第1189号 叱る時の注意
こんばんは。パピーいしがみです。
今日のメルマガは「叱る時の注意」としました。
私は「認める」「褒める」「包む」をお願いしていますが、決して「叱る」が不要だ、と言っているわけではありません。
ただ「叱る」は結構難しくて、それが先行してしまうと、どうしても親子の『信頼関係』が育たず、子供が親の言う事を聞かない、という結果になってしまいます。
なのでまずは信頼関係を作る「認める」「褒める」「包む」をしてほしい、という事なんですね。
また、「叱る」「怒る」など恐怖で止めさせようとしてもそれは身につくことがないので、
「教える」というスタンスで接してほしいし、その為の姿勢としての「叱る」であってほしい、と思っているのです。
大事なのは「教える」ことで「叱る」ではないのです。
ところがどうしても「叱る」先行になってしまい「言っても全然ダメ」「結果怒ってばっかりになっちゃう」というご相談も頂きます。
今日はそんなご相談にお返事した内容をご紹介したいと思います。
頂いたのはケロリさん。
こんなご相談を頂いていました。
ココから・・・
すみません。先に私の事からお話させて頂きたいのですが、私はとても気が短いです。
大阪人気質でもあると思うのですが、まくし立てるようにしゃべってしまうところがあって、言葉がきついと言われることも多いです。
二人の子供(兄・妹)がいるのですが、この兄(5歳)の方が、私そっくりで、短気で言葉が悪く、すぐに手を出すし、余計な事ばっかりします。
そして私はいつも怒っています。
ひとつ違いの妹と寄ると触るとケンカして(いつも兄が吹っ掛けます)、気に入らないと何もしていない妹を蹴ったりするのは日常茶飯事ですし、
使ったおもちゃは使いっぱなしでかたずけない。テレビやゲームの時間は守らない。食べたお菓子の袋は机の上にそのまま。怒らないと次の行動を起せません。
歯も磨かない、保育園の準備もしない。お風呂も入らない。ご飯もいらない。寝ない。起きない。口答え。保育園ではお友達とケンカ。
先日は、牛乳を「自分で注ぐ」と言ってきかないので、やらせてみると床にぶちまけました。
保育園の園長先生からも「私の保育士生活でも5本の指に入るやんちゃ坊主。今どき珍しい」と言われます。
その先生は発達障害にも詳しいので「これはADHDというものでしょうか?」と聞きましたら、
「発達障害とは違うと思う。多分、お父さんかお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの誰かの性格に似ちゃったのだと思うよ(笑)」と言われました。
私は「多分、私に似たんだ」と思ったものの、そうとも言えずガックリでした。(穴があったら入りたい)
パピーさんの勉強を始めてまだ3ヵ月ですが、こんな私。こんな息子ですが、改善するものでしょうか?
何しろ私が私自身をコントロールできないのですが、どういう心持ちで子供に接したらいいか、お聞きできたらと思ってご連絡しました。
よろしくお願いします。
ココまで・・・
とこんな感じでした。
「褒めるところが無い子はどうしたらいいの?」とか「怒らないと動かない子はどうするんですか?」と言われることはとても多いです。
ケロリさんも「こんな私。こんな息子ですが、改善するものでしょうか?」とメールを下さったのですが、私は改善はできると思っています。
ケロリさんにはこんな風にお返事しました。
ココから・・・
ケロリさん、こんにちは。
そうですか~(^^)ケロリさんも短気なんですね。
「ケロリさんも」と言ったのは私もそうだからです(笑)
ただ・・・どうでしょう?息子さん、小さいころからこんなに怒られることばっかり?だったでしょうか?
例えば、妹さんが生まれる前はどうでしたか?
