第1165号 突然発生、親の介護
こんばんは。パピーいしがみです。
いよいよ北京オリンピックが始まりましたね。
中国でのオリンピックは、ウイグル族への残虐行為、香港のへの対応、政府高官のテニス選手の問題などがあって、政治的ボイコットはあったものの、
それでもモスクワの時のように、アスリートが参加を断念させられる、という事にならなくてよかった、とホッとしています。
そしてコロナですが、もう誰がかかってもおかしくない、という状態になっていますね。
私の周りでもここ1・2週間で数件、罹患の連絡を頂いています。
どこでうつったかわからない事も多く、今までは「予防」だった考え方を「もしなってしまったら」に変えておいた方がいいかもしれません。
私も身近で起きて直接状況を聞けたりすると「自分がかかったらこうしなきゃ・・・」と具体的に考えるようになりました。
特に食事。陽性者でも濃厚接触者でも自宅待機になると買い物にも出られないし、もちろんそんな元気もない。
でも食材が無ければ料理もできません。
毎度毎度ウーバーイーツという訳にも行きませんし、なってしまってから「さあ、どうしよう?」と考えるより、その前から心構えをしておくと、いざという時にパニックにならなくてすみます。
これっていろんな事に言えるのですが、今日は「突然、親に介護が必要になった時」のお話をしたいと思います。
ここのところ増えてきた相談に「親の介護」があります。
親が認知症になってしまった、階段で落ちて足を骨折し歩行困難に、入院をしたら寝たきりになってしまった、など・・・。
「子育てだけでも忙しいのに、その上、親も見なければならなくなってどうしたら・・・」のようなご相談を頂くことが増えてきました。
これは以前にもお話したのですが、日本の介護のシステムはとても良くできていて、私も何度もお世話になりましたし現在も助けてもらっています。
でもまだ新しいシステムですので、使い方をご存じない、という方も少なくありません。
どんな国の補助でもシステムでも、初めての時は使い方が分かりませんよね。
そんな中、突然の出来事に対処がわからなくて「どうしよう」とオロオロしてしまうこともあります。
でも親の介護は『必ず起きる事だ』とお考え頂いた方が良いので、そうなる前にお話しさせて頂こうと思います。
今回、ご紹介させて頂くのはムーミンのママさん。
ムーミンのママさんは現在千葉県にお住まいで、フルタイムで仕事をされており、5歳・10歳のお子さんがおられます。
お父さんは80代。お母さんは70代後半。2人で茨木県に住んでおられ、お兄さんは東京住まい。
突然お父さんから「お母さんが救急車で運ばれた」との連絡がありました。
どうやら階段で足を踏み外し尻もちをついた時、背骨のいくつかが圧迫骨折を起したようです。
2・3週間ほどの入院と、その後のリハビリを・・・という事で、ムーミンのママさんは「そのぐらいでよかった」と安堵。
お父さんには、これを機会に洗濯や掃除を自分でしてもらい、食べたいものは近くのスーパーで買ってきてもいいし、今後は宅配弁当にしても・・・と考えていたところ、
病院から「お母さん、今まで認知症の症状はありませんでしたか?」と電話がかかってきたそうです。
認知症については青天の霹靂で、今まで本人と電話で話をしても、全くそのような傾向は感じなかった、との事でした。
ただ近年はコロナもありご実家に帰る事が無くなっていたため、この頃の様子は分からなかったそうです。
病院では「ご自分がなぜ病院にいるのか分からない」「家に帰りたいと言うのでその都度話をしなければならない」「でも夜になると又、帰りたいと言う」など、病院でも困っているとの事でした。
そして認知症は治る病気ではないので、今後、どうしていったらいいのか、まだ子育て中の子供もいるのに・・・とのご相談でした。
私はこんなお返事をしました。
ココから・・・
ムーミンのママさん。こんにちは。メール拝見しました。
お母さんの認知症の事。本当に驚かれたと思います。
私の母も(以前から忘れっぽい人でしたが)認知症と分かったのが、大腿骨を折って入院した時でした。
それで、今、とても動揺されていると思いますが、まずは入院に付き添いが必要なのか?どうか。
コロナの関係があるので付き添いをして欲しいとは言われないと思いますが、
本人が不安になった時に「帰りたい」と言って看護師さんを困らせているようですので、そんな時の為に手紙を書いておくと良いと思います。
例えばこんな感じです。
・・・・
お母さんへ
〇〇(ムーミンのママさんのお名前)です。お母さんが階段で足を踏み外して、救急車で運ばれた事。驚きました。
どうやら圧迫骨折だったという事で、約2週間ぐらいの入院で済むようでホッとしています。
お父さんは、家で自分の事は自分でやっているので大丈夫です。
今はコロナで面会ができないのですが、退院の時は迎えにきますので安心してください。
・・・・
