第553号 客観的に考える2
こんばんは。パピーいしがみです。
今日は、前回の「客観的に考える」の続きで、
“(これは我が子ではないのですが)「自分の気持ちを考える」についてこんな事をしましたよ~♪”というお話しをするのでしたね。
それでは、早速お話ししますね。
それは、私がまだ20代の頃の事です。
その時にはまだ結婚はしておらず、社員教育に興味を持ち始めた頃、だったと思います。
私には、幼少の頃、とてもよく面倒を見てくれた叔母さんがいます。
その人は、母の一番下の妹で、私とは・・・確か15・6歳年上の、私にとって「お姉さん」的な存在の方でした。
その方も結婚をし子供が生まれ、その子(息子)が2年生の頃でした。お盆で実家に帰り、親類が集まっていた時です。
何やら子供が大声で泣いている声と、大人が大声で叱って(怒鳴って)いる声が聞こえました。
叔母「いいのよ“僕はこう思いました”って書けば!!」
息子「わかんない、わかんない~!!(涙)」
叔母「やらずに“分からない”って言うな!まずやってみろ!!(怒)」
息子「やったけど、できないんだもんー!!(半狂乱)」
あまりの罵声・怒号なので、いたたまれなくなって、私が覗き込みました。「どうしたの?」
すると叔母が「この子が、宿題ができないって泣いてるのよ」「感想文ぐらい、ちゃちゃっと書けるでしょうに・・・」と言ったのです。
息子の方は、鼻水をたらしながら仁王立ちで泣いています。
しわしわの原稿用紙を持っています。何度も書いて、何度も消しゴムで消して、を繰り返したのでしょう。
原稿用紙はしわだらけで、ところどころ破れたりしていました。
この子は、この子で何度かトライしたようでした。ですが、初めての感想文で、すぐに原稿用紙に向かう、というのは、かなり無理がある事です。
上手く書けないのは当たり前。なので「よし、じゃあ感想文、一緒にやるか?」と子供に言って、私達は別室に行きました。
まず、子供に言いました。
私「○君は、もう本を読んだの?」
子「・・・うん(まだべそをかいています)」
本嫌い、作文嫌いだった私は間髪をいれず、
「すごいじゃん、お兄ちゃんは、本が嫌いで嫌いで、○君と同じ年の頃なんて、ほとんど読んだことなんてなかったよ~」
「感想文の宿題だって、いつもインチキしてた(笑)」「だから、もう本をちゃんと読めてるなんてすごいよ~」
子「・・・・」
私「じゃあ、その本をお兄ちゃんにもちょと読ませて」
私は例のごとくあらすじを読みます。
そして中身もざっと読んでみます。
読み終わって・・・
私「難しい本だね~、こんな難しい本が指定図書になってるんだ」「これって漢字とか全部読めた?」
子「・・・うん・・、でも読めない字は飛ばした・・・」
私「そうそう。それでいいんだよ。読めない字がある、って言うとお母さんはきっと「調べなさい」って言うと思うけど、飛ばしたってだいたい意味はわかるもんね。
本を読む時は、一つ一つの言葉の意味を調べるよりも、○君のように、流れをつかむ方が大事みたいよ♪」
子「え・・・そうなの?」(ちょっとずつ笑顔が戻ってきました)
私「じゃあね。お兄ちゃんが、いろいろクイズを出すので、それに答えてください、いいですか?(笑)」
子「うん」
私「まず、この本を読む前にどう思いましたか?」
ちょっと考えて・・・
子「お母さんが、読め読め言うのですごくイヤだったけど、夏休みが終わっちゃうし、宿題だから、しょうがなく・・・」
私「お、良いね~、こういう正直な気持ちがすごく大事なんだよ(^^)」
(私は、今、子供が言った言葉をそのままカードに書きました)
私「では、次。本を読んでいて「その気持ち、分かる!」って思ったところはありましたか?」
(実際には、子供が食いつく質問にたどり着くまで、「笑っちゃった所」「怒りたくなった所」「びっくりした所」などはありましたか?などのいくつかの質問をしていましたが、ココでは割愛します)
子「うん。A(主人公)が連れて行かれちゃう時、怖い怖いって、泣くんだけど、僕も読んでいて泣きそうだった」
私「へ~、そんな所があったの?それどこ?」(本をぺらぺらめくって)「ここのところ」と指をさします。
私は、そこを読んで、鉛筆で○をつけて、印に本の角を折っておきます。
私「ホントだ、これはちょっと怖いよね。○君も読んでいて怖かったようだけど、何が怖かったのかな?」
子「だって、まっ暗い中で、どこに行くのかもわからないし、もし僕だったら、怖くて死んじゃうかもしれない。
ご飯だって食べられないし、夜も一人で眠らなくちゃならないし、お母さんも、お父さんも、お姉ちゃんもいなくて、たった一人になったら・・・やっぱり怖いよ、考えただけでも、嫌だよ・・・」
(これらのやり取りもすべてカードに書いておいています)
私「そうか~そうだよな~(^^)一人ぼっちは寂しいよね」
(この時、私は「よしよし」と思っています。というのは子供が自分に置き換えて考え始めていたからです)
私「でも、A(主人公)は、そこから脱出するんだよね」
子「そうそう。そこがドキドキした。悪者の寝ている間に逃げ出すんだけど、空き缶を蹴っちゃって、カランカラン・・って言うと、悪者が目を覚ますんだよ。その時「あ~、見つかる!」って。
見つかったら、又、縛られちゃう、って思うとドキドキだった」
私「Aが脱出して、悪者から逃げている時はどう思った?」
