすぐすねて泣くんだよ。
でも原因を作っているのは自分で、遊びのルールを自分がいいようにすぐに変えようとするんだ。
それで「それは違うよ。ずるだよ」というと今度は「みんなが意地悪する」って言うんだよ。
今日も自分が悪いのに、先生に告げ口したらしくて帰りの会で先生が
「A君がみんなから意地悪されたって言っていますが・・・?」と言うのでBちゃんが
「先生、それは違います。A君が自分に都合よくルールを急に変えようとしたから「それは違う。ずるいよ」と言っただけで、みんなが意地悪をしたのではありません」
と言ったら、A君、また泣いて。ずるいよね。泣けばいいと思ってる。
でも先生から「後でお話ししましょう」と言われたら、「どうせ・・・」とか「いつも僕ばっかり・・・」ってまた人のせいにしてた。
A君だって自分が悪かったら「ごめんね」って言えばいいんだよね。そうすれば仲直りできるんだから。
その時に「あ・・A君は仲直りをする練習をしてこなかったんだろうな、ってわかったの」
ココまで・・・
なるほど・・・娘さんなりに「仲直りができるようになる為にケンカへの仲裁はするべきでない」と理解してくれたようです。
KOUさんからは「ケンカの仲裁をすることは無くなったのですが、娘のこの解釈でいいでしょうか?」とご質問がありましたが、
娘さんはまだ子供を育てる段階に無いので、その理由がたった一つでも理解してお母さんに協力してくれたら、それでいいですよ♪とお返事しておきました。
そして娘さんがケンカの仲裁に入らなくなったら、下の子たちが変わってきたそうです。
KOUさんからはこのようにご報告がありました。
“ケンカの仲裁を止めたら、弟たちは決着がつくまでケンカをし、その後、笑って遊び始めたりして、「本当に仲裁なんていらないんだな」と思いました。
ある時は本人達が「なんで止めてくんないの?」と言うので、お姉ちゃんが「自分たちがケンカしたくてしてんでしょ。スッキリするまでやればいいじゃん」と言ったら、
「なんだよ。もういいよ。やめる」と言って、短時間で収まったりして、だんだんケンカの頻度が減ってきました。
なんか本人たちも止めてくれるのを待っているようなところがあったみたいです。私、今まで何やってたんだろう?って思っています(笑)”
って。
最後の「なんで止めてくれないの?」と本人たちが言い出した・・・というのは笑っちゃいますが、
案外、これが本音かもしれませんね。
「やめなさい!」と言えば言うほどやりたくなって「やりたいだけやりなさい」と言えば、自分たちで終わりを決められる。
一番近くにいる兄弟ですし、本人たちも仲良くするのがいいに決まっています。
こうやって自分たちでそこに気づいて、自分たちで止められる。それができるのなら、これが最高のプロセスだと思います。
「仲直り」も含めて、コミュケーションを高めるいくつもの基礎を持っている兄弟ゲンカ。
是非、見方を変えて見守るようになさってはいかがでしょうか(^^)
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【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。