第1237号 天才って作れる?!
こんばんは。パピーいしがみです。
「天才」って言葉(努力ではどうにもならない・・・みたいで)私はあまり好きではなかったのですが「でもそういう人、いるよね」とは思っていました。
例えば、今、大活躍の大谷翔平さんは、やっぱり『Amazing』ですよね。
ただ軽々しく「天賦の才(てんぷのさい・天にあたえられた才能)」と言ってしまうと、あたかもそれまで積み重ねたであろう血のにじむような努力を軽んじているような・・・そんな雰囲気が嫌だな~とは思っていました。
それに「天賦の才(生まれてながらにして持っている才能)」って、なんかずるい!って感じがするじゃないですか?
以前、陸上競技の400mハードルで、その種目初の日本人メダリストとなった為末大(ためすえ・だい)さんが、
「諦めなければ夢が叶うなんてありえない。そこには親からもらった丈夫な体、骨格・筋肉、そして人に負けない練習があったからだ」と言っていて、
いや、そりゃそうなんだけど。そこは頑張っている子供たちや、後に続く人に希望を持たせてあげる言い方してもいいんじゃない?と感じたのを覚えています。
実際「諦めなければ夢が叶う」なんて事は無くて、頑張っても頑張ってもなかなか上位に食い込めない、という事は多くの人が経験しているし、
それは運動だけじゃなく、勉強、文化、芸術などでも言えると思うのです。
私もこうやって相談業務をして、何千件ものご家庭の様子を聞いたり、その家の問題に対応していると(もちろん改善のご報告はとても嬉しいのですが)驚くようなご報告を頂くことが時々あります。
それは例えば「〇大や〇大(超優秀な大学)に入りました」とか「数学オリンピックに出ました」とか「子供がテレビや新聞で取材されました」とか「世界大会に行ってきました」とか「日本代表に選ばれました」とか・・・。
実はそういう華々しいご報告って、このメルマガでは紹介していませんよね。
一つにはすぐに個人を特定できてしまう、という事もあるのですが、そもそも頂点を目指しているわけではないし、華々しいお話をしても、雲の上の事のように感じたり、ご自分のケースと比較して落ち込んでしまうとしたらかえって悪影響です。
逆に「そんな風になれるんだ!」なんて期待されてしまうと、私が意図してない(最も避けたい)方向に行ってしまうような気もします。
なので驚きの成果とともに「勉強を始めてから・・・」とか「すごい効果があって驚いています・・・」とか書いてくださる文面を見ると、
(そう言ってくれるのは嬉しいけど、それは私だけの力ではなく、もともと持っているものがあったんだよ~)と、社交辞令を含めての言葉として受け取りながらも、
でも、こういう子たちは、性格も良く、友達も多いし、コミュニケーションも上手で、遊びもちゃんとやってるし、いろんな方面に秀でていて、家では兄弟げんかもするし、お母さんとバトルもする。(これも正しいことです)
ご家庭では、私がお願いしていることを理解してやってくださって、もちろんご報告くださった分野の成績だけではなく、他方面でも相当いいのですね。
私も、どうしたって抗えない「持って生まれた才能」はあると思ってはいましたが(それだけじゃないところもあるな~)という印象はありました。
もちろん勇気をもって挑戦したり、楽しんで練習するのはすばらしい効果があります。「やったぞ!」「できたぞ!」の感動は、さらにやる気を高め、成功体験を増やします。そこに気づいて褒めてくださると、またこれも喜びを強化します。
「でも持って生まれた才能はゼロではないよね~」という私のそんな考えを覆す、理論的に証明するような本を今読んでいて「え~!そうなの?」と驚いています。
今、いい本に巡り合えることがとても多くなりました。
あ、ちょっと脱線しますが、あなたは書店に行って「中身を読んで買ったはずなのに、この本、あんまりだったな~」という経験はないですか?
