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第1228号 やったら何くれる?

こんばんは。パピーいしがみです。

新学期が始まって2週間が経ちました。そろそろ疲れが出たり、雰囲気になじめなくて「学校行きたくない」が出てくる時期です。

そして今回は何とか学校に行けた・・・けど、このゴールデンウィークが終わったころにまた、新たな「学校行きたくない」と言い出す子が現れます。

これはもう毎年の事なのですが、今回、お話しする内容は、私が先に「小学校に行ったら、行きたくないと言うと思います」と言っておいた方の例です。

その子は(題名にも書きましたが)「やったら何くれる?」と口癖になっていた子だったのですが、私が心配した通り、小学校に入って「学校に行きたくない」と言い出しました。

相談は幼稚園の(本人が年長さんになった)頃に頂いたところから始まっています。

最初のご相談からですともっと長くなってしまうので、私のお返事からご紹介します。お母さんのお名前は「花の香」さんです。

ココから・・・

花の香さん、こんにちは。

そうですか~、息子さんがいろんなことにイヤを言うようになってしまって、最後に泣きながら「やったら何くれる?」と言うのですね。

それを幼稚園の先生からも指摘された、とのことでした。家庭でも幼稚園でも「やったら何くれる?」と言ってるのでしょうね。

実はこの「やったら何くれる?」と言う口癖のある子は、共通点があるのですが、予想はつきますか?

例えば運動会、音楽発表会、合唱、卒業式などの式典なとは、子供達が抵抗を示す場合が多いです。

それはなぜか?というと「いつもと違った雰囲気が何か不安を感じさせるから」で、不安になりやすい子、心配性な子にはよくあります。

この「やりたくない」という気持ちは、全然不思議ではありません。不安だったり心配だったりすれば、誰だって緊張しますし、あのぞわぞわした感じ。「イヤだな」と思うのが当たり前。全然おかしくないんです。

ところが(ここが共通することなのですが)その「やりたくない」と言った時に「じゃあ、ちゃんとできたらご褒美あげるよ」って言っちゃうご家庭、

他にも病院で注射を嫌がると「アイス買ってあげるから」とか「これができたら、お菓子買ってあげる」なんてことを頻繁にやっていると・・・

なんでもまず「イヤ」を言って、ごねた後に「やったら何くれる?」となるのです。

どうでしょう?花の香さんのご家庭では「じゃあ、ちゃんとできたらご褒美あげるよ」など言っていませんでしたか?

まずはそこについてお返事ください。改めて細かい理由や今後の事をお話しさせて頂きます。

ココまで・・・

まずは「こんな風にしていませんか?」とお尋ねしたら、やっぱり「やってました」とおのお返事でした。

それも私の想像をはるかに超えていて「いつもそうやってお菓子や、アイスや、おもちゃで子供を動かしていました」とのお返事だったのです。

これってお爺ちゃん、お婆ちゃんによくあるパターンですが、花の香さんの家庭では、お婆ちゃんがそうやって上手に子供を動かしている様子を見て、

「こうやってやればいいんだよ」というお婆ちゃんの言葉に、花の香さんも、また、お父さんも、当たり前の様になさっていたんだそうです。

さて困ったぞ・・・。少し厳しい現状を話さなくちゃならないな、と、こんなお返事をしました。

ココから・・・

そうですか・・・。それは私の想像の上を行っていましたね。

さてどんな風にお返事すればいいか、ちょっと悩んだのですが・・・正直にはっきり言いますね。

実は、「できたらご褒美」って、結構多くの方がなさっていて、厳しい言い方をしますが、親はご自分の思い通りにしたくて、物で釣って自分の都合に子供を合わせようとしてしまいます。(それで動いてくれたら親が楽だからです)

まあ、それは幼稚園前ぐらいで終わっていたらそんなに心配はいらないのですが、それを幼稚園に行くようになっても頻繁に、いつまでもやっていると、子供は「何かくれなきゃやらないぞ」という考えになっていきます。

