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第1162号 魔法のカード

パピーいしがみです。

お正月が終わって新学期・・・と思ったらあっという間に2週間が過ぎてしまいました。

月日の過ぎるのは早いですが、今週は大学入試の共通テスト、そして今後は高校の入学試験があります。

受験生がいらっしゃるご家庭は、この時期本当に大変ですが、風邪やコロナにも気を付けて、万全の体調で試験に臨んでほしいです。

さて、今日のタイトルは「魔法のカード」としました。

「何のこと?」と思われた方も少なくないと思いますが、今後、誰もが必ずお悩みになる“お金”についてのお話しです。

「魔法のカード」と言ったのは、初めてSUICAカードを持ったある男の子が発した言葉です。

SUICAカードとは、ほぼ日本全国の電車で使える電子マネーなのですが、これら電子マネーは、コンビニでも自動販売機でも使えるようになっており、

現金が不要で、認証機にかざすだけで簡単に商品が手に入るというものです。

塾の行き帰りに便利なのでお母さんからSUICAカードをもらった小学2年生の男の子が、CMでやっていた「自販機でピッとかざすだけでジュースが買える」をやってみたところ、いとも簡単に買えてしまった。

そこで本人は「すっげー。これって魔法のカードだ」と感激。

それから毎日SUICAカードでジュースを買い、友達にも大盤振る舞い。

5000円をチャージしていたお母さんがたまたまチェックしたら、残りはほとんどなく、

調べてみると、電車賃よりもジュースの方が多かったという事が分かったのでした。

ですがこれって笑い話ではなく、今後はこういうケースがより頻繁になるでしょうし、もっと問題は大きくなると思います。

と言いますのも、日本では海外に比べキャッシュレス化が遅れている事が露呈され、ここ数年ものすごい勢いでキャッシュレス決済が増えていますよね。

SUICAカードはもう昔の話で、今の支払い方法の主流は、スマホになり、決済アプリは無数にあります。

そしてスマホを持つ年齢もどんどん下がってきています。

その為、お金の価値や付き合い方を学ぶ前に『簡単に購入する』ただそれだけを覚えてしまう傾向になっているんですね。

現金しかなかった時、子供たちはわずかの小銭を握りしめ、駄菓子屋に行って、手持ちのお金で何が買えるかじっくり考えながら買い物をしました。

高価なお菓子は買えなくても、安くていろんな種類のお菓子を選んだり、悩みながら考えながらの買い物をしたのでした。

昨年末に、芸能人が地元で大金を使う・・・という番組(それもどうかと思うけど)の中で、

駄菓子屋に来ている子供たちに、何でも好きなものを選ばせて、代金はその芸能人が払う・・・みたいなことをしようとした場面を見たのですが、

その時に、駄菓子屋の店主は「それはやめてくれ!」ときっぱり断っていました。

店主いわく、

「子供たちは限られたお小遣いの中から、何が買えるのかじっくり考えて、自分で選んでいる」

「駄菓子屋はただの販売業ではなく、子供達が試行錯誤をして考えて考えて結論を出す“教育の場”なんだ」と。

それを聞いて「すごいな~!ポリシー持ってんな~!」と感心しました。

そうなんです。

子供たちは、限られた金額の中で、自分の欲求と我慢を戦わせながら、ベストの選択をしているんですね。

それは本当に素晴らしい教育の場だと私も思います。

ところが・・・今はもうこんな駄菓子屋さんはどんどん減り、とても少なくなりましたよね。