たぶん、ヤンチャな部分はあったとしても、今ほどではなかったのでは?と思うのです。
ヤンチャな男の子は下の子が生まれると(可愛くて)強めに触ったり、1人で遊んでいる時に邪魔をされたと下の子を邪険にしたり、時には「あっちいけ!」と蹴ったり叩いたりもします。
自分でできるのに甘えてくるのがめんどくさかったり、又「自分でやりなさい」と言えば、癇癪を起したり、わざと困る事をしたり・・・と、
どうしても怒られやすい状況を作り出してしまいますよね。
その辺りからお兄ちゃんの印象が「イタズラばっかり」「困る事しかしない」「余計な事ばかり」となったのではないでしょうか?
そして親が「この子は困った子」と思っていればいるほと、子供はその「困った子」として行動するのです。
これは過去のメルマガでも「ピグマリオン効果」という内容でお話したことがあるのですが、とても良くある事なんですね。
(ピグマリオン効果については後程ご紹介します)
否定され続ければ、当然面白くないし、熱意も湧かない。
そのうち「どうせ文句しか言われないんだから、一生懸命やるのはばかばかしい、どうせ俺なんて・・・」と考えるようになってしまうのです。
相手が思う(悪い印象の)ままに振舞ってしまうのです。
息子さんもケロリさんに「困った子」「怒らないと動かない」と思って接しておられたとしたら、
もしかしたら息子さん自身に「どうせ僕なんて・・・」という気持ちが起きているかもしれません。
ですが怒られてばっかりの子や、「どうせ僕なんて・・・」と思っている子ほど、(一番近くにいる)親の接し方によって変化が生まれます。
というのも褒められたことが無いからこそ、たった一つでも褒められるとそれが大きな喜びとして感じるんですね。
そして周りからの評価が低くても、だれか一人に「あなたにはこんないいところがある」と言ってもらえると、「その人にいい評価をしてほしい」と行動するようになるのです。
もちろん子供だけに期待しては効果は現れません。
まずはこの子が持っているいいところを(たったひとつで良いから)見つけてあげる事。
そして悪いところは「すぐには治らないよね」と思いつつ、「叱る」ばっかりにはしない事。
それともう一つ「叱る時には一つだけ」に気を付けて欲しいです。
この「叱る時には一つだけ」は、結構多くの方がやってしまう失敗で、叱る時に「あれも、これも・・・」と言ってしまいやすいのです。
例えば「〇〇しなさい」→「うるせーなー」→「なにその言い方!」「大体あんたはねー」と、
最初は「〇〇しなさい」だけ注意するつもりが、次は「言い方」を叱ることになり、又、それにプラスして他の事も叱ろうとしてしまう。
そうすると子供は「またかよ」と思って、最初に注意されたことも頭には残りません。
ただご自分から「私は短気です」と仰るケロリさんも、強いモチベーションが無いと続けられないと思います。
ですから、まずは3ヵ月。90日だけで結構です。ピグマリオン効果は本当か?を実験するつもりでやってみてください。
それがうまく行ったら、次はもう90日頑張りましょう。
ご自分の習慣が変わってくると、今までと違った接し方も苦でなくなります。
是非、「ほんのちょっとの努力」を続けてみてくださいね♪
ココまで・・・
この後、ケロリさんからこんなお返事を頂きました。
ココから・・・
パピーさん、メールをありがとうございます。
お返事頂いた内容が、まんま家庭の様子をご覧になったかのようで驚きました。
仰る通り、息子は妹が生まれるまで、物分かりが良く、素直でいつも笑顔の子でした。
でも妹が生まれてから、私が怒ってばっかりで今の「困った子」にしてしまったと思います。
そしてパピーさんが書かれていた“親が「この子は困った子」と思っていればいるほと、子供はその「困った子」として行動する”は本当にその通りで、
叱れば叱るほど、怒れば怒るほど、どんどん悪くなっていく感じがしていました。
ご紹介して頂いた過去のメルマガ「ピグマリオン効果」も読ませて頂きました。
もうこの子には、対処のしようがないのか?と思っていましたが、一筋の光が見えたようでした。
「まずは3ヵ月。90日だけ。実験するつもりで」と言ってくださったので『よし、3ヵ月だけなんとか頑張ろう!』と決意をしたところです。