私はメルマガでも「秩序」について、もう口うるさいほど言っていますよね。「ダメなものはダメと言ってください」とか。テキストにもイニシアチブ(主導権)について書いています。

それはこの「秩序」がものすごく重要で、今後、この秩序を壊してしまう可能性を少しでも減らすためなのですね。

秩序を崩壊させるのが、これから先に訪れるゲームやスマホや数々の誘惑であって、それがちょうど子供の反抗期、成長期と重なることもあって、

子供が親よりも体力的に強くなり、知恵もついて逆らってもくるので、秩序の乱れが修正できなくて、親と子供の立場が逆転するのです。

親と子の立場が逆転したら、もう悲惨ですよ。

子供は家庭で暴れ、親に命令し、親がNO!を言えば、暴力ででも従わせようとする。家庭内で力をつけた子供は学校に行かない、仕事もしない、でも金だけせびる・・・。

子供が30になっても、40になっても、親のすねをかじり、年金を当てにしている。そんな家庭、ものすごく多いのです。過去のデータですが2019年のデータでは、61万世帯もあるそうです。

実際に2019年にあった、元農水省事務次官の長男殺害事件の家庭もそうでした。東京大学を出て農水省の最高権力者にまで上り詰めた親は、(頭はよかったのでしょうが)子供の機嫌と一挙手一投足にびくびくして暮らしていたのです。

そんな毎日の中で、息子と同様な状況の男性が通り魔事件を起こし、「自分の息子もそうなるに違いない。自分もいつ殺されるかわからない」とそんな長男に手を掛けたのです。

本当にあるんですよ。こういう家庭が。私はもっと増えるだろうと思っています。

だから私は「秩序」や「親のイニシアチブ」や「ダメなものはダメ」が重要だ、きちんとした家庭の姿が大事だ、と何度も何度も言うのですね。

ところが、この「ちゃんとできたらご褒美あげるね」をやっていると、もうその時点から立場が逆転してしまうのです。

最初は親や大人が「物を上げれば子供は動く」と思って、自分たちが主導権を持っているように感じますが、しだいに子供は「〇〇くれなきゃ、××しない」と言い始め、その要求はどんどんエスカレートし、

子供の要求を叶えるために、親はその要求に従わざるを得なくなるのです。

お分かりですよね。【親はその要求に従わざるを得なくなる】。もうこの時点で親と子の立場が逆転しているのです。

そして「やったら何くれる」と言っている幼稚園年長さんの今もすでに言葉の中に「何かくれないとやらないよ」という意味が隠れていて、すでにもう立場の逆転が始まっているのです。

先の「ゲーム」や「携帯」「反抗期」「成長期」が避けられないきっかけだとすると(本当は対処できる事なのですが)避けられない時期が来る前に、

親や周りの大人が『子供との関係を逆転させるきっかけ』を作ってしまうのです。

例えば、お子さんも来年は小学生ですよね。その時に「学校行かない」と言い出したらどうしますか?(いえ、多分言うと思います)その時すごく困ると思いませんか?

もう子供は分かっているんです。親が困った時、必ず「じゃあ〇〇してあげるから行きなさい」って言う事を。

「やりたくない」って言う事は簡単で、理由はいくらでもあります。「授業がわからない」「体育がイヤ」「〇〇君がこう言ったから」「先生が〇〇だから」って、理由なんていくらでも作り出せるのです。

でもその度に親が「これ上げるから」「〇〇を買うから」ってやっていたらどうでしょうね?