あまり長い手紙ではなく、なぜ病院にいるのか?が分かるように。
そして家事をやっていた人は自分がいなくなると残された人が困るのでは?と不安になりますので、その不安の軽減。
それから「入院もそれほど長くはない」と安心してもらう事が目的です。安心すれば落ち着いてくれますから。
看護師さんを困らせた時に「娘さんからの手紙が届いていますよ」と渡してもらうと気持ちの切り替えができますし、
何枚か書いておくと、本人がしまい込んでしまっても看護師さんに「お手紙読みましたか?」と聞いてもらったり、新たに渡してもらう事もできます。
そして、認知症について、今回初めてお聞きになったのでしたら、入院中に先生に診て頂くようになさったら?と思います。
総合病院でしたら病院内に「相談室」や「相談センター」のような場所があると思いますので、
“認知の症状があるようなので受診させてほしい”旨を伝えてくださると、入院中に受診・診断をしてくださると思います。
それから(これも病院の相談員さんからアドバイスがあるかもしれませんが)ご実家の近くの『地域包括支援センター』に連絡を入れておいてください。
これはすべての介護のスタートになるファーストステップなのですが、この『地域包括支援センター』が今後の介護システムの軸になるんですね。
支援センターに連絡をすると、担当の支援員さんが受付をしてくれて、今後の様々な支援方法を提案してくれます。
例えば、今までご実家に帰る事もままならなかったので、ムーミンママさんはお母さんに認知症の傾向があるとは知らなかったと思いますが、
支援員さんはご自宅を訪問してくださいますし、お父さんに「こんな事はなかったですか?」と例を挙げて聞いて下さったり、
部屋の様子や冷蔵庫、引き出しや押し入れなどから(もちろん見ても良いかの確認はされます)認知症の傾向があったかどうかなども察してくださいます。
(私の母の場合は、冷蔵庫がいっぱいで食材があふれるほどでした)
そして介護システムの中には、ホームヘルパーさんが自宅に訪れて、食事や入浴、掃除や洗濯などを手伝ってくれたり、
階段に手すりを付けたり、段差を減らしたり、安全に生活できるように住宅改修(20万円を上限に9割を負担してもらえる)ができたり、
又、生活に必要な介護用品・福祉用具(例えば歩行器や介護用ベッドなど)のレンタルが安価にできるなど、
それはそれは多岐にわたっての補助や支援があって、初めての人にも分かるように、丁寧にご提案をしてくださいます。
これらの介護システムは、申請と審査が必要で、その申請書類は、包括支援センターの支援員さんが作成してくれて、
その後、行政でチェック、市の認定調査員がご本人に会って聞き取りをした後、認定されますが、
特に申請書類に添付する医師の意見書は非常に重要で、医師がその書類を書いてくれない限り、介護認定はおりません。(なので今、入院されている病院で診断して頂くのがベストなのです)
でも、介護認定が下りていなくても支援センターさんへは何度も相談でき、無料でアドバイスを頂けます。
私の場合は、母が病院に通う人ではなかったので、主治医がおらず、医師の意見書を書いてもらえなくて困ったのですが、
支援員さんから意見書を書いてくれ易いお医者さんを紹介してもらったりもしました。それこそさまざまな状況をご覧になっておられるプロなので、本当に助かりました。
それと、これはとても大事な事なのですが、親が介護状態になった時、1人で背負い込まないでくださいね。
お兄さんがいれば、お兄さんにも協力してもらってほしいですし、もしご実家の近くにご親戚がお住まいであれば、時々顔を出してもらったりするのも良いと思います。
私も親の介護を通して感じたのですが、この介護システムは、介護される人の為だけにあるのではなく、介護する人を助けるシステムでもあります。
重い荷物でもみんなで持つと軽くなるのと同じように、できるだけ多くの方に協力してもらう事でムーミンのママさんの生活も守れます。
そして最後に「ありがとう」を忘れないでくださいね。「ありがとう」は困った時の潤滑油になってくれます。
親の介護の事ですと「兄妹で見るのが当たり前でしょ!」という思いがあると思いますが、
「当たり前でしょ」のスタンスですと、必ず反発が起きてケンカになってしまいます。
特に「長男とその嫁が見るべき」のようにお考えだと長男さんも義姉さんも腹を立て、そっぽを向いてしまい、結果、ご自分だけが負担を負う事にもなりかねません。
なので是非「ありがとね。助かるわ」を口癖にして、なるべく多くの方に手伝ってもらえるようになさってくださいね。
たくさんの方に手伝ってもらうと、精神的にも肉体的にも負担が少なくて済みますから(^^)。
ココまで・・・
このようにお返事して、約3ヶ月後ぐらいに経過のご報告を頂きました。
ココから・・・
パピーさん、先日は丁寧なお返事をありがとうございます。
