第1240号 この子にとって最善の道は?
こんばんは。パピーいしがみです。
今日は、発達障害のお子さんを育てるうえで、私も知らなかったし、公には知られていないことに気づいた、 ポンキーさんのご報告を紹介したいと思います。
実はポンキーさんは、海外在住で、お子さんが1年生になったばかりの時にご主人の仕事の関係で移住されました。
私にご相談頂いたのは、海外に行ってからだったのですが、そのメールにはお子さんの様子が乳幼児の頃から細かく書かれていました。
すべて読ませて頂いて「これは発達障害(ADHD)だろうな」と思ったのですが、ポンキーさん。
日本にいる時も何度も発達の相談に行ったのに 「年齢なりの成長の過程で障害であるとは考えにくい」 と言われ続けていたのですね。年中時の幼稚園の先生にも「問題ありません」と。
もちろん「発達障害」の診断を下すのは医師にしかできません。
当然ですが、私も診断はできません。
ですが発達障害は脳の機能不全でもあるので、乳幼児からの様子、現在の様子、そして親がどう感じているか?(育てにくさや疑問)そして、親やそのまた親にもその傾向があるかないか?で、ほぼ分かると私は思っています。
なので、私がご相談を頂く時には、それらを聞いたうえで「~~だと思いますが、その内容を箇条書きのメモにして専門の先生に見せながら診断して頂いてください」とお願いします。
ところが ポンキーさんは、それでも「障害ではない」と言われたのです。
(ちなみに発達障害と学力は=(イコール)ではありません)
ポンキーさんご自身は日々の育てにくさなどから「発達障害なのでは?」と思いながらも、誰からも「そうだ」と言ってもらえない辛い日々を過ごされていました。
でも決して「発達障害にしたい」訳ではないのです。
最もそばにいるお母さんにとっては、日々の様子に疑問があるからこそ「だったらこの子にとって一番いい道は何か?どうすればいいのか?」を知りたいのです。
この時点ではポンキーさんも発達障害についてはあまり勉強されている様子ではありませんでした。(当然です「違う」と言われていたのですから)
そして私に「こういう状況なのですが、どう接してあげたらいいのでしょうか?」とご相談をくださったのですね。
私は「多分ADHDだと思います。でも私にはそれを診断することはできないので、ポンキーさんご自身が発達障害やADHDについて勉強してみて、書かれている内容とどれだけ合致しているかを確認して、その上で専門医に診断してもらってください」とお願いしました。
ただその診断が出ても治るわけではないですから
「大事なのは、子供の状況を親が理解して、子供の気持ちを分かってあげたり「難しいよね」と理解しながら説明したり、寄り添ってあげたりする事です」
「親からすると手がかかります。手がかかりますが【不可能】な事ではなく、じっくりゆっくり教えていくことで、できることは増えるのです」と付け加えておきました。
それと私が驚いたのが、ポンキーさんのお子さんは、家族で書店に行った際「子供の自己肯定感を高める10の魔法の言葉」という本を自分で見つけてきて
「お願いだからこれを読んで!この本には、僕が今伝えたいことが全部書いてあるから」と言ってきたそうなのです。
まだ自分で気持ちを整理することは難しいし、どうすればいいかを判断できる年齢ではないけど、本を読んで「そうなんだよ。僕はそう思っているんだよ」って共感できた。
そして親に「この本読んで!」って言えるとしたら「きっとこの子は改善していくだろう」と思ったのですね。(この年で自分を客観的に見ていますから)
その相談後、1年半ぶりにポンキーさんからご報告がありました。
こんな内容でした。
ココから・・・
ご無沙汰しております。ポンキーです。 その節は大変お世話になりましてありがとうございました。
いただいたお返事の内容をよく読んで、あれから、いろんな行動を起こしました。
いま、今年の学年修了の時期を迎えまして、何かやっと節目のようなものを感じ、ぜひこれまでのことをご報告させていただきたく思いました。
息子は現在も、以前と同じインターナショナルスクールに通っています。通常クラスで通常の授業を受けています。
発達・成長に関しては、いまだ色々とチャレンジの最中です。
以前にご相談したことは、どれも当時よりは軽くなったり、傾向が強くても息子自身がコントロールする力をつけてきたりなどの改善があります。人間関係についても頑張り中です。
いまは学校にも同じアパート内にも、遊んだり交流できるお友達がいます。
パピーさんに相談してすぐに、病院の発達検査を受けました。
結果は「ADHD疑い」でした。
初回の検査では、はっきりと「ADHDではない」と告げられたのですが、あまりにも学校での困り事が多く、医師から担任へ渡された質問票の結果が悪いので、それから期間をあけて数回の診察と検査ののち、そういう診断となりました。
