第546号 初心者?
こんばんは。パピーいしがみです。
今日のタイトルは「初心者?」としました。
この「初心者」というのは「お母さんとしての初心者」という意味なのですが、
実は、今日のご紹介させていただくミルキーさんは、「保育士」さんとしての実績がありました。
お悩みを抱えているお母さんの相談に乗ってあげたり、又、問題のあるお子さんを指導したり、「子育て」に関しては自信があったんです。
でもご自分にお子さんができて、その自信が崩れます。
保育士としての経験が、自分の子供さんには当てはまらなかったようです。
しだいにずれていく歯車。「保育士だったのに」という周りの目や声。一度ずれてしまった歯車はなかなか戻らないのでした。
そこで、私がお返事した内容が「お母さんとしては「初心者」だと考えてみたら?」でした。
さて、ミルキーさんには、どのような変化があったでしょう?それでは、ご紹介しますね。
まずは、一番最初に頂いたメールの内容を。
ここから・・・
パピーさん、はじめまして。
ご相談はこちらのメールアドレスでよろしいでしょうか?
どこからお話ししていいか分からないのですが、子供の友達の親(保護者)達との事なんです。
私は、結婚するまで保育士をしておりまして、大学を卒業してから約5年。
大好きな子供たちに囲まれての仕事はとても楽しくて、又、有意義でもありました。
子供たちのお母さん方からのご相談に乗って差し上げて、喜ばれたりして、とてもやりがいを感じていました。
結婚をし、妊娠をしたので退職をして、「これから私は自分の子供の専属の保育士になるんだ!」と、とても楽しみにしていました。
生まれてきた子供もとてもいい子で、私は今まで培ってきた経験を駆使(したつもりでした)し、いい子に育ってくれて、周りの方に「さすがね」と言われました。
その時に、さまざまな方から「昔、保育士さんだったそうですね?是非、教えてください」と言われて、ご相談に乗ってあげたり、アドバイスをしたり、「こうしたらどうでしょう?」という御提案をしていました。
いえ、本当は、もっときつい言い方もしていました。
「○○だからダメなのよ、こうするのよ」のような・・・。
その時、私には「子育てってこうやればいいんだ」という気持ち(裏付けのない自信です)があって、他のお母さん方にかなり高飛車な言い方もしたと思います。
ですがまだ、その時には気づいていませんでした。
2人目の子供(娘)が生まれてから、長男に変化がありました。
娘はとてもこだわりが強く、非常に繊細でした。
抱っこしていないと泣き、泣いたと思って布団に下ろすと又、すぐに目を開けて大声で泣き出す。
娘にかかりっきりの私は、本当に疲れてしまって、長男の甘えに付き合ってあげることができません。
赤ちゃん返りも始まり、ぐずりや癇癪もひどくなり、言っても言っても聞かない息子がしだいに可愛くなくなりました。
一度狂った歯車は元に戻ることはなく、私は常にイライラ。
そしてそのイライラを長男に当たる・・・。その様になっていました。
幼稚園に通っていた優等生だった長男は、しだいに問題児になっていき、私は、幼稚園で、若い保育士さんに「何か家庭内で問題がありませんか?」と言われ、逆上してしまいました。
私が今まで培ってきたものが、大きく崩れ自信を失いました。
「今まで自分のやってきたことは何だったの?」
そんな不安や喪失感や失望から、又、長男を叱りつけて強制的に動かそうとする。長男は泣き、叫び、又わたしは怒る・・・悪循環でした。
長男は、今までに輪をかけて幼稚園で問題を起こすようになりました。自分の思い通りにならないと、お友達を殴る、蹴る。引っかく。
先生に止められたり、指導されると大声で泣きわめき聞こうとしない。暴れて机を倒したり、椅子を散らかしたり、それはひどい癇癪です。
昔はこんな事なかったのに・・・。
子供のそんな様子を見て、以前、私がアドバイスをしたお母さんたちが、陰で私の悪口を言っていると聞きました。
「偉そうなことを言っていたけど、結局ちゃんと子育てできてないじゃない」
その内容は私の仲の良いママ友さんから聞いたのですが、それからは、周りのお母さんたちの視線に耐えられなくて、本当に苦しい毎日なのです。
今も、このメールを書いていても、涙が出てしまいます。パピーさん、私はどうしたらいいのでしょうか?