私は田舎住まいなので、書店もそれほど品ぞろいが良いわけでもないし、Amazonでタイトルやレビュー記事に惹かれて購入してみると「あ~お金の無駄だった」という経験を今まで何度もしてきました。
ところが今、「Amazon audible(アマゾン・オーディブル)」という『聞く本』のサブスクができて、月々1500円で際限なく12万冊の本の中身全部が読める(聞ける)サービスがあるのです。
(声優さんやプロの方が朗読してくれて、とても聞きやすいですが、全ての本を網羅しているわけではなく、課金が必要なものもあります)
ただ私は活字を目で追って、気になるところには線を引き、付箋を貼って読み返したいので、読みたい本は手元に置きたいのですね。(だから良い本は付箋だらけになります)
なので本のレビューをしているユーチューバーさんがお勧めする本で気になったものがあれば、まずは Amazon audible で聞いて、内容が面白そうなら購入するし、「買うほどでもないな」と思ったら聞くだけで買わない。
このやり方を始めてから「買った本で失敗する」って事が無くなりました。audibleで確認するようになってからは0%です。
ただ良さそうな本で「気になるな~」と思っても Amazon audible には無い場合があります。
その時は、YouTubeで他に同じ本の紹介をしている方はいないか、さらに調べてみて(良い本は多くの方が紹介しています)購入するときは賭けですが、多くの方が推薦される本に間違いは少ないようです。
でも月々1500円(本一冊より安い金額)で「買って後悔」することが無くなりましたし、一度「聞く読書」で予習しているので、活字で読んだ時の吸収がものすごく早いのです。
(私はこんな使い方をしていますが、通勤にバスや電車をお使いの方や、お子さんとの外出んの多い方は、車内で子供たちに聞かせたりできますし、是非、お試しになった方がいいですよ。1カ月無料ですし(^^))
・・・と、これですごく充実した毎日を送っています。今日の情報は、そうやって探した本の中に書かれていたことです。
その題名は【天才は、ディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる】です。金額は税抜き1800円。(税込1980円也。高~い!(驚))
『1万時間の法則』ってご存じでしょうか?これは乱暴に言ってしまうと「1万時間練習すればプロになれる」のような事なのですが、厳密にはそれは正しくはありません。
でも「1万時間練習すればプロ”みたい”に上手になれる」としたら、かなり的を得ているし、結構モチベーションを上げてくれるのではないでしょうか?
1万時間って、1日5時間で毎日続けると5年半かかります。
もちろんルーチンワークのような練習ではダメでしょうから、密度の濃い練習で集中して・・・と考えると5時間・毎日はムリですよね。
なんとか3時間頑張って・・・ですと毎日・休みなく365日で、9年半かかります。これも続きそうはありません。
じゃあ2時間ならどうだ?と計算すると、なんと14年9カ月です。
高い高い壁ですよね。
でもあの将棋の藤井聡太さん。彼は14歳と9カ月でプロになりました。5歳から将棋を始めて、相当のめりこんだと聞きますが、約10年未満の将棋歴でプロになったことになります。
どうやら寝ている時以外はいつも将棋の事を考えていたらしいですが、それを考えると『1万時間の法則』も全くの否定はできないなと思います。
そして「天賦の才」についてですが、昨年サッカーワールドカップで一躍有名になった、田中蒼さんと、三苫薫さん。二人とも今や世界で注目されるほどの一流プレイヤーです。
が、彼らの住まいが近所で、同じサッカークラブだったことは有名です。
だとしたら・・・そんな世界で活躍できるほどの天賦の才を持っている人が、同年代で近所にいる確率ってどれだけなのでしょうね?
・・・相当低いと思います。
又、ポーランドのワルシャワで開かれるショパンコンクール(世界中から超優秀な若いピアニストが5年に1度、ここに集まります。2021年大会では全世界から集まったのは151人。日本人14名)
最終審査に残った12名の中に反田恭平さんと小林愛実さんがおられました。結果は、反田さんは歴代日本人最高位の2位に。小林さんは4位になりました。
このお二人も近所で、同じ音楽教室に通っていました。
さらに、東京オリンピックの男女混合ダブルスで優勝した水谷準さんと、伊藤美誠さんは、年代は違えども同じ静岡県磐田市の出身で、同じ卓球クラブでした。
・・・と、こうなると「天賦の才」という称号は後付けじゃないか?と思いたくなります。
また、これもサッカーの例になってしまいますが、どうしてブラジルはあんなに超一流のサッカー選手を何人も何人も輩出しているのでしょう?・・・実はそこにも明確な理由があるのです。
この本では、今まで「天才」と言われた人が、才能ではなかったんだ・・・という事を証明している本でもあるのです。
では「ディープ・ラーニング」とは何でしょうか?これって、直訳すると「深く学ぶ」となるのでしょうが、ちょっと下記の単語を見てほしいのです。
Aチーム
leaf/tree
sweet/sour
movie/actress
fruit/vegetable
Bチーム
bread/b_tter
phone/bo_k
pen_il/paper
b_at/river
AチームもBチームも2つの言葉が書かれていて「/」で区切られていても関連する単語だという事が分かります。
そしてBチームは、スペルが一つ抜けていて、「そこはaが入るんだな」とか「oが入ってbookだな」と考えられたと思います。
では、この4つの組み合わせ。Aチームには何があって、Bチームには何があったか覚えておられるでしょうか?(読み返さないで思い出してくださいね)
多分、Aチームの単語より、Bチームの単語の方が覚えておられて、それも組み合わせも完璧に近かったのではないでしょうか?
