第1171号 いじめのステージ
こんばんは。パピーいしがみです。
3月16日の地震。驚きました。
よりによって又、福島県、宮城県に大きな被害があったとの事。
11年前にあれだけ大きな災害があって、そこに耐えて前を向き始めたところで、再びの地震。
ニュースのインタビューの中で「心が折れてしまいそう」と言われている方がおられましたが、とても胸が痛いです。
その後も何度も(余震とは言えないほどの)大きな揺れがあって、細かい余震も続いていると言われていましたが、早く治まって、落ち着いてくれることを願うばかりです。
それと・・・約1か月前ぐらいに「スマホ問題」というタイトルでメルマガをお送りして、アンケートを募りましたが、
とても沢山の回答を頂きました。ありがとうございました。
ウェブ担当の澤田さんが要点をまとめてくださって、アンドロイド版、アイフォン版と、二つに分けてのご紹介ができそうです。
そして、今日のメルマガはYUUYUさんからのご報告をご紹介したいと思います。
これも以前「子供を守れる親に!」という記事をご紹介していじめのお話をしたのですが、それを読んでYUUYUさんがメールを下さいました。
(今までにないお話をしています♪)
ココから・・・
パピーさん、お久しぶりです。YUUYUです。
以前、いじめの事でご相談をして、その後、何のご報告もせずに申し訳ありません。
困った時は何度もご相談をしていたのに、うまく行き始めたら何のご報告もしないなんて、失礼極まりないですね。すみません。
先日「子供を守れる親に!」のメルマガを読んで、ウチもそうだった・・・と思って、昔を思い出し、又、今の状況もご報告したくて、メールさせて頂きました。
パピーさんに相談をさせて頂いていた長男。今、中学2年生になりました。
身長も大きくなり今は、いじめは一切ありません。そしてなんと中学ではサッカーを始めました(未経験者は長男だけです)。
あの時、やられっぱなしでメソメソしていた子とは到底思えないぐらいがっちりしています。
当時、パピーさんに「相手の子をビシッと怒って“お前の母ちゃん怖ェ~”って思わせてください」と言われて「えッ?」と思ったのですが、
勇気を振り絞って行動したことで、周りも本人も変わりました。
それまでの私は「誰とでも仲良く」「ケンカを売られても我慢」「優しさは一番の強さ!」などと子供に教えてきましたが、
結局は『子供を守れない弱い親』だったと深く反省しています。
なのにパピーさんには「親が出て行ってその場は解決しても、結局本人が解決できるようにはならないのではないでしょうか?」と反論した形になってしまってすみません。
でもお返事を頂いてとても納得しました。
・・・注釈・・・
その時の事を少しご説明すると、当時、YUUYUさんの息子さんは小学校3年生。あと数か月で4年生になる時でした。
YUUYUさんは、もともと幼稚園の先生をされていたので「ケンカはよくない」「からかわれても相手にしない」「優しくあれ」をモットーとされていました。
でも、私はこれって???と思っています。
今までもお話ししているように、子供達って「どれぐらいからかうと相手が怒るか」を探っていて、
その時の感情の表し方で、その子との付き合い方や距離感を見極めるんです。
だから怒ることも必要だし、何より自分の気持ちをはっきり言える事が重要で、時には自己主張がぶつかってケンカになってもいいし、それが自分を守ることにもなるのです。
でも幼稚園や小学校では「ケンカはしない」「からかわれても相手にしない」と教えていて、
それは学校でトラブルを起こしてほしくない。問題を大きくしてほしくない、という幼稚園・学校側の都合があるからなんですね。
その時のお返事に少し加筆してお話ししますが、いじめのステージって4つに分かれます。
【ステージ1】
まずステージ1は、先ほども言いました「どれぐらいからかうと相手が怒るか探っている」という段階です。
これは例えば、新しい学年になった時や、初めて顔を合わせた時、友達になれそうだな・・・と感じた時です。
これを私は「からかい」とか「ちょっかい」と言っていますが、ちょっと相手をからかったり、ちょっと意地悪をしたりして、どんな反応をするかな?って様子を見ている段階です。
