第482号 甘えのボーダーライン2
こんばんは。パピーいしがみです。8月が終わるには、まだ1週間も残っているのに、もうすでに朝・晩は涼しさを感じますね。
夏になるまでに時間が掛かった分、“夏真っ盛り”もすごく短かったように感じます。
私達は過ごしやすいけど、こういう年は、作物が育たないんですよね~。農家さん、ご苦労なさらなければいいけど・・・って思うこの頃です。(^^)
さて今日は、前回の「甘えのボーダーライン」の続きです。
前回は、「甘えって大事なんですよ」っていう事。そして「甘えがあるから自立に向かうんです」っていう事。
その二つを、テンコさんからのお便りを元に、お話しさせて頂きましたね。今日は、後編をお送りしますね。
その前に、ここの部分。これを明確にしておきたいのです。
「甘えさせすぎると、わがままになるからです」私は、この言葉に二つの疑問を持っているんです。
まず一つは「本当にそうなの?」という疑問。そしてもう一つは「わがままっていけないの?」という疑問です。
最初の疑問「本当にそうなの?」ですが、よく、ダダをこねたり、ぐずったり、癇癪が激しい子の場合、周りの人が「甘やかしているからそうなるんだ」って言われます。
ご実家へ帰って、おじいさんやおばあさんに「甘やかしているから」のように言われた事はないですか?
まるで「あなたの育て方が悪いんじゃない?」みたいに・・・。
でも、考えてみてください。そんなおじいさん、おばあさんは、あなたの子育ての仕方を見ていますか?見ていませんよね?
なのにまるで判で押したかのように、「甘やかしているからそうなるんだ」って決め付けるんです。これっておかしくないですか?
私達の子育ての仕方、一挙手一投足のすべてを見て、それで忠告するのなら分かります。でも、結果(それもその時の子供の様子)だけを見て、「○○が原因だ!」なんて分かると思いますか?
私は断言します。その時だけの様子を見て、原因を特定できるなんて事は、“絶対に”“絶対に”“絶対に”無い!のです。
これは、私が沢山の子育ての相談を伺って言えることなんです。子育ての相談を受ける時、まず、今の状態を教えてもらいます。
そしてそれが起き始めた時、同時に何かが起きていなかったか?又は、他の問題も同時に発生していないか?その時に(お父さん、お母さんは)どんな対処をしたか?そして今、どんな対処をしているか?
なぜなら、すべての問題って、最初に原因があって、次にプロセスがあって、その時間の経過の後に、今の結果が現れているからです。
・・・注・釈・・・
もちろん、一回目の相談で欲しい情報が網羅されている場合には、すぐにお返事する場合もありますが、大体は何度かやり取りをして、状況を把握させて頂いています。
(会員さんの場合は、すべての履歴がありますので、重複してお聞きする事はありません)
・・・注・釈・・・
だから、結果だけを見て分かる、なんてことは、絶対にありえないし、もし、そうする方がいるのならば、その方は、特殊な能力を持った方か、もしくは、その言葉は『参考にするに足らない、いい加減な言葉である』と私は考えているんです。
そう考えてみると、どうでしょうね?ご実家へ帰って言われたり、ご近所やみ知らぬ人に言われる「甘やかしているからそうなるんだ」って、正しいでしょうか?
そうです。いい加減な言葉なんですよ!!そんな事言われて、気にされたり、悩んだり、落胆したりする必要は全くないんですよ(^^)
「フン!今に見てろ!」って思ってくださればいいんです。それにね。こういうこともあるんです。
かなり子供さんが荒れて困っている、異常なほど癇癪がひどい、どうしようもなくわがままで、親の言う事を全く聞かない・・・とお悩みの方に、
“子供の様子を見て担任の先生からも「家で甘やかしていませんか?」と言われるのですが、家で私はかなり厳しいと思うのです。私自身「甘やかしている」と思われたくないしだからこそ、厳しくしてきたのに・・・
まだ、これ以上厳しくしなければならないんでしょうか?”と涙ながらに相談される方がとても多いんです。
これって、私は「甘やかしているから・・・」という誤った情報を信じてしまった事で起きた、非常に残念な結果だと思わざるを得ません。(でも、早く気づければ、それだけ早く修正ができます)
そして、もうひとつの疑問。「わがままっていけないの?」です。
「こうして欲しい」と思っている時に「いや」って言って、ガンとして自分の意思を変えようとしなかったり、自分を抑える事が出来ずに、常に「自分が自分が」の人を、私達は「わがまま」と言いますよね。
特に、私達(大人)は「こうしたい」と考える時に、子供が従わなかったりすると「この子はわがままだ!」って思います。そして大人の都合に従わない子を「悪い子」って言うんです。
でも、どうでしょう?親の言う事や、人の言う事。なんでも素直に従順に、すべて「はい」と受け入れるのは、本当に良いのでしょうか?