正解を言ってしまうと、その記憶の定着は3倍も違うのだそうです。
このように「ちょっと躓く」「ちょっと立ち止まる」「ちょっと考える」「ちょっと頭を使う」事がディープ・ラーニングなのだそうです。
本にはもっと数多くの例題があるのですが、私はこれをやって驚きました。
なぜならAチームはほとんど覚えておらず、反対にBチームはほぼ覚えていたからです。(ディープといえど、ほんのちょっと深いだけです)
でもこれで「ディープ・ラーニング」がいかに効果的か?は明白です。
そして前出しました藤井聡太さんですが、彼の趣味は『詰将棋』なんですね。(詰将棋とは将棋のルールを使ったパズルです)何度も失敗したり、いろんなやり方を試したのでしょう。
つねに将棋の「ディープ・ラーニング」をしていた訳です。
ここで私はちょっと震えました。というのは私は「失敗させてあげて」「失敗が大事なんです」と言っていますよね。
ただ学ぶのでなく、こういう「失敗」や「躓き」こそが「ディープ・ラーニング」なんだって分かったからです。
実はまだあります。
私たちの脳は、ニューロン(細胞)とニューロンを繋ぐ神経回路(細胞)「シナプス」があって、そこを電気信号で繋げた回路が『能力』になる、という事はかねてからの研究で分かっていたことでした。(私はこれをどこかで書いた覚えがあるのですが、見つけられませんでした)
その回路は「やったぞ!」とか「できた!」という感激や喜び、理解や手ごたえで作られ、繰り返すことで強化されていくのです。(この本の中では「発火する」と書かれています)
記憶、行動、言葉、考え、表情、感じ方。要は私たちの全てのスキルに関わるものはこのニューロンとシナプス。そしてそこで発生する電気信号で説明ができたのです。
ところが今、新しく「ミエリン」という細胞が発見されて、それがシナプス(電気信号を伝達する細胞)にまとわりついて『絶縁体』の役割を持つ、という事が分かったのだそうです。
「それが何?」と思うかもしれませんが、私がこの時に「エ~ッ!!」と思ったのはオーディオマニアが使っているケーブル(スピーカーを繋ぐような線など)を思い出したからです。
あれって私たちが知っているのは、理科の実験で使うような2ミリ程度の細いコードだと思いますが、オーディオマニアの方々はそこに純度99.9%の太い銅線に何重にも絶縁体を巻き付けた太さ10ミリ以上の太くて硬くて重いケーブルを使ったりするのです。
(このケーブルが1メートルで数万円~数十万円するものもあるそうです)
それは電気信号を他に漏らさず正確に伝える為、と雑音の元となる外部からの不要な電気干渉を防ぐ為なのです。(現代の技術革新で絶縁効果の高い物ほど電気信号を正確に伝えられ音がすばらしく違うらしいです)
感度抜群のこのケーブルが脳の中で作り出され、強力な絶縁体としていくつものシナプスを保護しだす・・・。
としたら、記憶~行動~運動~芸術~考え方~感性~と、人の脳はとんでもなくパワーアップするわけです。
「ディープ・ラーニング」「一万時間の法則」そして「ミエリン」この3つがそろえば・・・「天才は作られる」んですね。
もちろん、私たちはそこを目指しているわけではありません。でも「できない」より「できた」方が良いし、「辛い」より「楽しい」方が良いのは明白です。
それが情報を知っているか否かで、変わってくるとしたらワクワクしませんか?
この「エミリン」が活発に発達するのは若い時なのだそうですが、年齢を重ねても「無くなる」わけではないそうです。
なので私は今「こりゃあもっと時間を有効に活用しなきゃもったいない!」と思って毎日朝が来るのが楽しみで、毎日やることがいっぱい!なんです。そしてできるだけ感動しよう!と思っています。
ちょっと興奮しすぎて、うまく伝わらなかったかもしれませんが・・・、
先の「〇大に入ったんです♪」とご報告してくださったお母さんが毎日続けたのは「小学生低学年からのいいところノートだったんです」と言ってくださっていました。
そのきっかけになったのが下記のメルマガだそうです。私も読み返したら当時の記憶がよみがえり、感動してウルウルしました。自分の書いた文章で感動したなんて変ですが、よろしかったらご覧になってくださいね。
第843号 もう2年前の私ではありません。
https://www.age18.jp/back843.html
そしてご興味がありましたら本の方も読んでみてください。(Amazon audible(アマゾン・オーディブル)なら1か月間無料です)
でもくれぐれも言っておきます。
一流有名大学も、オリンピックも、世界大会も、日本代表も、それが目的ではないですからね。それは副次的に起きた事であって、大事なのはそれまでの「喜びを感じながら成長する」と、その先の「子供が自分の力で人生を楽しく切り開いていくこと」ですから。
あ~。今日も長くなっちゃった。すみません。