第1214号 怒る必要がなくなった
こんばんは。パピーいしがみです。
2023年になって2度目の配信となります。そろそろお正月モードからは脱して、日常が戻ってきましたか?
成人式(成人が18歳になったこともあり、今は「二十歳の集い」にしたところも多いようです)も各地で行われ、今年は「墨汁を掛けられた」という事件が起きました。
この日を楽しみにされていたご家族やご本人の事を思うと「なんでそんな事を・・・」と思いましたが、
その後、振袖を貸し出した「松柏園ホテル」さんがこの話を聞き、自社でクリーニング代を負担し、新たな振り袖を無償で貸し出して、念願だった祖父母との写真撮影をしてもらうことになったみたいです。
他にも救済支援に乗り出してくださった(まったく関連のない)業者さんもあるようです。
この被害を被った方は、今のところ9件あって、すべての方が救済されたかどうかはわかりませんが、今後似たような事件が起きないことを願います。
成人式では、飲酒や破壊行為なども昔からありましたが、このような「イヤがらせ」のような陰湿な事件は今回が初めてで、これが今の世相なのかな~と感じます。
そんな「イヤがらせ」は、私たちの近く(お子さんのクラス等)でも頻繁に起こっているのですが、兄弟間のイヤがらせでご相談を頂いたMineママさんにお返事した内容をご紹介したいと思います。
お送りするメルマガのタイトルは「怒る必要がなくなった話」です。ちょっと興味そそられませんか?(笑)
ご相談を頂いたMineママさんはこんな風にメールを頂きました。
ココから・・・
パピーさん、いつも役に立つ情報をありがとうございます。今までどれだけ助けられたかわかりません。
子供に怒ってしまう、というのは親の常なる悩みだと思いますが、どうしても許せない時はどうすればいいのか、それを教えていただきたくて、今回、ご相談させていただきました。
パピーさんのおっしゃる「兄弟ケンカはさせて」はとても理解できます。「今後、身を守る助けになる」「自己主張をする練習になる」「自分たちで解決する力を育む」などは本当にそうだよな~と納得しています。
ただ・・・うちの場合、上の子がもうすぐ6歳、下の子はまだ2歳(両方男の子)で、一方的なけんかになってしまっています。
「兄弟げんかには介入しない方が良い、のはわかるけど・・・力の差が歴然としている時は、放っておくことができないし、いつもいつも力で押さえつけられて、泣かされていれば下の子にも悪影響があるし~」と私は常に介入してしまっています。
正直にお話しすると、この兄弟げんかというか、上の子の態度がすごく気になって、この頃はさらに上の子に怒ってしまっています。
確か以前のメルマガで「上の子を頭ごなしに叱らないで」「上の子には上の子の理由もあるかもしれません」という内容を読んで、
「そうか~。今まではただただ怒るだけだった」と思って聞いてみたら、自分が幼稚園で作った作品を壊されるのが嫌だった、とか遊んでいる時に邪魔をする、とかの理由があったことが分かり、
「なるほど、そういう事か」と分かって、怒らなくなった時もありました。
が、今は下の子が機嫌よく遊んでいるおもちゃを取ったり、順番を決める時のジャンケンで(下の子はパーを出しやすいのでチョキを出していつも勝ちます)譲ることもしなかったり、
そうやって勝つと「イェーイ、お前、ジャンケン弱いな~。また負けてやんの!」とからかって泣かします。
それを見て、私はムカムカします。
そしてついつい「あんたずるいよ!そんなのまだ〇〇(下の子)には分からないんだから、時には譲ってあげなよ!」とか、「そういう嫌な言い方やめなさい、っていつも言ってるでしょ!」とか。
そのうち下の子が泣きだすと、すぐに上の子を「何やったの!」と頭ごなしに叱るようになり、上の子は「だって〇〇ちゃんが××して・・・」と明らかに嘘の言い訳をするようになってしまいました。
昨日は、朝食にミルクをコップになみなみ注いで「こぼさないようにしてよ」と言っているのに、テーブルでひっくり返し、テーブルの上はもちろん、下の子は服もびしょぬれになり大泣きで、大量のミルクはテーブルからこぼれてカーペットまで汚しました。
「失敗は誰にでもある」と冷静に考えようとするのですが、その時に「だって〇〇ちゃんが××・・・」とまた下の子のせいにしたので、「〇〇ちゃんは関係ないだろ!人のせいにするな!」から始まって、もう怒号の嵐です。