でもこれはすべての子供がやっているわけではなく「からかい」や「ちょっかい」をするのは活発な子です。
活発な子は、友達を作っていくのが上手ですが「ちょっかい」をしたの時の相手の態度(怒り方)で、その子との付き合い方や距離感を探るのですね。
具体的には戦いごっこをしたり、ちょっとした蹴りやパンチをしたり、名前をもじって悪口を言ったり・・・。
そんな時、「なんだとコノヤロ!」とやり返したり、反撃ができれば、それ以上のエスカレートはありません。
お互いに言いたいことを言い、感情を表すことでお互いが認めあい仲良くなるのです。
【ステージ1】の特徴は「からかい」や「ちょっかい」そして「軽いパンチやキック」です。
ところがこの「ちょっかい」や「からかい」の段階で、オドオドしてしまったり、やり返せないでいるとステージ2になります。
【ステージ2】
そのステージ2の時、相手はこう思っています。
「あれ?こいつ自分より弱い奴?もうちょっと強めにやったらどうなるかな?」
そして「ちょっとのからかい」「ちょっとの意地悪」が、「強めの意地悪」「強めのパンチ」「強めのキック」になって様子を見るのです。
でもステージ1で反撃できない子が、ステージ2になっても反撃はできません。
多くの場合、痛くても我慢したり、メソメソと泣いてしまいますが、それでも相手は先生に見えない所でやったり、遊びの延長とも見えるので他の人に気付かれません。
【ステージ2】の特徴は「強めの意地悪」「強めのパンチやキック」です。
ちなみにこの時期、活発な子はステージ1の段階で、様々な子に同じことをしていますので、そこで気が合う仲間や友達を作ってしまっています。
そしてステージ3が訪れます。
【ステージ3】
活発な子が「強めの意地悪」「強めのパンチ」「強めのキック」(相手は遊びの延長のつもりでいる)をしているのを見て、
他の活発な子も集まってきて、複数でおとなしい子に「もっと強い意地悪」「もっと強いパンチ」「もっと強いキック」をし始めます。
“無抵抗な子に執拗に意地悪する”これだけでも非常に腹立たしいのではありますが、ここで問題なのは「複数人で一人に攻撃・遊びの延長の意識」なんですね。
又、他の子は「それはいじめだよ、やめなよ」と言ってくれる時もありますが
「違うよな~遊んでるだけだよな~」なんて、肩を組んだり、あたかも仲間のようなふりをしてきたり、人が見ている所や、先生の前では仲良さそうなそぶりをします。
【ステージ3】の特徴はターゲット化。そして悪意のある攻撃(多方面)です。
こうなると、もう一人では逃れられません。でも誰も助けてくれないとこれがステージ4になります。
【ステージ4】
実はここまで行ってしまうと、親の力も及びにくくなりますし、とても危険な状態です。
というのも、いじめっ子数人が、大人しい子を一人自分たちのグループに引き入れ、その子に命令して使い走りにしたり、他の子をいじめたり、万引きをさせたり。
自分達は直接手を下さずに、その子に命令し悪いことをさせて、遠くからニヤニヤしながら見ている、ということもし始めます。
首謀者は命令しているだけで、実行するのはその子なので、周りからは「悪ガキ」のレッテルが貼られてしまいます。
その子が勇気を出してグループから抜けようとすると、人が見ていない所に連れて行って数人で殴ったり蹴ったり。
そうやって自分たちの支配下に置いて、命令をし服従させようとするのです。
本当は誰かに危害を加えたり、悪いことなどしたくないのに、逆らうと怖いから服従しなければならず、悪態をつくことを強要されたりします。
【ステージ4】の特徴は「ヒエラルキーの最下層」に位置させ、恐怖で縛り命令を聞かせようとし、命令に背くと暴力を振るわれる、です。
ステージ4以降はもうどこまで行くか分かりません。
それこそ集団リンチがあったり、詐欺の受け子をさせたり、薬物に関わらせることもあります。
小学校ぐらいでは、詐欺の受け子とか薬物なんて関係ないと思われるでしょうが、小学校時代のヒエラルキーのまま成長していくと、中学卒業時ぐらいからは十分あり得るようになります。
いじめってこのくらい怖い事なんです。