子育ての悩みでなくてすみません。
ほんのちょっとでもアドバイスを頂けたら嬉しく思います。
・・・ミルキー・・・
ここまで・・・
こんな内容でした。そして私はこのようにお返事しました。
ここから・・・
ミルキーさん、こんにちは。パピーいしがみです。
メール、拝見しました。お辛そうですね。お気持ち察しします。
ですが、これって本当によくあることなんです。特に多いのが「人を指導する立場」にある方です。
学校の先生などはその最たるもので、私の父も小学校の先生ですが、
正しいと思っていた、自分の教育方針で子供を育てても、子供が反発して道を外れていく、(歯車がかみ合わなくなってしまう)という事はとても多いです。
私も例外なく、道を外れましたしね・・・(^^)
他にも、医師・政治家・僧侶・会社社長・・・など、「教える」「人の上に立つ」という立場にある方の場合、
無意識に「きちんとしていなければならない」と言うか「人から“さすが先生ですね”と言われるように」行動してしまうようになりがちなのですね。
それが、どうしても「叱る」を増やしてしまい、
うまくいかなかったり反発すると、「言い聞かせる」「強制する」「責める」「押さえつける」になってしまいがちで、
それらはすべて「否定」ですから、子供は「安心」することができず「不安定」になっていく。又、その「不安定」が問題を引き起こしていく、という事になるんです。
でも、もともととても素直な子だったのですから、ミルキーさんが、ご自分を取り戻してくださると、すぐに落ち着いていくと思います。
それで・・・ミルキーさんは今、すぐにでも子供さんを治し、噂(陰口)を流しているお母さんたちのその噂を止めて、
又、昔のように楽しい毎日が送れるようにしたい、とお考えだとは思うのですが、
今、こうなるまでに時間がかかったように、一瞬でガラッと変化する、と言う事は難しいです。
ですから、一つ一つ、段階的に進め、問題を解決していきましょう。
そこで、まず第一にお願いしたいことがあります。
それは「私は初心者なんだ」って思う事なんです。
時々メルマガでも話していますね。「選手の時とコーチの時」という話です。
例えば、ミルキーさんが、保育士さんの時、ミルキーさんはたくさんの書物を読んで知識を深めましたね。
又、実際に「保育士」としてたくさんの子供たちと触れて、キャリアも積んで、きちんとした実績を残されました。
それは、保育士という職業の中で、ご自分のスキルを高められた、まさに「選手」としてご自分の能力を高めていったのです。
ですが、お子さんが生まれて、ミルキーさんは、今度は選手から「コーチ」になったのですね。
コーチは自分の能力を高めるのではなく、選手の能力を高めるのですから、今まで培ったことが通用しなくなったり、
新たな勉強(コーチとしての知識や経験の習得)が必要になります。
それが証拠に24時間子供と一緒にいると、勉強した事以外の悩みや問題が生じたと思います。
そう。お母さんは「コーチ」なんです。
そして、保育士さんとしては優秀な選手だったミルキーさんも、お母さんと(コーチ)としては初心者なんですね。
だから、たくさん失敗することだってあるはずなんです。
でも、失敗はいけないことですか?そんなことありませんよね。
きっとミルキーさんも今までには沢山の失敗をしてきたでしょう。
そして、その失敗によって新しい気付きがあったり、新たに勉強をしたり、努力を重ねて乗り越えて、それが自分の力に、自信になっていったと思うのです。
たぶん、今まで、ミルキーさんは、「こうならないように」という考え方をされていたと思います。
又は「そうなってもできるだけ早い段階で修正しよう」という感じです。
でも、どうでしょう?
「失敗が自分を高める」って分かったら、失敗は怖くないですよね。成長をするためには失敗をすることが必要ですね。
なので「私はコーチの初心者なんだ」という気持ち。
そして「たくさんの失敗をして、上手なコーチになるんだ」というお気持ちを持ってくださると、今の「焦り」や「不安」はかなり解消すると思うのです。
どうでしょう?まずは、こう考えて頂いて、今勉強されているテキストを少しずつ読み進めて頂けますか?