きっとどのお母さんもご経験があると思いますが、牛乳は匂いが出るので、汚れたものはすぐに洗濯しなければなりません。
ぐしょぐしょの下の子の服を着替えさせ、机の上を拭き、上の子の服も着替えさせて、洗面台に水を貯めすすぎ洗い。→すぐに洗濯機へ。
カーペットも取り外し、ふろ場でシャワーで水を流して・・・
その間、私はずーっと怒っていました。「だから気をつけろって言ったでしょ!」「コップにはいっぱいに入れないようにいつも注意してるじゃん」「朝は忙しいんだからこんな事させるなって言ってるでしょ!」
私に叱られてめそめそしている長男に「泣きたいのは私だよ!」「あんたも早くしなさい!幼稚園も遅れるよ!」「もういいからごはん食べちゃいなさい!」とか。
私は朝食も食べられず、時計を見ながら大量の牛乳と格闘して、これなら時間に間に合うか?と思ったら、長男はソファーでゆったりテレビを見ていて、また「カッチーン」と。
いよいよタガが外れて「お前、何やってんだ!」「どんどん準備しろよ」「テレビなんか見ている場合じゃないだろが!」と声を上げてしまいました。
もう反グレか、ヤンキーか・・・と思うような口調です。
前の日にはトイレで便器からおしっこが外れてしまい、トイレの床を汚してしまって「ママ~おしっこ漏れちゃった~!」とか。
お気に入りのシャツを洗ってしまったその日に「あのシャツがない!」とか言い出して「今日は洗っちゃって濡れているから、他ので行きなさい」と言っても、「あれじゃないと幼稚園に行かない!」とか、「ママのバカ!」とか言ってきたり。
その都度、激しいバトルが繰り返されます。
こんな状態が続けば、長男にも悪影響があることは明白ですよね。かといって私の怒りが納まりそうにもなく、どうしたらいいんだろう?って悩んでいます。
パパに相談したら「まあ、今の時期はしょうがないって我慢するしかないんじゃないの?」と言われ、「パピーさんに相談してみようかな?」と言ってみると、
「パピーさんに相談しても返答に困ると思うよ」と言われて、我慢もしていたのですが、一応、何か方法は無いか、パピーさんにもお聞きしてみようと思ってメールしました。
もし「これ以上の対策はありません」というご返答でも全然かまいませんが、もし何か方法があるとしたら、教えていただきたいと思います。
ちなみに、こんな私でも長男はまだ私の事を好きでいてくれて、幼稚園から帰ってくると、飛びついてきますし「今日はね、こんなことがあったよ。こうしてああしてこうだったよ~♪」と幼稚園での出来事を話してくれます。
私はそんな時に、本当に幸せを感じますし、とても優しい笑顔で(と思っているのは自分だけかもしれませんが)聞けていると思います。
下の子への態度。そして私の怒りの納め方。もうすこし怒らない日常を過ごしたいです。よろしくお願いします。
ココまで・・・
という内容でした。
朝の忙しい時、ミルクをこぼされて・・・うわ~、大変なのが目に見えるようです。
ただ、Mineママさんの「怒りすぎる」も、今の息子さんとの関係を見ると、そんなに問題ないんじゃないかな?とは思いました。
でももう少し、怒らない日常を過ごしたい。それはとてもよくわかりますし、Mineママさんからメールを頂いて、私も少し感じることがありましたので、こんな風にお返事してみました。
ココから・・・
Mineママさん、こんにちは。メール拝見しました。
ミルクをこぼされて~のくだり。大変だったろうな~と推察されます。そして毎日の叱責。長男さんとはバトルになっている、とのことでしたね。
その中に、長男さんの「イヤがらせ」もあり、年齢が離れている場合の兄弟げんかにも介入しなくていいのか?という疑問もあるように感じました。
ただ、私はMineママと子供たちの関係って悪いとは感じませんでした。きっと怒るときには激怒しても、うれしい時や楽しい時には、一緒に楽しんでくれているんじゃないかな?と思ったのです。
それは最後にあったこの部分です。
“こんな私でも長男はまだ私の事を好きでいてくれて、幼稚園から帰ってくると、飛びついてきますし「今日はね、こんなことがあったよ。こうしてああしてこうだったよ~♪」と幼稚園での出来事を話してくれます。
私はそんな時に、本当に幸せを感じますし、とても優しい笑顔で(と思っているのは自分だけかもしれませんが)聞けていると思います”
