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第1208号 「排除」の子育て

こんばんは。パピーいしがみです。

今回は「排除の子育て」です。

まず「排除の子育て」って何?と思われるかもしれませんので、これをちょっと説明しますが、この言葉って世間全般で使われているわけではありません。

というより、多くの場合、それが正しいと思われているので、あまりそれを指摘したり注目する人もいないのです。

例えば、前回のメールでちょろっと書きました。

“幼稚園では「戦いごっこが起きるから見ちゃダメ」なんて言われているところもありますが・・・”と書いた戦隊ものや、ヒーローもの、アンパンマンや、テレビ自体を禁止しているところもあります。

それは「幼稚園で戦いごっこが起きる原因になるから見ないように!」という、その幼稚園なりのトラブル解決のための対策でもあります。

各家庭では「幼稚園の指導に合わせている」というお宅もあれば、「幼稚園ではそう言ってるけど現実はムリ、ウチは内緒で見せている」というお宅もあるでしょう。

まあ、これはどちらが良い、悪い、ではなく、まずはこういう「排除の子育て」がある、という事を知ってほしいのですね。

と言うのは、確かに「テレビを見ない」ことで幼稚園の時は、回避できるかもしれません。

でも小学校に上がってもテレビは見せないの?いつになったら解禁するの?テレビはダメだけどユーチューブはいいの?と考えると

幼稚園の時の「見ちゃダメ」は、『その時だけの対処法』であって、問題を先送りしているだけという事がわかりますよね。

実は、こういう事、すごくたくさんあって、他にも皆さんがお悩みになる「ゲーム」もそうです。

まだお子さんが幼稚園ぐらいご家庭では「ウチはゲームは買いません。与えません」という方が少なくありません。

それは家庭の方針ですから、全然結構です。結構なんですが・・・

周りの子が持ち始めて、友達の家で遊ばせてもらったり、習い事の休み時間に友達が遊んでいるのを見て「いいな~。僕も欲しいな~」と思う。

まだ周りに持っている子が少ない場合は「人は人、ウチはウチ」と言っていても、周りのほとんどが持ち始めて、自分だけが持ってないという状況になったら、「ウチはゲームは買いません。与えません」は保てなくなるのです。

これなぜ分かるか?と言えば、私も同じところを通ってきているからです。

私も「子供にはゲームを与えない」派でした。そう「排除の子育て」信者だったのです。

でもこの「排除の子育て」=「問題があるのなら、原因を取り除いてしまえ」という考え方は昔からあって、親が教育者であった私はことごとく反発していました。

私の中学生ぐらいの時、「ギターは不良のやることだ!」「エレキギター禁止」とか「長髪禁止」みたいな校則もありました。

高校生の時は「バイク禁止」「免許の取得禁止」「たばこ禁止(未成年だから当たり前?)」「麻雀禁止」なんてのもありました。

ただ禁止されればされるほど、やってみたくなるのが普通(だと私は思っていますが)中学・高校では禁止されていることを片っ端からやって、

みんなが学校で授業を受けている時に、クラスで出資者を募ってパチンコに行って戦利品を分ける・・・なんてこともしていました。

土曜の夜には、悪友が集まって、浜辺で(海が近かったので)火を燃やして、酒盛り・・・なんてこともしました。

そんな私が子供の事になると「ちゃんと育てなきゃ!ゲーム禁止」となったのです。笑っちゃいますよね。

もちろんそんな親の「禁止」を子供が守ることはありません。私もずいぶん悩みました。

でもその時に「あ、これって禁止をするのではなく、上手な付き合い方を学ばせるのが一番早いんじゃない?」と気づいてから、子供に、あれこれ禁止することをやめたのです。

禁止するより経験させたり、付き合い方を教える。そしたらその方がずっとスムーズだし理解も早い。そこでやっと私自身が「排除の子育て」を卒業できたのですね。

もちろんいろんな誘惑が訪れるたびに、問題は持ちあがります。

でもその時に、程よい付き合い方を覚えていくことで、本人の自制心が育ったり、約束を破った時のペナルティを負ったりしながら、影響されない自分自身を作っていくことが、その子の成長も含めベストなんだな、と知ったのです。