子「早く逃げろ、早く逃げろ~!!って思ったよ。どんなに早く走ったって、大人の足の方が早いはずだもん。
でも、捕まりそうになった時に、いろんな工夫をして、逃げ切ったからすごいな~って思った。
僕だったら、そんな考えは浮かばないだろうし、きっと勇気もないと思う、だから、Aはすごいな!って思う」
私「じゃあこの本、結構面白かったんだね」
子「うん。最初は読むのが嫌だったけど、読み始めたらすぐ終わった感じ。ゲームよりは面白くないけど、1年に1回なら読んでも良いかな?って思ったよ(笑)」
ここまで聞いて、私は、「はい、これで大体終わりです。後はカードを並べるだけ・・・」と言って、今まで子供が質問に答え、書きためたカードを、一枚一枚、順番に並べました。
最初は、本を読む前の気持ち。
次に「その気持ちわかるな~」と思った内容。
なぜ「わかるな~」と感じたのかその理由。
自分だったらどうしただろうか?という想像。
Aが逃げ出して「読んでいてドキドキした」という所。
いつの間にか応援していた自分の気持ち、主人公Aに対して感じる「すごいな~」の気持ち。そして最後に、本を読んでみて、どうだったか・・・。
もうネタはすべてそろっているんですから、あとは書き写していくだけの作業です。
ただ、これだけは、お話ししなければならないと思いますが、これはスムーズにこういうプロセスを通ったのではありません。
子供からすると「こんな事を言ったらいけないだろう」と思っている事も沢山あって、最初、子供は言葉を選んでいたのです。
それが証拠に、でき上った感想文を読んだ時の、子供の第一声は「こんな事書いてもいいの?」でした。
だから私は言ったのです。
「感想文なんだから、どう思ったって正しいんだよ」「自分の気持ちを書きなさい、という宿題なんだから、そのままの気持ちが、本当にそう思った事ならいいんだよ」って。
例えば、
「お母さんが、読め読め言うのですごくイヤだったけど、夏休みが終わっちゃうし、宿題だから、しょうがなく・・・」
なんて言葉は、なかなかお母さんには言えませんよね。それに「宿題だからしょうがなく」なんて書けないでしょう。
(でも「自分の思いを書く」感想文なんですからいいんです)
このように子供は「これを言ったらダメだろうな」と、自分の中で言葉を選んでいます。自分が笑われたり、怒られたりしないように選ぶのです。
言葉を選んでいる時って、当然ながら「良い言葉が見つかりにくい」という事になるんですね。
「言葉が見つかりにくい」は「めんどくさい」「いつになってもでき上らない」となります。
すると、宿題ははかどらないし、はかどらないから飽きるし、焦るし・・・で結局、「やりたくない」「考えたくない」「もうどうでもいい」のようになってしまうんですね。
これって、感想文だけでなく、親にしつこく聞かれたり、話したくない事を根ほり葉ほり聞かれても起きる事です。
「しゃべりたくない」という時に、無理やりこじ開けようとすれば、やっぱり抵抗したくなりますよね。そんな時、やっぱりこう思うのです。
「やりたくない」「考えたくない」「もうどうでもいい」
考える事をやめてしまったり、口を開く事もやめてしまいます。そして適当に、当たり障りのない返答をするようになるんです。(当然、私達は子供の本音を聞けなくなります)
だから、子供の「気持ち」を聞く時って、たくさん肯定して、受け止めてあげてほしいんです。
何を言っても「なるほどね」って聞いてあげるんです。
子供が「何を言っても怒られない」「何でも聞いてもらえる」「自分の言いたい事を言っていいんだ」と思うと、安心して言葉が出てきます。
(でも、それこそが「本音」であって、私達が一番知りたい「本当の気持ち」のはずです)
私が、この時考えていたのは、
「感想文なんだから、どう思ったって正しいんだ」「あなたの言葉は全て、そのままで良いんだよ」という気持ちでした。
そして、それを何回も言ったのです。
最初、たった一枚の原稿用紙も書けなかった子でしたが、ほんの数時間、話しもしながら楽しく一緒にやることで、結局全部で4ページもの大作になりました。
書かれている内容は、本当に正直な気持ちで、着色もなく、私が読んでも「とても良い出来」だったと思います。
彼は、一心不乱になって書き、全部できたところで、小躍りしながらお母さんの所に行って、でき上った感想文を朗読しました。
親戚中の人がいましたので、皆に聞いてもらって、拍手喝さいの中、照れくさそうに笑っていました。
その時、私は思ったのです。「やっぱり子供の能力ってすごい」って。
「一旦、蓋の開け方を覚えれば、どんどん出てくるんだな~」って。
又、その時の経験が、その後の自分(私)の子育てに役立ったのは、言うまでもありません(^^)
「自分の意見を言える」ようになる為には、「自分の意見を聞いてもらえる」環境が必要です。
子供が自分の意見や考えを言おうとしている時、途中で口をはさんだり、アドバイスで話しの腰を折ったりせず、まずは是非、すべてを聞いてあげてください。
もし、親の気持ちを押し付けてしまいそうな時は、「あなたはどう思うの?」って聞いてみて欲しいです。
子供は、自分の頭をフル回転させて、「自分の考え」を話してくれるようになると思いますよ(^^)
どうぞ、参考にして頂けましたら、幸いです♪
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