って。いいじゃないですか~(^^)子供がこうやって、お母さんに飛びついてきて、いろんな話ができるって、関係が良いからですし、その時にご自分でも「とても優しい笑顔で聞けていると思える」って書かれていましたから、いつもいつも怒っているんじゃないんだろうな~と感じます。
怒るときだってあっていいんです。そのかわりたくさんほめる時があってほしいし、笑顔で接してくださる時があればいいわけです。(でも叱るときが少ない方が親の気持ちは穏やかでいられますね)
その上で今回のご相談にお返事しますが・・・
まずその「年齢が離れている場合の兄弟げんか」についてですが、「ケンカ」というのは両方ともが意志をもって、お互いに譲らずぶつかり合う事だと思うのです。
とすると2歳の子と、6歳の子の場合、それが同じ土俵に立つケンカかどうか?という事を考えなければらないかな?と思うのですね。
で、もし上の子が力の加減をしてくれているのなら、それが喧嘩でなくとも、あまり介入しなくていいと思うのです。
でも逆に上の子が全力を使って実力行使したり、理不尽に命令したり、力を盾に脅したり、という事であればトラブルになる前に「それは違う」と上の子を諭す必要があるかな、とも思うのですね。
そして今回のご相談が、下の子が機嫌よく遊んでいるおもちゃを取ったり、順番を決める時のジャンケンで自分が有利になるようにしたり、下の子をからかい煽ったり・・・と、これは「ケンカ」というよりそれこそ「イヤがらせ」か「からかい」に近いようにも感じました。
ただ、ちょっと私が頂いたメールを読んでいて引っかかったところ。テーブルにこぼしたミルクもそうですが、便器を外したおしっこや、お気に入りのシャツでの出来事もちょっと感じたことがあったので、それも含めてお返事をさせていただくのですが、
Mineママさん、いろいろと「やってあげすぎ」てはいませんか?
確かにミルクをこぼした件は、子供に処理をさせても、匂いの事や、後々床やカーペットが痛んだり、という事もあるので親がやってあげる必要があるかもしれませんが、
トイレでの粗相をした時などは「自分で拭きなさい」と自分でやらせてもいいし、お気に入りのシャツを洗ってしまって「シャツがない!」と騒いだ時も、幼稚園への時間が間に合わなかったらパジャマで行ってもいいんですよ。
これは私はよくいただくご相談でもあるのですが、「そんな時は、パジャマで登園して、着替えをビニール袋に入れて先生にお渡しすればいいです」とお返事します。
そのあたり先生はすぐに「ああきっと、今朝はぐずったのね」と分かってくれます。
子供は親があっさり「パジャマで行けばいい」となったことに驚きますし、「この程度の抵抗は親には通用しないんだ・・・」って感じます。
長男さんのぐずりも、下の子へのイヤがらせも、また、ジャンケンに勝つ方法も、長男さんが成長し「思考力が付いた」からなんですね。「こうしたら自分に有利じゃん」って気づいたんです。
なので「イヤがらせ」として考えるとイラっときますが、「この子、頭がよくなったんだわ」って思うと、ちょっと印象が変わりますよね。
では、下の子にイヤがらせをして泣かせたときはどうするのがいいでしょうね?
私はこんな時、「あ~、下の子を泣かせちゃったのね。じゃあ、下の子のご機嫌が直るまであやしてね」と言ってみたら?とお返事することがあります。
怒らなくても、「あなたがやったことだから責任とってよ♪」って感じです。
今までは、子供の失敗や粗相って、親が修復したり、しりぬぐいをしたりしていましたよね。でもそれを「自分がやったんだから、自分で何とかしてね」に変えていくのです。
もちろん、掃除の仕方などは教える必要はあります。
いきなりこぼしたミルクの対処は難しいですが、水やお茶をこぼした時には、ティッシュペーパーで拭くことを教えてもいいですし、トイレで失敗した時はトイレットペーパーで掃除しておくことを教えていきます。
(もちろん完璧にはできないでしょうから、その後、親が後処理をすることにもなりますが)まず自分で対処することを教えると、いきなりの「ママ~」が無くなりますし、
今、洗い物などもお母さんがお一人でしているかと思いますが、これが小学2・3年生ぐらいになると「自分で食べたお皿は自分で洗って」となると親の仕事は減りますよね♪
「教える」ことは最初はめんどくさいです。でもそれができるようになると親の仕事はぐんと減って、かなり楽になっていきます。
今、幼稚園の年長さんぐらいですから、ちょうどいい時期だと私は思うのですがいかがでしょうか?
