第1180号 ヒエラルキー
こんばんは。パピーいしがみです。
先週、上島竜兵さんの事で有吉さんがまだコメントをされていないので心配・・・、というお話をしましたが、
その後、葬儀の際にはご家族の計らいで、有吉さんは、上島さんと二人っきりにさせてもらって、貴重な時間を過ごされたようです。
その後ラジオでは「バカだなと言おうと思ったけど、お礼しか出なかった」と語られました。
そして先週は X JAPAN のYOSHIKIさんのお母さんが亡くなられ、ご本人は相当なショックだったようです。
YOSHIKIさんは、ミュージシャン・作曲家、世界的な成功者なのに、少しも威張るところも高飛車なところもありません。
いつも謙虚で優しい物腰。喋り方も穏やかで「上品だな~」と常々感じていました。
でもYOSHIKIさんって、けっこう壮絶な人生を送っているんですよね。
まず10歳の時にピアノを弾くきっかけをくれたお父さんが亡くなり、その後、グループメンバーだったギターのHIDEさん。ベースのTAIJIさん。
真相は分かりませんが、皆さん、自ら命の終わりを選択なさったと聞いています。
HIDEさんが亡くなった時には、それはそれは多くの方が葬儀場に向かい、ごった返していて、
その悲しさで後を追うファンの方もおられ、連鎖を避けるために、憔悴しきったYOSKIKIさんがテレビに向かって、涙ながらにコメントしたのを思い出します。
繊細だからこそ、感受性が豊かだからこそ、悲しみや喪失感も大きくて、今回、お母さんが亡くなった時に「いっそ自分も・・・」と思ったそうです。
でもツイッターで悲しみを吐露したところ、沢山の方から励ましをもらって、すごく救われました・・・と涙ながらに話しておられました。
ソーシャルメディアでは、イヤな事ばっかり目に付くけど、本当はそういう人はごく一部で、本来多くの人が優しい気持ちを持っているんだよな・・・と、
ここの所、辛く、切ない報道が多い中で、ホッと心が温かくなるひと時でした。
さて、今日お話しさせて頂くのは「ヒエラルキー」についてです。
「ヒエラルキー」とは基本的に「階層構造」の事で、ピラミッドのように、頂点にはその組織の長がいて、下に行くに従って地位は下がり、人数は増える、と言うもの。
例えば会社などはまさに「階層構造」でできていて、1人の社長の下に、取締役が数人いて、その下に、部長、課長・・・そして沢山の平社員で構成されていますし、
それは組織として普通にある形です。
この「ヒエラルキー」自体はそんなに問題ではありません。
が、このヒエラルキーが同じクラスや友達、学年など本来は平等であるはずの場所にできてくると厄介です。
「ヒエラルキー」という言葉はあまり知らなくても「スクールカースト」という言葉は誰もが聞いたことがあると思います。
でも「ヒエラルキー」と「カースト」とは違うもので、「カースト」はインドの身分制度の名称で、一生続く差別的な意味合いを持ちます。
対して「ヒエラルキー」は、昇進や退職などによって変わります。
子供達が、狭いクラスや学校内で、ランクを付けられ、そのランクによって見られ方や扱われ方が違い、そこからなかなか抜け出せない・・・
それを「スクールカースト」と名付けるって、鋭い名前を付けたものだな、と思います。
本当はあるべきでないスクールカースト。でもいじめが無くならないのと同じように、このスクールカーストもしぶとく残っています。
特に派手なケンカなどが無い女の子に多いようで、仲間外れにしたり、友達を連れて行ってしまったり、そんな精神的な嫌がらせは今でもあります。
今日はこの女の子の間で良くある「ヒエラルキー」についてご相談を頂いたので、ご紹介したいと思います。
トマムさんからは、こんなご相談を頂きました。
ココから・・・
パピーさん、お久しぶりです。
困った時ばかりメールをさせて頂いて申し訳ありません。でも困った時に頼る人がいる事が、私の中のお守りのようになっています。
すみません。今回もご相談に乗っていただけると嬉しいです。
悩んでいるのは、娘の友達関係です。
娘は今年3年生になって、今まで話したことが無かった子と新しいクラスで一緒になり「仲良し3人組になれた♪」ととても喜んでいました。
娘以外の子を、Aちゃん、Bちゃん、としますが、もともとその2人が幼稚園の頃から仲良しで、そこに席が近かった娘が加わって、
行き帰りも同じ方角なので、一緒にキャッキャ言いながら帰ってくる・・・という感じでした。