私は、それについては、とても大きな疑問を持つんです。私達は子供時代を通って大人になりました。そして子供達はこれから大人になります。
大人になったら、自分で判断しなければなりません。自分の意思を持って、いろいろな選択をするんです。
そんな時に、“人の言葉をそのまま受け止めて、従うだけでいいの?”と私は思うのですね。自分の意思をはっきり言える事。これは絶対に必要だと思っているんです。
周りがなんと言おうが、嫌な事は「嫌」と言える。それが自分を守ることになると思うのです。だから多少の「わがまま」ってあっていい!と思うのです。
あなたにもこんな経験がありませんか?本当は嫌だったのに「嫌」と言えなかった事。「私はこうしたいんだけど・・・」でも、そんな自分を抑えて、周りに流され後悔した事・・・。もちろん、私にもありました。
人に流されて妥協して・・・それが失敗に繋がると、ものすごく大きな後悔になりますよね。だから、私は人から「わがまま」と思われても、「扱いづらい」と思われても、自分の意見を伝えよう、と決意しました。
いえ、何が何でも自分の意見を通すのではないんですよ♪聞く耳はちゃんと持ちながら、自分の意思もちゃんと持つんです。
自分の意思や意見を押し殺すのではなく、まずは「意思を持とう」そして「意見をちゃんと持って言おう!」って事なんです。
(でも、そうすることで「そういう考えもあるんだね」と共感してもらう事が増えたのは言うまでもありません)
『三人集まれば文殊の知恵』という諺があるように、“出し合う事でお互いに高まる”という事はとても多いんです。
ただ・・・常に常に、自分の意見ばかりを主張するようでは、周りとうまくやっていけませんね。
周りと上手にやっていく為には、「人の意見も聞ける」とか「周りと協調する」という事も必要です。
と言う事は・・・、「“素直・従順”が良い」「“わがまま”が悪い」のではなく、もし、自分の主張が強すぎるのなら、「“協調性が欠ける”傾向がある」だけで、それが足りないのなら、これから補っていけばいいんです。
そう。足りないのなら“教えてあげればいい”だけの事なんですね。
さて、どうでしょう?いろんな見方をしてきましたが、「甘えさせすぎると、わがままになるから」「甘やかしているからそうなる」この二つは、頭の中から取り去ってよさそうです。
そして、本題の「甘えと甘やかしのボーダーってどこなんでしょう?」に行きたいと思うのですが・・・。今までのお話が前提になっているので、整理しますね。
まず、1.私達は「依存」と「自立」を繰り返し、「依存」できる場所があって(甘えることができて)はじめて再び挑戦ができる・・・
そして2.十分な依存(甘え)がないと、本当の自立ができないだけでなく、依存(甘え)に対する強烈な執着を持つ・・・
とお話しましたね。甘えって重要なんですよ。というお話を前回したのでした。
そして、今回は、3.「甘えさせすぎるからわがままになる」は、どうも違うようだ・・・というお話をしました。
それを総合すると・・・・・・もしかしてあなたは今、「じゃあ、どんどん甘えさせれば良い!!」って事?と、思ったかもしれませんね。
もし、あなたがそうお思いになったとしたら、“ 厳し過ぎ ⇔ 厳しい ⇔ 甘い ⇔ 甘やかし ”と、一本の線のようにお考えかも知れません。
一本の線の中から、ご自分の姿勢を選ぶとしたら、これは難しいですね。どこまでが厳しすぎで、どこからが甘えで、どこからが甘やかしなのか・・・
子供の感情だって常に変わっているでしょうし、私達がどこで線引きをするべきか、一番良い場所はどこか?なんて全く分かりません。
ですが、これを“複数の線がある”と考えてみたらどうでしょう?