母の認知症の話を聞いて「子供もこれからお金が掛かるし、家のローンもあるのに仕事は続けられるだろうか?」と目の前が真っ暗だったのですが、
すぐにお返事を頂けたので、着実に一つ一つやっていこう、と冷静になれました。ありがとうございました。
退院してからすでに2か月になりますが、やっとこの頃落ち着いて兄と義姉、そして私の3人でローテーションしながら実家に通っています。
私の仕事は、病院や支援センターとの打ち合わせの時にはお休みを頂きはしましたが有給消化で済み、今も仕事を続けられています。
パピーさんからお返事頂いて、翌日には病院の相談員さんに連絡ができて脳神経内科を受診できました。
一緒に包括支援センターさんに連絡も入れておいたので、病院の相談員さんと包括支援センターの支援員さんとが直接話をしてくださっていて、介護申請もスムーズに進みました。
パピーさんもお勧めしてくださった「手紙」も内容を変えて3通ほど書いて看護師さんにお渡しましたところ、
それまで手がかかる患者だった母がとてもおとなしくなってくれた、と喜んでもらえました。
認知症はまだごくごく初期という事で、しっかりしている時とそうでない時があるけれども、できるだけ悪くならないように今の状態を持続していきましょう、という事でした。
介護認定も一番軽い「要支援1」でしたが、認定されなければ全額自己負担になるらしいですね。
認定が下りてから階段と風呂場に手すりを付けてもらったり、玄関の段差をなくしたりしましたが、こんなに安くしてくれるの?と驚くほどの価格になりました。
そして新たに週に1度のデイサービスを利用していますが、そこでは頭を使うゲームをしたり、体操や軽い運動をしたり、おしゃべりをするのが楽しいらしく喜んで通っています。
それとパピーさんからのお返事の最後にあった“「ありがとう」を忘れないでください”の言葉は、私の事をご覧になっていたのか?と思うほど驚きました。
実は、母が入院したと父から連絡を受けた時も、兄は仕事で駆け付けられず、私はかなり怒っていました。
それこそ「自分が来れないんだったら、すぐにでも義姉が来るべきだろう!」という気持ちでした。
パピーさんは「兄妹で見るのが当たり前でしょ!」という思いがあると思いますが・・・と書かれていましたが、
その時は「なんで嫁に行った私ばっかりが親の面倒を見なけりゃならないの?!」「長男が見るのが当たり前じゃないか!」という怒りでいっぱいでした。
この頃の風潮で「子育ては夫婦でするものだ!」という考えが一般的になり「女性ばかりが子育てするのはおかしい!」と考える自分は正しいと思っていたのに、
そんな私が「親は長男が見るのが当たり前」と考えていた事に、
「あれ?自分も結局、昔の習わしや慣例を兄夫婦に押し付けようとしてるじゃないか!」と反省させられました。
多分、パピーさんの“「ありがとう」を忘れないでください”の言葉が無かったら、兄が来ても「遅い!」って文句を言ったでしょうし、義姉が来ても不機嫌に対応していたと思います。
ですが今は「誰が親を見るべきか?」ではなく母の事を一番に考えようと考え方を変えて“「ありがとう」は潤滑油”を口癖に頑張っています。
近くに住む母の妹も、しょっちゅう家に来ては話し相手になってくれているようですし、日曜日に茨城に帰る私の為に、夫も1日子供達を相手にしてくれたり、ごはんを作ったりしてくれています。
もちろんその度に「ありがとう。助かるよ」と夫にも10歳の姉にも伝えています(^^)。おかげで今は以前より家庭の雰囲気がよくなった気がしています。
そして何より兄も義姉も積極的に関わってくれているのが嬉しいです。
おかげで私の出番はかなり減っていて「あの時、怒りをぶつけなくてよかった~」と今になって胸をなでおろしています。
困った時ばかりパピーさんに頼って、お返事もしていなかったことに気づいて、遅くなりましたがご報告させて頂きました。
今回は、本当にありがとうございました。又、コロナ感染者が増えてきていますので、お気を付けくださいね。
ムーミンのママより
ココまで・・・
ムーミンのママさん。ご報告ありがとうございます。お役に立てて良かったです♪
私も母の時には、どう対処してよいか分からなかった中で、包括支援センターで力になってもらったのは本当にありがたく、今でも感謝しています。
又、こんなに素晴らしい制度があることも知ってほしかったので、今回、詳しくお話しできてよかったです。
でもお兄さんと義姉さんが積極的に関わってくれて、ムーミンのママさんの出番が減ってきたのは嬉しい誤算でしたね。
ご家庭の様子も「以前より良くなったみたい」って『ありがとう』の言葉はやっぱり力がありますね(^^)。
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【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。