ココまで・・・
このようにお返事して約、2週間。Mineママさんからご報告を頂きました。
ココから・・・
パピーさん、お返事ありがとうございます。
まず、びっくりしたのは”Mineママさん、いろいろと「やってあげすぎ」てはいませんか?”の一文です。
えっ。パピーさん、どこかで見ていたの?と思った程でした。
長男が一人っ子で私にも余裕があった時、子供にお世話するのが楽しくて、なんでも「ママがやってあげるから」のように言っていたことがありました。
実家の母にも「自分でやらせなさい」と怒られたことも何度もありましたが、もともと私が世話好きで(保育園の先生をしていました)、子供の世話をすると充実感を感じてしまい、つい手を出してしまっていました。
ですが二人目が生まれると、今までできていた「やってあげる」が時間的にも難しくなり、いきなり「もう一人でできるでしょ」と言ったり、いちいち頼んでくる長男がうっとうしかったり。う~。私の身勝手さが長男を振り回していますね。反省です。
今回の兄弟げんかもそうで、ついつい口を出し、手を出し、介入し・・・結果、長男が卑屈になる・・・という、私の「やってあげすぎ」が原因になってるかもな~と薄々感じていました。
でも今回、長男のイヤがらせを「この子、頭がよくなったんだわ」って考えてみる・・・って、今までの私にはなかった新しい発想でしたし、
パジャマで登園したっていい。粗相をしたら対処を教えていく・・・と、「そうやっていいんだ」という発見があって、ただ「一人でやりなさい」ではなく、ちゃんとした順序を踏んでいくんだな、と貴重な勉強をさせていただきました。こんなこと保育の授業でも習いませんでした。
そして下の子を泣かしたら「あ~、下の子を泣かせちゃっのたね。じゃあ、下の子のご機嫌が直るまであやしてね」「あなたがやったことだから責任とってよ♪」を試してみたかったのですが、
タイミングを待っていると、そういう時ってなかなかなくて、こんなにお返事が遅くなってしまいました。すみません。
ですが昨日、とうとう来ました。上の子が下の子をからかって、いつものように泣かしたところ、今だ!と思って「あ~、下の子を泣かせちゃって。じゃあ、下の子のご機嫌が直るまであやしてよ」と言ってみたところ、
長男は目を丸くし「えっ?どうすれば???」という状態で、笑っちゃいました。
私はしばらくどうするかな~と横目で見ていたら、なんとおもちゃも持ってきて「〇〇ごっこしようか?」とか、それを弟が拒否すると「じゃあ、お兄ちゃんと一緒に図鑑見る?」なんて動物の図鑑を持ってきて寝転んで「隣においで」と言ってみたり・・・。
驚きました。あれだけ怒っても治らなかったのに「あなたがやったことだから責任とってよ♪」をしたら一発でした。
私が叱っている時は、こんな自分から歩み寄ったり「隣においで」なんて言ったことはありませんでした。でも親が介入しないで、自分で何とかしようとさせれば、こんな変化があるんだとびっくりです。
次男も喜んで、お兄ちゃんの横に行って(字も読めませんが)同じように床に腹ばいになって喜んで図鑑を見ています。お兄ちゃんが「〇〇は□□なんだよ」などと説明すると、次男も「うん。そうだね」なんて言っています。
今まで全く動物に興味がなかった次男ですから、内容が分かるわけがありません。でもその雰囲気が心地よかったのでしょうね。5分前は泣いていたと思えないほど、楽しそうにしていました。
その「いい感じ」はお風呂に入っても、寝る時も変わらず、我が家に初めて訪れたぐらいのすごく幸せな時間でした。
パピーさんに教えていただいたこと、テキストの勉強も、さらに頑張って続けていきます。
又ご報告させていただきたいので聞いてください。今後ともよろしくお願いします。
ココまで・・・
その後、このメルマガを書くにあたって「長男さん、あれからどうですか?」とお聞きしたら、今は嫌がらせがほとんどなくなった、とのことでした。
まだお皿洗いまではできていないけど、こぼしたものを拭いたりすることはできるようになって「ママ~」はかなり減り、今は下の子の歯磨きの仕上げ磨きをしてくれるのだそうです。
そしてこう言ってくださいました。「不思議です。怒る必要がなくなったんです」って。
それはよかった。Mineママさんの「もう少し怒らない日常を過ごしたい」は、どうやらかなえられたみたいです。
それぞれの家庭はいろいろで、同じようなは家庭は二つとないですから、Mineママさんにお願いしたことが、すべてのケースで合致するとは言いません。
ですが、今回長男さんの嫌がらせや、Mineママさんへのアドバイスは、どうやらぴったりはまったみたいです。
また、時間の経過とともにご報告をくださるとのことですから、楽しみに待ってます(^^)。
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【 パピーいしがみ 】人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。