例えば、一本の線は「甘え(安心を与える為のもの)」もう一本の線は「厳しさ(教える為のもの)」それはまるで、ステレオのボリュームのように、です。
昔、テープレコーダーができたばかりの時は、スピーカーは1つでした。これを「モノラル」と言いました。
でも、その後「ステレオ」タイプが出てきましたね。スピーカーが2つあったタイプです。スピーカーが2つある(ステレオ)タイプだと、とても聞きやすく、音に奥行きが感じられます。
それと同じで、甘さ(安心)と厳しさ(教える)を1つのスピーカーで出すのではなくて、2つのスピーカーを別々に持って、それぞれのボリュームを調整してみる、って事なんです。
(一度、ご自分で調整しちゃえば、後は触る必要はありません)具体的に例をあげてみましょうね。
今までできた事も「出来ない」と言い出して、「お母さん、手伝って」「僕一人じゃ出来ない!」と言い出したとしましょう。
それが「あ、この頃ちょっと上手くいかないことが多くて、イライラしてたっけな・・・。甘えたいんだな」などと、その甘えの理由が分かるのならば、気持ちよく受け入れてあげればいいと思います。
ですが、甘える事が楽で、だんだんエスカレートして、「ご飯はいやだケーキが食べたい」とか、「おもちゃを買ってくれなきゃ○○しない」とか「お母さん、あれして、これして」と自分は何もせず、
そのくせ何でもお母さんに指示や命令をしたり。「お母さんが○○だから□□なんだ!」などのように怒ったり、それらが明らかに理不尽な要求だったり、家庭の秩序を乱すような重大な間違いに繋がりそうであるのなら、「それは違う!」ときっぱり跳ね除ければいいと思うのです。
これは“わがままにならない為に”するのではなく、「自分の願いが叶う事ばかりではないよ」「あなたの言っている事はおかしいよ」と“教える”為なんですね。
“教える為に”はっきりNO!と跳ね除けるんです。当然、子供は癇癪を起こすでしょう。大声で泣き叫び、当り散らすかもしれません。
でも「NO!」なのですから何があっても「NO!」のはずです。泣こうが喚こうが「NO!」を貫くんです。
ここで「かわいそうだから」とか「泣き声を聞きたくないから」などの理由で、「そんなに泣くなら・・・」と折れてしまったり、「じゃあ、○○してあげるから・・・」のように、交換条件などを提示したり、物で釣ってはぐらかしてはなりません。(焦点がぼけてしまうからです)
そんなことをしたら「教える」どころか、子供は、「泣いて喚いて、騒ぎ通せば、思い通りになる」とか、「願いは叶わなくても妥協案が出てくる」と経験・学習します。
又、同様に、「お母さんの“NO!”は本当の“NO!”じゃない」「お母さんを操るなんてチョロイもの」と認識します。
せっかくの「足りないところを教える“チャンス”」なのに、余計に「わがままになる事を助長してしまっている」って事なんです。
途中で覆してしまうようなNO!なら、しないほうがいいんです。“教える”事ができない「厳しさ」だったら、厳しくする意味がないんですね。
「これを容認したらこの子は間違ってしまう」と、ご自分の中で思う事。ご自分のポリシーを逸脱する事。「それだけは絶対に覆させない」そう思う事だけをNO!にして欲しいんですね。
そして、一度NO!にしたのなら徹底的にNO!です。又、徹底できないNO!なら、簡単にNO!と言わない事です。(これ重要です)
最後です。まとめますね。
「甘え(安心を与える為のもの)」のボリュームは常に多め。与える時には、躊躇せず。どうせ与えるのなら楽しく与えて、「厳しさ(教える為のもの)」のボリュームは極々少なめに。でも、一旦NO!を言ったら何があっても覆さない。
そしてもちろん、子供がちゃんと理解したら、十分に褒めてあげるんです♪
因みに・・・ですが、もし、今、2本のボリュームを持つ事ができている方は、そこにもう1本、ボリュームを持つ事も出来ます。
それは「やる気」のボリュームです。モノラルのテープレコーダーよりも、ステレオプレイヤー。ステレオよりも映画館(5.1サラウンド)・・・。沢山の表現ができれば、それだけ受け取る方も違ってきます。一応、ご参考までに・・・(^^)
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