今はアイスやお菓子ですが、それがゲームになり、携帯になり、高価な趣味の物になり、なんにでも使える現金になり、そしてその額はどんどんエスカレートしていきます。

年齢が高くなってきたらもう「お菓子」や「アイス」では子供は動きません。

だから「ダメなものはダメ」とはっきりし、褒める時には「賞賛と笑顔」だけでいいのです。

その「賞賛と笑顔」は全くお金がかかりません。でもどんなに高いものを買ってもらうより喜びや充実感に満ちているんです。

と・・・厳しい言い方をしましたが、でもそのくらい重要なことで、ここを理解してもらう事が何より大事です。なので、もし理解できなかったらこの先に進む前に、何度も何度も読んでください。

そしてご自分が農水省事務次官だったら、その奥さんだったら?と考えてみてください。

そしてその重要な事がお判りいただけたら、今後の事について考えましょう。

まず、今までこのやり方「〇〇あげるからやりなさい」や「やったら何くれる」が常態化していますから、次にこういう事が起きたら(すぐ起きるはずですが)こう言ってください。

「今まで、あなたに『〇〇あげるから~~しなさい』って言ってきたけど、これはお母さんが間違っていた。もう年長さんになるんだから何かをもらうためにするのではなく、その目的を知って、その為にやらなくちゃならないんだよ」

のような感じです。
最初は全く子供は理解しません。(だって今までそんな事言われていないのですから)ですから相当長時間ぐずります。でもそんな子供のぐずりや要求に負けないでください。

親が折れなければ、子供は受け入れます。子供が渋々でも受け入れたら、それを褒めてください。大げさに喜んでください。

(わかっていないはずですが)「分かってくれたんだね。嬉しいよ」と褒めてあげてください。

でも、これで終わりにはなりません。同じことが何度も起きます。今後小学校への入学の為、字を覚えたり、数を数えたり学ぶこともあるでしょう。そんな時にも起きるでしょうし、

来年春には卒業式、小学校の入学式、そして新年度が始まり、小さな「行きたくない」も大げさに騒ぎ立て、「何かくれるまで騒ぐぞ」ぐらいの勢いで癇癪を起したり、暴れたりもするでしょう。

でもそれに耐えてください。卒業式であれば「先生に『今までありがとうございました』と言うための式だから行くんだよ。あなたが行かなくてもお母さんは行くから」と話してください。(先生に『今までありがとう』と言う、のが目的です)

正しいことを正しく子供に伝えて、時間がかかっても絶対に折れないでください。すぐの解決をしようとしないでください。

このぐずりや癇癪が「今までのやってきてしまった代償」だと思ってください。ただ、これを過ぎて、親が折れないことが分かるようになると、子供の考え方は変わってきます。

家庭の秩序を崩壊させない為に、家庭がおかしくなってしまう前に、今のうちに手を打っておくのです。

今まで、やったことないことですから大変だと思います。でも先ほどの農水省事務次官のようにはなりたくないでしょう?もちろんそうなるまでにも家庭内暴力があり、親子の立場の逆転があり、子供に奴隷のように使われたりするのです。

そうならない為に、今、頑張ってほしいのです。

「幼稚園行きたくない」「学校行きたくない」「卒業式・入学式出たくない」は、どれか必ず言うと思います。そしてかなりの抵抗を示すはずです。「行ったら何くれる」も言うと思います。

でもその時が勝負です。怒る必要はありません。「ダメなものはダメ」「しないものはしない」だけでいいのです。それを続け妥協しない事。それだけです。

何とか頑張ってほしいです。今ならまだ間に合いますから。

ココまで・・・

花の香さんからは、その都度ご報告を頂いていました。案の定。卒業式でも入学式でも「出たくない」「行きたくない」とかなりごねたそうです。

でも「こういう意味でやるんだよ」「必要だから行くんだよ」とゆっくり丁寧に時間をかけて(これがとても難しいところです)何度も話をしてくださって、結局、卒業式にも、入学式にも参加できたそうです。

その後「ご褒美に・・・・」と言いたくなってしまったそうですが、それもぐっと我慢して、「偉かったね。カッコよかったよ♪」の賞賛だけにしてくださったそうです。

「やったら何くれる」は減ってはきたそうですが、学校が始まって3日ぐらいたったところで「学校行きたくない」と癇癪を起し、またごねたそうです。

その時の花の香さんのご報告はこうでした。

ココから・・・

学校が始まって、3日目の夜「学校行きたくない」が始まりました。これは卒業式、入学式より激しい癇癪でした。

久々に「行ったら何くれる?」も口にしました。(パピーさんの言った通りです)