私もそれを見てよかった♪と思っていたのですが・・・
Aちゃん、Bちゃんは、親同士も仲が良く、一緒に遊びに行ったり、家族ぐるみで食事にも行ったりしてとても距離が近く感じます。
ただ気になるのが、Aちゃん、Bちゃんの関係は、Aちゃんが主、Bちゃんが従。
そして娘がその又下、となんだかヒエラルキーができていて、その最下層にいるように感じるのです。
家に遊びに来た時も(娘の部屋で遊んでいましたが)いつもAちゃんが指示を出し、Bちゃんがそれに従い、娘には「ごめんね」の言葉が多いように感じました。
先日、帰ってくる途中の3人を見ていたら、Aちゃん、Bちゃんが怒っていて、娘がひたすら謝っているようでした。
「たまたま見えたけど、Aちゃん達なんか怒ってた?何か怒らせるようなことしたの?」と聞くと、
「Aちゃん、機嫌が悪いと、Bちゃんに当たったりするんだよ。それで私がAちゃんにやめなよって言ったりすると、いきなり怒り出して、全く話をしなくなるんだよ。
Bちゃんにも私にも返事をしないので、「いいよ、放っておいて二人で遊ぼう」と言ってAちゃんから離れたら、
Aちゃん「ひどい」っていきなり泣き出して・・・。今度はBちゃんが心配して「Aちゃんと話してくる」って。
Aちゃんは、Bちゃんに「私に傷つけられた」とか「自分勝手」とか言い出してBちゃんは「Aちゃんに謝ったら?」と言い出して・・・。
他にも「昨日、〇〇ちゃんと遊ぼうとしたでしょ、もう友達じゃないからね」とか言ってきたり。
そうするとBちゃんは又「Aちゃんに謝った方がいいんじゃない?」と言い出して。
そんな事が何度も起きる。それでAちゃんに「ごめんね」と言っても「許してあげない」とか「心がこもってない」とか「ごめんね50回言って」とか言うんだよ!
のような事を言っていました。
それで私が「そんなのこと言うの?いい友達じゃないね。そんな友達ならやめちゃいな」というと・・・
「でも今、友達止めちゃうと、私一人ぼっちになっちゃう。みんなグループでいるのに・・・一人ぼっちはイヤ」と言って、ポロポロと涙を流しました。
そうか~、この子も今どきの女の子の付き合い方に悩んでいるんだな~、と思いながら、何と言ってあげたらいいか頭を抱えています。
何かよい解決策があったら教えて頂きたく思います。よろしくお願いします。
ココまで・・・
という内容でした。
こういったご相談。3年生ぐらいから特に女の子の間で増えてきます。
みんなグループになっているので、1人になることが怖かったり、イヤなグループに入っていても、そこから抜け出せなかったり。
娘さんもイヤな気持ちだけど抜け出せない。
なので、こんな風にお返事しました。
ココから・・・
トマムさん、こんにちは。
娘さん、3人のグループで、辛い立場でいるみたいですね。
でもそこを離れる事もできないみたいです。
でもね。今のグループにいる事が娘さんにとっては決してプラスにならないと思いますよ。
例えば、そのグループ内で、ヒエラルキーが起きているという事。特にAちゃん・Bちゃんの結びつきが強くて、娘さんはプラスアルファの存在ですよね。
だとしたら健全な友達にはなりえません。
特に「昨日、〇〇ちゃんと遊ぼうとしたでしょ、もう友達じゃないからね」などと、
「友達」という名前を盾に、脅迫して言い聞かせようとしていますよね。
又、「ごめんねを50回言え」って・・・。
以前、どこかのコンビニ店員の失敗に店長を土下座をさせた・・・みたいなニュースがありましたが、それにすごく似ているな、と感じました。
過剰な謝罪をさせる事は、今や『強要罪』でもありますからね。
ただ、残念ながらその一端が娘さんにあることが、娘さんも(トマムさんも)気づいていないように感じました。
娘さんの「謝れる」という姿勢。
これは本当に立派な事なのですが、謝るべきでないのに謝ってしまうと『怒りたい人』にとって格好のシチュエーションになってしまいます。
『怒りたい人』は、その理由があるないにかかわらず、どこかで発散したい欲求が常にあるんですね。
そして自分が怒って、相手が謝罪をしてくれると『怒りたい人』は自分の正当性が認められたように感じます。
それともう一つ。これが厄介ですが相手の謝罪が常態化すると「相手よりも自分の方が上」だと思わせてしまうのです。
そう。それってヒエラルキーを作り出してしまう原因でもあるんですね。
なのでまずは一つ、確認してほしいのですが、もしかして「ごめんね」という言葉が口癖になっているってことはないですか?