しかし、特に療育などの指導はありませんでした。担当医師の先生は、診断中の息子の態度も、検査のスコアもあまりにも良いので、なぜ学校からこんなにひどい評価がくるのかと、毎回首を傾げていました。
もう一つ、学習面では、オンラインでマンツーマンの塾に入り、英語力がつくようサポートしました。
その後、学年が変わり、何度か問題が起こって学校に呼び出されたりはしたものの、新しい校長先生と新しい担任の先生のご理解とサポートも手厚く、そこから1年間を過ごしました。
現在は、今年の最後の成績も受け取り、学年残りわずかの毎日を過ごしています。もうすぐ2か月間の長い夏休みが始まります。
今年の6月の初旬に、学校の行事で二泊三日のキャンプに参加しました。
キャンプの開催を知らされたのは、昨年の9月で、その話があったときは正直、6月の実施日までに、息子が参加できるほど発達面で成長できるのか?参加して大丈夫なのか?無理なのではないか?とギリギリまで気を揉んでおりました。
直前に行った遠足の帰りのバスで、友達とのトラブルになったりもしていて…。
でも思い切って参加し、結果、なんの問題もなく目一杯楽しんで無事に帰って参りました。本人は相当楽しく嬉しかったようで、いまだに「キャンプにまた行きたい」と何度も話しています。
親としても本当に、息子の成長と学校の理解とサポートをありがたく感じました。
あのときパピーさんに相談させていただいたおかげで、病院へ行ったり、私が発達障害について学び始めたりすることができ、子育ての新しい挑戦を始めることができました。
いま、あらためてご返信を読み返して、温かさとありがたさで、胸がいっぱいになりました。本当に、あの時相談させていただいていなければ、今頃どうなっていたかわかりません。
息子は、ついた診断としては『疑い』となっていますが、学校や家庭での困り事はたくさんあるわけで、それでも結局「治療?」は何がなされるわけでもありませんでした。
正直に申し上げて、子供の特性が難しく、育てづらくて途方にくれることは今でもあります。
一方で、こういう特性なんだとわかってしまえば、かなり楽になった面も大きいです。
これまでの私は、例えば近視の人に「メガネなし」で教室の一番後ろの席から板書を強いて「なんでできないの!」と責めているようなものだったなあと… 。
できるわけがないんです、そういう状態なんだから… 。この場合はそれをわかってあげて、メガネを買ってあげればいいだけで、叱る必要がどこにもないんですよね。本当に申し訳ないことをしてきた、と感じています。
と、わかったつもりでも、いまだ同じような間違いを繰り返し、その度に「ああ間違った。ごめんね」と、時には子供に謝りながら軌道修正を繰り返す毎日です。発達に特性のある子の子育ての勉強は、今でもずっと続け実践しています。
パピーさんの講座に申し込む前よりも、私は格段に『幸せなお母さん』です。
毎週毎週、メルマガを読み勉強させていただいています。本当に、あれほどの内容を毎週欠かさず提供してくださり、言葉にあらわせないほど感謝しています。
特に先日の、特殊詐欺に関わる記事は、夫や親類にも転送させていただきました。
そして、 ここからは、発達障害に関することで、息子の育児を通して非常に気になったことが2点あり、それらをぜひパピーさんにシェアさせていただければと思いました。
まず1点は、 喘息の治療薬がADHDの様子を悪化(加速)させたのではないか?と感じている事です。
というのは、息子は4歳の秋に突然喘息の大発作を起こして入院して以来、2年にわたって喘息をコントロールする薬を飲んできたのですが、海外に来てから症状が治り断薬することができました。
すると、多動と衝動、特に攻撃性が以前より明らかに落ち着いたのです。
しかしいったん落ち着いた喘息が再発し、断薬から5か月目に再び服薬を始め、始めた途端に息子の行動の様子がまたおかしくなりました。
その時はちょうど 専門機関のサポートがついていた時期で、学校から「息子の様子が最近おかしい、明らかに以前と違う」と言われました。
「学校の担任ほか数人のスタッフと、専門サポートチーム全員の見解です」「最近何か生活で変わったことはありませんか?特に、新たになにか薬を飲んでいませんか?」との内容でした。
専門スタッフは行動をスコア化していて、以前とその時との違いを明確に数値化していたそうです。
それで、私が感じていた違和感は「私だけの違和感」ではなかったと思い、さっそく病院へ連絡して、薬の変更と減薬をお願いしました。学校と専門チームへもその旨を伝えました。薬を変えてからは、わずか数日でまた息子の様子が落ち着いてきました。