また、経過をご報告させて頂きますので、よろしくお願いします。
・・・という内容でした。
そして約半年後、ケロリさんからのご報告がちょっとおもしろかったので、ご紹介しますね。
ココから・・・
パピーさん、ご無沙汰しています。
以前、相談をさせて頂いてから半年がたちました。
まずは90日!と決意して臨んだ3ヵ月間。はっきり言って黙っている事がとても辛かったです(汗)
パピーさんに「叱るのは一つだけ」と言われて、本当にそうだな~、私は次々に怒っていたので、子供が何を言われているのか分からなくなるのも言われる通りだ、とその時は反省するのですが、
息子を叱っていると「お母ちゃんだって××やん!」みたいに口答えをするのでカッチーンと来てしまって、機関銃のように言ってしまうのです。
何回も「これじゃあだめだ」「同じことの繰り返しだ」と思って、
「あなたにもいいところがあるのにもったいないよ」と(本当は思っていなかったのですが)言ってしまいました。
そうすると「僕のいいところってどこ?」と聞かれました。
「うわどうしよう?適当に言ったことがばれる。何か褒められることを言わなくちゃ・・・」と思って、とっさに出たのが
「あなたには正義感がある」でした。(戦隊モノが大好きです)
「正義感ってなに?」というので「正しい事をして、間違っている事はしない、心の強さだよ」と言ったら、
「フーン」と言って、ちょっと満足気でした。
それからです。下の子にちょっかいを出したり、理不尽に蹴ったり叩いたりすることが無くなりました。
私からすると「たったあれだけ(一言褒めただけ)の事で?」と信じられない気持ちでしたが、
パピーさんの言われていてことはこういう事か?と、ちょっとわかったような気がしました。
こんなに変わるのなら、本気で90日を試してみよう!と思って、頑張ってみました。
まず変わったのは、妹に対して手をあげなくなったこと。
そして「〇〇しようよ」というと、今までは無視だったのが「は~い」と言う様になったのです。
私からすると「え?本当に息子なの?」でした。
保育園でも「この頃、〇君変わりましたね。急に成長したみたいで、お兄さんになって聞き分けが良くなりました」と言っていただきました。
先生は「急な成長」と言っておられましたが、私は「この子はダメだ」と私が思わなくなって、私の姿勢が変わったからだと思っています。
まだできない事もありますが、きっと一つ一つ改善できると思っています。
パピーさんが提案してくださったこの実験。もう少し続けてみます。きっといい方向に向かうと思います。
ココまで・・・
面白いですよね。
(本当は思っていなかったけど)「あなたには正義感がある」と言われた事で、
そんな自分で居続けようと、いろいろ考え始めたんですね(^^)。
『正義』という言葉も、戦隊ものが好きなら、きっと耳にいた言葉で、それが響いたんでしょうね♪j
でも、子供達の問題が改善していくのは、すべて本人の気持ちからです。
だから「叱って直す」のではなく、本人が「これじゃ、ダメだな」とか「もうやめなきゃな」と分かってからなのですね。
そしてその為には親の姿勢がとても大事なんです。
ケロリさんが言われた「きっと一つ一つ改善できると思っています」の言葉。
私もそう思っています。是非、今の気持ちと姿勢を継続してくださいね。
子供達の一生の基礎が今作られていますから、今、頑張ることが絶対に今後のプラスになりますからね♪
※本文に出てきた「ピグマリオン効果」の記事はこちらです。よろしかったらご覧くださいね。https://www.age18.jp/back628.html
よろしかったらSNSもご覧ください♪
【Instagram】
https://www.instagram.com/papy_ishigami/
【Facebook】
https://www.facebook.com/papy.age18
【Twitter】
https://twitter.com/papy_ishigami
【LINE公式アカウント】
https://lin.ee/CnDdGcd
【YouTubeチャンネル】
「パピーいしがみ」チャンネル
【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。