ところで、ご存じですか?今公園に行くと、いろんな遊具がなくなっています。

例えば、箱型ブランコって覚えておられますか?子供のころ、ありましたよね。ゴンドラ型のブランコで、椅子がついて向き合って座るものです。

まだブランコを自分の力で漕げない小さい子供たちのために、椅子に子供たちが座り、大人が外でゆらゆらと揺らしてあげる・・・という遊具です。

これを高学年の小学生が椅子の上に立ち、極限まで揺らして遊ぶことがあり、転落したり、ぶつかって大けがをしたりして、今は、全く見なくなりました。

他にも、支柱に鎖と輪がついて、くるくる回る遊具がありました。調べてみたら「回旋塔」というのだそうです。

あれもぶら下がりながら回転すると、遠心力で体が浮いて、すごくおもしろかったのを覚えていますが、これも、遠心力で飛ばされるなどの事故があり撤去されたそうです。

シーソーも見なくなったと思いませんか?チェーンを使った格子状の遊具もなくなりました。

どれもこれも「危険だから」「ケガをする前に」という理由です。

まあ公共の物ですし、管理人を置くこともできないですから「じゃあ、やめちゃえ」が一番効率的なのだとは思います。

学校でもそうですよね。「意地悪されてもやり返してはいけない」とか、「あだな禁止」とか「呼び捨て禁止」とか・・・。

でもそこじゃないですよね。それで学校でのトラブルが減っているか?いじめがなくなっているか?と考えても・・・効果はあったんだかなかったんだか・・・。

こんな、なんでも「禁止」のルールを作れば、全部解決する・・・みたいな短絡的な考えがとても多いです。

ところが、そんな短絡的な対処をする時代に育った私たちは、短絡的に「排除の子育て」を選択してしまうのです。

中・高校生時代、あれだけ荒れたはずの私自身がそうだったのですから、そのくらい「排除の子育て」が世間的にも浸透しているのでした。

先ほど書きましたように私は「ゲームを与えない」だけじゃなく「いじめがある学校には行かせない(私立など学校を吟味する)」とか「お小遣いを与えない(必要な時に親が出してあげる)」とか、「喧嘩をさせない」とか・・・。

当時の私は今とは真反対の事を考えていました。すべて「排除の子育て」で、害になるものはことごとく排除しようとしていたのです。

もしそのままだったら、きっと子供たちは温室で育てられたもやしのように弱弱しく、びくびくしていて、いつまでも親の援助が必要だったかもしれないな~と思います。

もちろん今は真逆で、「ゲームや誘惑は排除せず、良い塩梅の付き合い方を学ぶ」「いじめられないような自分を創る」「お小遣いでは失敗も経験させる」「ケンカをしながら長幼の序や痛み、仲直りなどを学ぶ」など、

短絡的に「排除の子育て」をするのではなく、一見マイナスに見えるそれらの中にある重要なところを学ばせるように方向転換をした結果、やはりそれがうまくいったし、そう変更された家庭はうまくいき始めるのです。

今から5年ほど前に、当時1年生だった一人息子さんがおられるお母さん(Qママさん)から、ご相談を頂きました。

その内容はこうでした。

ココから・・・

私は、小学校の先生を7年ほどやっていて、結婚後子供ができて退職し、今は教職から離れています。

子供が幼稚園の頃からいじわるされることが多かったのですが、それでも「やり返したらダメ。そんな時は先生に言いなさい」と言って我慢させていましたが、

1年生になって「どうして僕ばっかり我慢しなくちゃならないの?」「僕ばっかりいじめられるのはなんで?」「なんで僕ばっかりゲームはダメなの?」と泣かれてしまいました。

私も悩んで担任の先生に相談したりしてみましたが「学校ではとてもまじめだし、間違ったことをしないとてもいい子です」と言われました。

でも「みんながからかってもあんまり怒らないんですね。だからみんなから舐めれれているみたいなところがあります」と言われました。

「本人が悪いのではなく、周りから舐められて意地悪され続ける」なんて、私には理解できなくて、いろいろ調べていくうちにパピーさんを知りました。

そのパピーさんの書かれていた記事は「乗り越える練習をしてこなかった」子が、いじめにあって不登校になって相談をされた内容でした。

親が子供の歩く道をすべて舗装してしまうので、子供は山道、砂利道で歩けなくなる・・・という内容でした。

それを読んで「私の事だ」と思いました。

私は子供に「いい子」でいる事を求めてきましたが、乗り越えることは教えていませんでした。一人っ子ですから喧嘩もしていません。これからもする機会はないと思います。

すでに周りから舐められてしまった子ですが、今からでは遅いでしょうか?今までの数年間をどうやったら取り戻せるでしょうか?

ココまで・・・

という内容でした。

そうなんですよ。いじめには理由がない場合もあります。「かからうと面白いから」なんてあまりにも理不尽な理由がきっかけになることもあります。

でもQママさんのお子さんには「怒り」がありました。まだ自分の中に「絶対おかしい!」という気持ちがあったんですね。

「なぜ僕ばっかり我慢しなくちゃいけないの!」「なぜ僕ばっかりやりかえしたらダメなの?」「そんなのおかしい!」って。

本人は自分は親の言葉に不満はあったけど、我慢して従ってきていたので、「お母さんが間違っていたよ。ごめんね」「我慢するのではなく、言い返していい(時には喧嘩してもいい)んだって」と言ってあげて、

まずは本人が思うようにやらせてあげてください、とお願いしました。

そして今後は「排除の子育て」ではなく、「乗り越えていく練習」ができるように、Qママさんも勉強して、子供に伝えていきましょう、とお返事しました。

その後、Qママさんは「これだけは私にも夫にも教えられないから」と、子供は武道を習う事になりました。

もともとの真面目な性格もあり、その子は、5年生の時に県大会で3位入賞し、学校で表彰されたそうです。そしてクラスでも「演舞(型)」を披露することになって同級生もそれを見て「すげー」となったそうです。

当然「からかい」や「いじめ」などの問題はなくなったとのご報告を頂いています。

私は「先送り」にしかならない「排除の子育て」は、できるだけやめてほしいと考えています。大事なのは「排除」ではなく「乗り越えること」なんですから。

Qママさんがお気づきになるきっかけになった記事は下記になります。ご参考になさってください。

第196号 子供がスポーツカーになる?
https://www.age18.jp/back196.html

通信講座「幸せなお母さんになる為の子育て」

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パピーいしがみ 人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。

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