【ステージ1】は誰もが経験することで、できればこの段階できちんと反撃したり、怒りを表すことができれば、いじめにはなりません。
だから私は「自分の意見を言うこと」「兄弟ゲンカもさせること」「怒りも表すこと」をお願いしているのですが、
それができる子ばかりではありません。
でも放ってはおけないですし、子供のそばにいれば、その子が今、友達関係で悩んでいる、苦しんでいる事は分かります。
だから、もしステージ2や3まで行ってしまったのなら、怒れない子供に変わって、親が怒る姿を見せて、変化するいじめっ子たちの様子を見せてほしいのですね。
YUUYUさんにどこのステージか?をお伺いしたら、どうやら【ステージ3】に入ったところらしく、まだそれほどひどい暴力ではないものの、
複数人から肩パン(肩へパンチ)されたり、足を引っかけられたり、膝蹴りをされたりしている状態でした。
それも親が見ている前でもふざけながらしている、と言われていたので「絶対に放っておいてはダメ!」
特に親が見ている前でやっているのは「この親は自分の子供にこれくらいやっても何も言わない親なんだ」と思っているってことなんですよ!とお返事したのですね。
その時、YUUYUさんからは「でも親が怒ることで、その時は解決するかもしれませんが、結局本人が解決できるようにはならないのではないでしょうか?」と聞かれたのです。
それはまさにその通り。ただ子供を守ってあげるだけでは自分で解決できるようにはなりません。
ですが、何もしていなければそのきっかけすら作る事もできないのです。
ですからまずは複数でいじめをしている子達を厳しく叱る事。
そして息子さんには、その後の変化を見せてほしい、とお願いしたんですね。
叱った後、いじめっ子たちが苛めなくなる変化を見れば、「何もせず我慢していればいつまでも嫌がらせをされる。でも怒りを表すことができれば、自分で自分を守れるんだよ!」と教えてほしい、とお願いしました。
YUUYUさんのご報告に戻ります。
ココから・・・
長男は「一緒に居たくない。肩パンするから嫌なんだ」とは言っていたのですが、
いつもみんなで一緒にいるし、先生に相談した時も「学校でもじゃれあっています。男の子にはよくある遊びです」と言われていたり、
家にも遊びに来るので、私は「遊んでくれる友達は大事にしないと」なんて言っていました。
でも、パピーさんから『危険だ』とはっきり言われて、本人に聞いてみると「本当に嫌なんだ」「学校にも行きたくない」と言うので、
「自分で言えなかったらお母さんが怒ってもいいけど、それで友達いなくなってもいいの?」と聞いたら「それでもいい」と言うので、
家に遊びに来て、笑いながら長男に肩パンしてる時に
「ちょっとあんたたち、もしかしてみんなで〇〇だけに意地悪してるんじゃないの?」と言ってみました。
すると他の子はサッと顔色が変わったのですが、リーダー的な子だけはニヤニヤしながら「違うよ。ふざけてるだけだよ」と言ってきました。
(この子は小さいころからよく知っている子で親同士もよく話をします)でもその態度から「私の事を舐めてるんだな」と感じました。
なので「じゃあ、教えてあげる。あんた達がやってる事は“いじめ”だよ!」
「おばさんはいじめは絶対に許さない。相手が子供でも裁判して賠償請求することができるからね。あんたたちの親にも連絡するよ」と叱りました。
子供達はしんとなってお互いに顔を見合わせています。「まずいぞ?」と目でサインを送っているようでした。
「どうする?今からそれぞれの親に連絡しようか?」
「それとも、今までやっていたことを認めて謝るか?」
と言ったら、先ほどのリーダー的な子が小さい声で「ごめんなさい」と言い、周りの子達もつられるように「ごめんなさい」と言ってくれました。
きちんと謝ったので「分かった。じゃあこの話はもうやめよう。でも、今後もしこういう事があったらおばさんは徹底的にやるからね」と言って、おやつを出しました。
それまではハイテンションで遊んでいた子達は、一気におとなしくなって、おやつを食べて「そろそろ僕帰るよ」と1人が言うと、次々に全員が帰りました。
長男は「明日嫌だな~」「学校で仕返しとかされないかな~」と言っていたのですが、一応、家であったことを先生に伝え、注意して見て頂くようにお願いして送り出しました。