例えば、何かしてもらった時「ありがとう」と言えることを「ごめんね」と言っている人。結構いらっしゃいます。
この「ごめんね」が口癖だった場合、『怒りたい人』がいると対(つい)になってしまい、
『怒りたい人』がのぼせ上り、謝れる人が下になって、ヒエラルキーが起きてしまうのです。
まず、そこを見直してみて、もし「ごめんね」が口癖だったりしたら「こういう事になりやすいんだって」と教えてあげてほしい事。
もし「ごめんね」の口癖が無いとしても「過剰に謝ることで相手を増長させてしまう」という事も教えてあげて欲しいです。
謝罪は本当に悪かった時にすればいいことで、簡単に謝ると相手は「謝ればいいと思ってる」とか「相手を自分の配下に置いた」と思わせてしまいます。
だから「50回謝って」なんて言われた時、「そんなに謝る必要のある事なの?」ってもし自分が思ったら、絶対に言うとおりにしてはダメ。
それはあなたの為にもならないし、Aちゃん・Bちゃんの為にも良くない事なんだよ。
だからはっきり「そんなに悪いことしてないし、私は謝らない!」と自分の意見をはっきり言っていいんだよ、と言ってほしいんですね。
もしそれでAちゃん・Bちゃんが意地悪したり、クラスで一人ぼっちになってしまうと泣くのなら、
「もしそうなったら、お母さんがあなたを守ってあげる!」と話してあげて欲しいし、
先生にも報告をして、娘さんが被害を被らないように、気を掛けていただけるようにお願いして頂きたいです。
女の子のグループ化は、3年生・4年生から現れてきて、その中でトラブルが起きたり、又、ヒエラルキーが生まれたり、
それが発展して、巷で問題になっている「スクールカースト」が起きたりします。
でも女の子でも、どこのグループにも属さず、仲間外れにもあわない子もいます。
狭い世界で仲良くしようとすると、どうしたって自分を曲げて「それで波風が立たなければ」と思いがちですが、
我慢してグループの中にいると自分も辛いし、周りからも「一段低い位置にいる」と思われがちなんですね。
なのでまずは「簡単に謝ってしまっていないか」を確認してもらうことと、
「過剰に謝る事は相手をより『怒りたい人』にしてしまう」という事を教えてあげて、
そのグループにいる、いないに関わらず、自分らしく言いたいことが言えるようにさせてあげて欲しいと思います。
ちなみに、過去に似たようなご相談も頂いていますので、こういうケースもあるんだよ、と教えてあげても良いと思います。
「ヒエラルキー」は脱却することができますからね。是非、お読みください。
1)第694号 友達との力関係
2)第821号 友達との関わり
(のちほど、URLを記載しています)
ココまで・・・
と、このようにお話しして、まだほんの1ヵ月程度ですが、トマトさんからはこんなお返事を頂きました。
ココから・・・
パピーさん。とても貴重なお話をありがとうございました。
私もAちゃん・Bちゃんの態度にムカムカしていたのですが、本人が「グループから外れたくない」と泣くのでどうしたらいいか困っていました。
ですが「過剰な謝罪がヒエラルキーを作り出してしまう」ってお聞きしてまさにそうだ!と思いました。
「ごめんね」の口癖は・・・私もあるかもしれません。
「ありがとう」より「すみません」や「ごめんね」と言ってしまうこと。本当に多いです。
親が言っていれば、子供だって真似しますよね。
娘にも、パピーさんから頂いたお返事を読んで「ママも気を付けるから、お互いに直そう」と話しました。
そして添付して頂いたバックナンバー「友達との力関係」では、お子さんが自分から「私一人でもいい」と覚悟できたんですね。
それが娘よりも2つ下のお子さんだったので、この記事も子供に読んであげたら
「私もちゃんと、そんなに謝らせようとするのはおかしい!って言う」
「それでもし友達じゃないっていうのなら、それでいいよ!勝手にして!って言う事に決めた!」と言っていました。
そして結果は・・・パピーさんの仰る通りでした。
娘が「そんなに謝らせようとするのは間違ってるんだって!」「私は自分が悪くなかったら謝らない!」と言ったら、それから言いがかりをつけたり、理不尽に怒ってきたりする事は無いそうです。
でも「一緒に帰る?」とは聞いてくるので、一緒には帰ってきます。AちゃんBちゃんはベッタリですが、二人とはいい距離感で付き合えているようです。
でも、それより価値があると思ったのは「もうあの二人に何か言われてもいいから、別の友達を作るようにする」と本人が思ってくれたことです。
他の子にも声かけて、一緒に遊んだり、クラスでもいろんな子と話すようになったそうです。
今回の事で大きく成長してくれたな~と思います。
まだこの先、どうなるかは分かりませんが、今回「ヒエラルキーは脱却できる」と言っていただいたこと。
私も大きな勇気を頂きました。ありがとうございました。
ココまで・・・
“AちゃんとBちゃんはベッタリ”とあって、多分この先、AちゃんもBちゃんも友達付き合いに困ることが増えるだろうな~、とは思いますが、
それでもトマムさんの娘さんが、変な縛りから脱却出来た事。よかったな~、と思います。
あのグループ内でずっと我慢していたら、コミュニケーション能力は高まらないでしょうからね。
「それって違うよ」って言う事は、勇気がいりますが、それが自分を守ってくれますし、もし一人になっても、助けてくれる子はいますからね(^^)。
最後にトマムさんに紹介した過去記事のURLを添付しておきます。よろしかったらご覧くださいね。
第694号 友達との力関係
https://www.age18.jp/back694.html
第821号 友達との関わり
https://www.age18.jp/back821.html
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【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。