そしてキャッシュレス決済が主流になってくると、その「考えて考えて・・・」も無くなり、

自販機のボタンを押して、スマホをかざすだけ。

コンビニで欲しいものをレジに持って行って、ピッ。

又は、ゲームの中で遊ぶためだけにのアイテムに数百円以上の課金。

もちろん、カードとは違い残金が表示されますし、数字上の限度額は分かります。

が、まだお金の価値や、貯め方、付き合い方も知らないうちに「使い方だけ」を知る事に私は大きな不安を感じるんですね。

『この子達にお金の価値は育まれるんだろうか?お金を得る事。貯める事。管理することの重要さが分かるだろうか?』と。

生活していくのに最重要ともいえる『お金』。

でも、その最重要課題について、学校では教えてくれません。もちろん今後も誰も教えてはくれないのです。

でもこれって実は気づいている方もいて「子供にお金の価値を教えなければ!」と緊急な必要性を感じている親御さんは増えています。

ただ同時に「でもどうやって教えたらいいか分からない」という方も多いのです。

そうですよね。私たちはお金についてほとんど教えてもらわずに大人になりましたから。

それでも失敗しながら学べる時間はありました。

ですが今、子供達にはその時間さえ無くなってしまっているのですね。

ところがありがたい事に「教え方が分からない」という声に“子供の為のお金の教室”が開催され非常に好評です。

一つは「キッズ・マネー・スクール」。

これは、主に入門編で、4歳~小学生低学年の小さいお子さん向けです。

お金の大切さを教える為に劇をやってくれたり、お店の疑似体験をしながら「どうしたらお客さんが来てくれるのか」を考えたり、

販売の体験が終わったら給料をもらって「人の役に立つことが報酬に繋がる」ことを体験したり。

又、親にも金銭教育の大切さ、お小遣いの渡し方などを座学で教えてくれたりします。

「お金の習い事」というものは存在しませんが、こういうイベントは今までは無かったもので、親子で参加して、親も勉強できる、という事が大きなメリットだと思います。

まだ各地で頻繁にスクールがあるわけではありませんが、要望に応じて近隣に住む講師が出向き開催してくれるようです。

(ちなみに私は、こういうイベントを地方銀行や信用金庫が主催すれば、企業もイメージアップと地域密着がセットで得られるし、将来のお客さんを増やせてWIN・WINなのにな、と思っているのですが・・・)

そしてもう一つの“お金の教室”のお勧めは「キッズフリマ」と言い、子供達だけで行うフリーマーケットです。(会場に親は入れませんが子供の様子を見る事は可能です)

これは現物のお金を使って、子供だけで実際にお金のやり取りをします。

商品は子供自身が持っている、使わなくなったおもちゃやぬいぐるみ、本や服など。

自分の持っているものに、自分で値段をつけて販売をします。

不要になったものをただ捨てるのではなく、それを欲っする誰かに売却することで『物に価値が生まれる事』も同時に学べるんですね。

ですから、そのマーケットに参加した子は、次に売る時の為に物を大切に扱うようになるなど、物に対する姿勢に変化が起きるのだそうです。

売り手も買い手も子供達ですから、販売側としての参加資格は金銭授受ができる事が条件で、小学校3年生~となっています。(お客さんは小学生以下で制限はありません)

もちろん場所だけを用意して「さあどうぞ」ではなく、NPO法人などがイベントを主催して、フリーマーケットの説明や売り方、準備(値札や釣銭など)の仕方を教えてくれます。