その日からいじめはピタッとなくなり、友達はよそよそしくはなったみたいですが、仲間外れもなかったそうです。
そして長男に「今までお母さんが『我慢しなさい』っていっていたから悪かったんだね。でも自分で怒りを表さないとああいう嫌がらせはずっと続いていたと思うよ」
「今後の為に空手とか武道をやってみたらどうかな?」と言ったら、
テレビでボクシング世界チャンピオンの内藤大助さんが昔はいじめられっ子で、いじめられたくなくてボクシングを始めた、というテレビをやっていて、
「ボクシングならやってもいいかも?」と言い(市内にはボクシングを教えてくれるところは無いので)キックボクシングを始めました。
小学生のキックボクシングと言っても本格的にやっている子もいれば、今は「殴られるのは嫌」と言う子も多いらしく、
息子は後者の体力づくりのコースで入門して、試合形式の厳しい練習ではなく、サンドバックを打ったり、蹴ったり、腹筋や腕立てなどの基礎練習が主でした。
ですが1年ほどたって女性コーチに「キックが上手だからちゃんとやってみたら?」と言われて(その女性コーチは試合にも出ています)
本人もリングで戦うのはカッコいいと思ったようで、5年生から基本のジュニアコースに代わりました。
かなり厳しい練習になったようですが、手ごたえはあるようで「キック楽しい」と言い始めて、体つき、顔つきも変わってりりしくなってきました。
中学でサッカー部に入ったのは、6年生の時、体育の授業でサッカーをやっていて、蹴ったボールが他の子よりも飛んで、
サッカーをやっていた子が「俺より飛ぶ、すげ~!」と驚いたことが理由です。
ドリブルやリフティングなどはやっぱり経験者には叶いませんがゴールキーバーなら勝てるかも?と、ゴールキーパー希望で入部しました。
幸い、ゴールキーパーをしたい子はいなかったので、正選手の先輩にも可愛がってもらって、時々試合にも出させてもらっています。
パピーさんもよく言われていますが、息子に起きた最も大きな変化はやはり『自信』で、以前のいじめっ子たちにも「〇〇変わったな~」と言われています。
そんな感じで、長男は今、毎日がとても楽しそうですが、昨年、旭川の女子中学生が亡くなりましたよね。
その背景には集団いじめがあって、女の子に性的強要があったと知りました。彼女の場合は【ステージ4】だったのかな?と思います。
私は幼稚園の先生になる為に沢山の勉強をしましたが、子供達が自信を持つことや、いじめがあった時の対応などは学びませんでした。
幼稚園も、小学校も「やられても我慢」「ケンカは悪」とずっと変わりません。
今年の4月から、私は又、幼稚園のお手伝いをすることになりましたが、はっきり自分の意見を言う事。ケンカだって我慢するだけじゃダメ、と長男を例にお話ししていきたいと思っています。
長期間にわたっていろいろ教えて頂き、ありがとうございます。
まだ勉強は続けるつもりですが、あの長男、とてもたくましくなりました!とご報告させて頂きました。
今後ともよろしくお願いします。
ココまで・・・
YUUYUさんの長男さん。強くなってくれましたね~(^^)
未経験なのに、中学生になってサッカー部に入った。それだけでも強い気持ちを持ってくれたんだな~と思います。
そして、YUUYUさんも今年4月から、幼稚園で又、先生として子供達を指導してくださるようで、とても嬉しく思います。
是非、ご自分の経験をもとに、若いお母さん達に教えてあげて欲しいです。
貴重なご報告、ありがとうございました。
よろしかったらSNSもご覧ください♪
【Instagram】
https://www.instagram.com/papy_ishigami/
【Facebook】
https://www.facebook.com/papy.age18
【Twitter】
https://twitter.com/papy_ishigami
【LINE公式アカウント】
https://lin.ee/CnDdGcd
【YouTubeチャンネル】
「パピーいしがみ」チャンネル
【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。