きっと、ご自分の中で思い出すことや、「そうだ、これを忘れていた!」という気付きがあると思います。
それでも、苦しくなったら又メールくださいね。今は大変でも、この経験がミルキーさんを「保育士」として、一回りも二回りも大きくしてくれると思います。
ここまで・・・
このようなやり取りをしたのが、約1年前でした。
ミルキーさんからはすぐに「とても楽になりました」「がんばってみよう、やってみよう!という気持ちが出てきました。」というメールを頂いていました。
そして、つい先日、頂いたメールです。
ここから・・・
パピーさん、ミルキーです。お久しぶりです。
いつも、テキストやメルマガから力をもらっています。ありがとうございます。
約半年ほど、メールもせず申し訳ありません。
あれだけ親身に相談に乗ってもらったのに、うまくいき出したらご報告もせず、申し訳ありませんでした。
講座の申し込みをしてすぐにパピーさんに送ったメールから、ちょうど1年経ちましたので、ご報告をさせて頂こうと思います。
もちろん♪いい報告です。
ご報告をする前に、パピーさんから頂いたメールを読みなおしました。
そしたら、あの頃、ものすごく落ち込んでいた自分。息子に当たり散らしていた自分。
夜、子供の顔を見て涙が止まらなかった自分を思い出しました。
でも、お返事を頂いてすごくうれしかったこと。思わず涙を流し、何度も読むたびにやる気がわいてきたこと。
今までは、重く冷たい涙だったのが、同じ涙のはずなのに、温かく感じられたこと。私にとっては、本当に救われたお返事でした。
ありがとうございました。
「初心者なんですよ」という言葉を読んで、私は「そうだよ、今まで実際に子供を育てたことがなかったんだから、失敗して当たり前なんだよ」という気持ちに変わりました。
この時は『目からうろこ』でした。
そうしたら、肩肘はってがんばってきた、パピーさんの言われる「きちんとしていなければならない」「人から“さすが先生ですね”と言われるように」と行動してしまいがちだった自分に気がつきました。
「先生」なんておこがましいですよね(笑)初心者なんですもの。
「そうだそうだ。初心者なんだ。だから失敗していいんだ。失敗して上手になるんだ。」と思うと、今まであった「焦り」「プライド」など、
おなかの中で渦巻いていた黒いものがさーっと落ちていく。そんな感覚でした。
又、段階的に、一歩ずつ・・・と言ってくださった事で、階段を上がるように、それからのメールにお返事して下さったことが私を安心させてくれて、そして素直にさせて頂きました。
これは、ご報告はしていなかったのですが、
以前、若い保育士さんに「何か家庭内で問題がありませんか?」と言われて、私が逆上した話をしましたが、
その保育士さんにも「相談に乗って頂けますか?」なんて素直に言えたり(私にとっては、すごい成長です)、今では、とても仲良く「先生」と「お母さん」の関係が作れています。
まだ、保護者の方々からは「保育士だったくせに」という声はあるようですが、それほど気にならなくなってきてもいます。
以前は「心療内科に行くしかない」と思っていたのですが、自分の考え方で「これほど違うか」と驚くほどです。
その後、パピーさんとメールのやり取りをさせて頂いた中で、「お兄ちゃんをお兄ちゃんとして褒める」や、「お母さんの失敗を話す」(これはテキストでしたね)や、
「できなくてもいい、できればもっといい」などは、長男の心も、私の心も落ち着かせてくれて、
当初、あれだけ荒れていた長男は、笑顔も増えて、人を叩くことも、暴れることもなくなりました。
いつも「認める」「褒める」「包む」がベースになっていて、そこから外れることが無いので、すごいな~と思います。
先生からは、「今はまっすぐ私の事を見てくれるんですよ」「目が合うとにこっと笑ってとてもかわいいです」と言ってもらっています。
私に「他のママさん達がこんなことを言っているよ」と教えてくださったママ友さんは、私の変化に驚いて、「なんでそんなに変わったの?」と聞いてくれたり、
主人からも「お前、変わったよ~♪怒らなくなったし、結婚前より穏やかな顔をしてる」って言ってもらいました。嬉しかったです~(涙)。。。
( 後 略 )
ここまで・・・
実は、この後もまだまだ、ご報告は続くのですが、紙面の都合上、ここまでのご紹介にさせて頂きました。
ミルキーさん、貴重なご報告、ありがとうございました。
ミルキーさんに「初心者なんですよ」ってメールを送る時は、実は私も、かなり躊躇していて、
「そんな事を言ったらご立腹させてしまわないかな?」と、私としては「恐る恐る」だったのですが、とても真摯に受けて止めてくださって、私もホッとした事を思い出しました。
「安心」ってすごく大事ですよね。
これは、子供だけでなく、大人でもそうだと思うのです。大人だって「不安」の中では正しい判断ができないですし、正しい判断ができなければ、当然正しい行動はできません。
以前は「心療内科に行くしかない」と思っていたミルキーさん。
「保育士だったくせに」には、大きな不安を感じたと思います。
そして“ちゃんとしなくちゃいけないに、私は何やっているんだ”という大きな焦りがあったと思います。でも今は、「それほど気にならなくなってきてもいます」とありました。
きっと「安心」を取り戻してくれたんだな~、私もお力になれたんだな~と、とてもうれしく思います。
そして、何よりここが感動的でした。
“これは、ご報告はしていなかったのですが、以前、若い保育士さんに「何か家庭内で問題がありませんか?」と言われて、私が逆上した話をしましたが、
その保育士さんにも「相談に乗って頂けますか?」なんて素直に言えたり(私にとっては、すごい成長です)、
今ではとても仲良く「先生」と「お母さん」の関係が作れています。
先生からは、「今はまっすぐ私の事を見てくれるんですよ」「目が合うとにこっと笑ってとてもかわいいです」と言ってもらっています。”
ご自分よりも年下で経験も少なく、そんな若い先生でもお認めになって、素直に相談したり、教えてもらったり・・・。
これって素晴らしいな~って思います。
お子さんもミルキーさんも落ち着いているようですし、とても良い方向に向かっています!!今後が楽しみですね。
これからも、是非、この調子でお続けくださいね♪メルマガへのご紹介のご許可、ありがとうございました。
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