疲れているのも確かだと思うので、まずは共感しなくちゃ、とこんな風に言いました。

「初めての場所に行くんだから、そりゃ疲れるよ。授業だって幼稚園とは違って長いよね。だから疲れるよ。分かるよ。最初は辛いよね。そんなに辛いんだったら、思いっきり泣いて良いよ」と言いました。

少し落ち着いてきて「何か買って」と言うので、「何か買って上げても、あなたの辛さは無くならないよね。だから何かを買ってあげるとかはしないよ。疲れた時は、ご飯を食べてぐっすり眠るんだよ」とだけ言うと、今度は大声で泣きだしました。

今までの私でしたら、とっくに折れていましたが「ここが勝負ってパピーさんが言ってた」と思い出し、近所迷惑だと知りつつも、泣かせ続けました。

最初の30分は本当にうるさかったです。(わざと)でもそのうちトーンダウンしてきて、最後はふてくされて眠ってしまいました。

パパが返ってきてから「おなか減った」と起きてきて、パパと一緒に、眠そうにご飯を食べて、お風呂も入らず、また寝てしまいました。

でも次の日はちゃんと起きて、「今日行けば、明日は学校お休みだ。頑張ろう!」と言ったのです。

「頑張ろう!」なんて、この子の口から生まれて初めて聞いたように感じます。

たった一言、子供自らの「頑張ろう」に感動してしまって、「何かご褒美上げたい」と思ってしまうのですが、これがいけないんですよね。

子供が学校に向かった後、こうしてお返事を書いています。

昨日寝る前に、パパが「〇〇、変わってきたよな。あの子は難しい子だと思ってたけど、ちゃんと治るんだな」って言ってました♪嬉しかったです。

きっとこれからも「やったら何くれる」や「やる代わりに何か頂戴」とは言うと思いますが、その度「それは違う」って、親の態度を統一していこう!とパパとも約束しました。

パピーさん、今回、本当にいい勉強になりました。そしてパピーさんが「今だけ」じゃなくて、中学生・高校生・それ以降の将来の事まで考えておられることが、他の子育ての先生方とは全然違うと感じています。

私にも「きっとこうなるから」って先に教えてくださっていたことで、覚悟と準備とができました。ありがとうございました。

これからも勉強続けます。よろしくお願いします。

ココまで・・・

子供が初めて「頑張ろう!」って言った。

それは花の香さんとしては感動したと思います。「何かご褒美上げたくなった」
そうですよね。その気持ちわかります。

でもまだ「頑張ろう」と言っただけですから、我慢してくださいね。

これが頑張って何か成し遂げたり、「やった!僕にもできた」という感動や喜びを感じられるようになり(物は副次的なんだと理解できたら)ご褒美も時にはいいと思います。

それまでは、誕生日などの『特別な時』だけになさってくださいね。

さて、今回、不登校になりやすいパターンからすると少し異質ではありますが「〇〇あげるから××しなさい」は、結構多くのお宅でやってしまっているケースです。

それがどんな危険性をはらんでいるか?は分かっていただけたかな?と思います。

私たちが気づかないところに落とし穴がありますし、それを親が自ら掘ってしまっていることもありますから、もし「あ、ウチもやってる」と気づかれたら、早めに修正してくださいね。

それではもうすぐゴールデンウィークです。楽しい時間を過ごしてください♪

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パピーいしがみ 人材育成の現場から、育児・子育てこそが、本人の一生のベースになると痛感し、吸収したノウハウやアイデアを自分の3人の子育てに応用。子供達が喜びと自信を持って成長していく中で、親としての充実感と予想をはるかに上回る結果に驚愕する。2003年あまりの少年犯罪の多さ、幼児虐待の事件に心を痛め、その子育て育児方法をインターネットで公開。熱烈なサイトのファンからの要望で、テキストを作成し通信講座として紹介。著書も好評で現在は会員さんから毎日届く悩みや相談に応えている。

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