フリーマーケットは1時間位ですが、その前の準備と、商品売買。その後の片付けや計算。それらが全て学びの場になっています。

それが模擬店ではなく、実際の現金を使っての売買で「本気になれる」という事が最大のメリットなんですね。

この頃は銀行や大手スーパーが協賛してくれることが多くなり、都心だけでなく各地で開催されているようです。

子供達は、準備段階から頭を使って工夫をし始めます。

まずは値段付け。

誰でも「いくらでもいい」とは思っていません。できるだけ高く買ってほしい。でも値段に見合っていなかったら売れないかもしれない。

ですからきれいに洗って商品価値を高めたり、商品ポップを工夫したり、値札をつけて分かり易くしたり。

売り方も、セット売りのアイデアがひらめいたり、金額別で配置をしたり。もちろん大人のフリーマーケットからヒントを得ても良いのです。

子供たちは子供たちなりに考えて、他の子がやっている工夫を参考にすることも。

みんな自分の商品が売れるようにいろいろ努力します。それはそれは真剣に。

実際にフリーマーケットが始まると、お客さん(子供達だけ)が会場になだれ込みます。

「いらっしゃいませ~」の声掛けから「これは何ですか?」と聞かれての商品説明。

“お店屋さんごっこ”は多くの子供たちが経験済みですが、それが“リアルお店屋さん”なのですから本当に楽しいのです。

悩んでいるお客さんには値段交渉をしたり「おまけを付けますよ♪」と促したり。

もともと「お金の勉強」が主たる目的ですし、商品は全て「いらなくなったもの」ですから、ほとんどが10円単位のものばかり。

最初は緊張していた子供達も、次第に店員さん(相手も子供)にいろいろ質問したりして、どんどん活発に言葉を交わしながら買い物をしていきます。

大人のフリーマーケットでは親に付いてきて、つまらなそうにゲームに没頭している子供を見ますが、キッズフリマでは、ゲームで遊んでいる子など一人もいません。

なぜなら「自分が主役」だからです。

自分のものを自分が値段をつけて買ってもらう。その為に工夫や努力もし、品物が実際にお金となって成果を肌で感じる。

それはもう本当に面白くて「ゲームなんかで時間を無駄にするのがもったいない」となるのです。

特に私は「親がマーケットに入れない」というルールが素晴らしいな~と思います。

親が側にいると、親はどうしても手伝ってあげたくなってしまいますし、子供も親に相談したくなってしまう。

そうすると子供が自分で考える自由度が狭まり「子供が主役」ではなくなるんですね。

誰も親に手伝ってもらわずに、すべてを自分の裁量、自分の判断で運営できる。

だから面白いし、工夫もするし、困っても自分で何とかしようとするのです。

これこそが「教育現場」だと思います。

約1時間の売買が終わると、残った荷物の片付けと、何がどれだけ売れたか?の収支計算をします。

どんなものがいくらで売れて、合計いくらの売り上げがあったのか、出店料(数百円)など経費を引くとどれぐらいの利益が生まれたのか、

主催者がフリーマーケットの説明をする際に、収支計算書の書き方も教えてくれていますので、子供達は品物が売れた都度、何が売れたかを明細欄に記載しています。

それを片付けの時に計算をして、簡単な損益計算書を作るのですね。

それはもちろん今後の「お小遣いの管理」にも役立つでしょう。

キッズフリマとは、それらがパッケージとなっているイベントなんですね。

参加した子供達の親からは

「何にも興味を持たなかった子供が熱中している姿を見れたのが良かった」

「引っ込み事案な子なのに、積極的に商品の説明や呼び込みをやっていて驚いた」

「お金を稼ぐことが難しいと分かったみたい」等の声が上がっています。

今は又、感染が広がって、イベントが開かれるかどうかは分かりませんが、

今後開かれるイベントに参加のも結構ですし、

仕組みが簡単なので、子供会で開催してみたり、ママ友数人で企画したり・・・などもできると思います。

もちろん日ごろから、お小遣いで欲しいものを買う経験をさせたり、お小遣い帳を付けるなど家庭でできる事もあります。

現金との付き合い方をマスターするまではキャッシュレス決済を教えない(キャッシュレスを教える前に現金で付き合い方をマスターしておく)と段階を踏まえておくのも良いと思います。

便利になり過ぎると私たちの能力が下がってしまう様に、

今後、キャッシュレスが主流になった時、その裏ではお金がどんどん減っている事に気づかない・・・そんなトラブルは必ず起きてきます。

そしてそれを教えてもらった子、教えてもらえなかった子の差は歴然となる事は明白です。

待っていても誰も教えてくれない『お金』について。

子供は必ずこの壁にぶつかりますから、是非、早い段階で意識なさってほしいと思います。

ちなみに“お金”については、こんなお話をした事がありました。もしよろしければご参考になさってくださいね。

第976号 子供「お金」

通信講座「幸せなお母さんになる為の子育て」

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パピーいしがみ 人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。

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