その薬の日本名称は、モンテルカスト (あるいはキプレス、シングレア) といって「安全性が高い」と長年にわたり、喘息の治療に標準的に使われてきています。
アメリカのサイトなども併せて調べると、製造販売後の調査で、精神面での副作用が見られることが指摘され「患者の状態を十分に観察すること」と注意喚起されていることがわかりました。調べてみると、日本での取り扱い説明書にも、ほぼ同様の記載がありました。
それでも日本では特に問題にはなっておらず、喘息の子供には『安全に使われる薬』として多くの病院で処方されていると思います。実際、それらの副作用とこの薬との関連性や作用については明確になってはいません。
それともう1つ。 ADHD傾向の子供への、ゲームほかデジタルコンテンツの影響です。
毎日、息子の行動の傾向を注意深くみていると、ゲームで遊んだ時間が30分を越えだすと、明らかに多動や衝動が増えてくることに気付きました。
ゲームが一番、この傾向が強いのですが、他に学習アプリ(英語、掛け算など)であっても、使用時間が長く毎日継続して使っていれば、衝動・多動・不注意が増え出します。
そこで、デジタルコンテンツの使用を厳しく制限してみました。使わないほど調子がいいです。
とは言え、今時「全く使わない」というのには無理があり、また子供の成長にとっても別の面で良くない影響があると思うので、ルールを決めながらゲームをやらせたり、デジタルを使わせたりしています。
つい先日、出かけたときにうっかり、特に制限を設けずに、レストランなどの待ち時間中に「ゲームをやってもいいよ」と開放したところ、あっという間に行動がおかしくなりました。
わずか1・2時間後には、移動で乗ったタクシーのあちこちを、勝手に触ったり、いじったり。隣にいた夫が声を思わず荒らげるほど、突然、衝動が止められなくなりました。
普段も移動でタクシーは使いますが、ここまで酷いことはまずなかったので驚きました。
私がいろいろ調べた中で、発達障害というものは、結局は脳の機能の問題だと認識しています。
左右の脳の各部位、そしてそれらをつなぐ部分になんらかの機能障害や発達不全を起こしているために、生活上うまく対応できないことが出てくると。
それらが起こる原因には様々あると思いますが、薬やゲームなど、本来なら受けなくて良い刺激のために、脳の機能に関して重大な問題が引き起こされているとしたら「これは看過できない。とても怖いことだ」と感じました。
一方で、脳の発達を促す良い方法も見つけています。それは運動と音読です。
こちらでは外遊びや運動が難しい部分があるのですが、音読ならいつでも簡単にできます。
音読はいいなと経験的に感じて、ネットで調べてみたら、くもんさんのホームページに、東北大学の川島教授と行った実験で「なにをすると脳を活発に刺激できるか?」というものがあり、結果はダントツで音読でした。
ほぼ全ての脳の部位を網羅して、刺激を与えることができていました。
息子はもともと音読は得意でしたが、少し難しい本を読む時には、やはりつまづいたり読み飛ばしたりします。そして行動が不調なときには、音読もやはり下手になっています。それまで読めたものが読めなくなっています。
なんにせよ、音読を継続することで、また良い刺激が入り、よいフィードバックがその都度、程度の差はあれ、起こると感じています。
(後略)
ココまで・・・
ポンキーさんの文章を読むだけで「相当勉強してくださったんだな」と感じますが、先日私がご紹介した「天才はディーププラクティスと1万時間の法則で作られる」も、今、日本から取り寄せているそうです。
「喘息の薬と、ADHDの悪化」「デジタルコンテンツと衝動・多動・不注意の関係」そして「音読が脳を活発に刺激する」はどれも私が知らなかったことですし、
もしADHD傾向のあるお子さんで、同じ薬を使っている方もおられるかもしれない、と今回のご報告を皆さんにお知らせさせて頂きました。もちろん正式な治験や発表ではないですが、私たちが困っているのは【今】ですからね。
この情報の恩恵がたった一人であっても、これを知ったことで、その子の人生が変わるかもしれません。(もちろん喘息とADHDを持っているお子さんがいる知り合いの方に教えてあげてもいいですよね♪)
ポンキーさんは、当初私が感じていた雰囲気がとても丸くなっている感じがしました。文面にもありましたね。「私は格段に『幸せなお母さん』です」って。
とても嬉しく思います(^^)。
ポンキーさん、ご報告をありがとうございます。またお子さんの変化などがあったら教えてくださいね♪
あ、ちなみにポンキーさんがおっしゃっていた「特殊詐欺に関わる記事」は、下記になります。もし読んでいなかったらお読みくださいね。
第1232号 ≪緊急≫ 狙われる子供達
https://www.age18.jp/back1232.html