第655号 親の姿勢を変えない
こんばんは。パピーいしがみです。
以前、メルマガでも「NOの徹底」についてお話しした事がありましたが、ここのところ、お問い合わせを頂く事も増えたので、
今日はこの「NOの徹底」について、ちょっと詳しくお話しようと思います。それでは、まずはMARSさんから頂いたご相談の内容から、ご紹介しますね。
ココから・・・
パピーさん、こんばんは。MARSです。勉強を始めて、長男との関係がとても良いものになりました。
どうしても私は完璧を目指してしまうので、自分本位になりがち。そこに気づかせて頂いて、時々自分を修正するだけで、ずいぶんと雰囲気は変わるんだな~と驚いています。
いつも私に叱られていじけ気味だった長男も活発になって、自己主張ができるようになりました。(^^)
そしてつい先日は、初めて友達とおもちゃの取りあいをしました。
いつも、自分のおもちゃを取られて泣いてばかりいたのですが、ちゃんと自分の言葉で「今、僕が使ってるの、ダメ!」と言っていましたよ~(;;)
すごく嬉しくて「がんばれ~、負けるな~」って、じっとその様子を見ながら、応援していました。
「頑張って自分の気持ちを言えて偉かったよ。お母さん、とってもうれしかった」と言いましたら、「僕も少し、強くなったでしょ」と言っていました。
「うん、すごく強くなったね。かっこいいよ♪」と又褒めました(^^)
今までは幼稚園でも「弱い奴」と思われて、ちょっかいを出されたり、叩かれたりしていましたが、これで少しずつ変わって行ってくれたら・・・と思います。
それで、すみません。1つの問題が解決すると、又、新たな問題が出てきて、何度もご相談するのが申し訳ないのですが・・・。
・長男が、自分の気持ちを抑えてしまう
・何でも我慢をして自分の気持ちを表さない。
・友達にやられてもやられているばかりで、
これではイジメに発展するかもしれない・・・という不安からご相談させて頂いて、パピーさんのアドバイスを実践していくことで、きっとこの先、解決していくだろうと思うのですが、
自己主張ができるようになったら、イヤイヤや、癇癪がひどくなった様に思います。
以前、パピーさんのメルマガで、癇癪のひどい子には、NOの徹底をするといいと教えて頂いていましたが、我が家の場合、それをそのままやっていいかどうか、お聞きしてみたいな・・・と思いました。
時間のある時で結構ですので、お返事頂けましたら幸いです。よろしくお願いします。
ココまで・・・
MARSさんは、次男さんが生まれてから、どうしても長男さんを叱る事が多くなり、長男さんは、殻に閉じこもるようになってしまったのですね。
幼稚園でも何かトラブルがあると、すぐに「じゃあいい」と言って、部屋の隅で一人で泣いていたり、「どうせ・・・」「僕なんか・・・」のように、いじけてしまうような傾向にありました。
それをクラスの女の子は慰めてくれていたようですが、男の子からはからかいの対象になったり、少し弱い者いじめのような雰囲気にもなっていたんですね。
MARSさんから、ご相談のメールを頂いて読んでみると、けっこう躾が厳しいな、子供からの「甘え」を拒否しているな、
それと「誰とでも仲良く」を子供に強く言われていたようなので、いくつかの問題に対してご説明をして、修正をして頂くようにお願いしたのでした。
その結果、長男さんは随分と自己主張ができるようになった、友達にも「今、僕が使ってるの、ダメ!」って言えるようになったなんて、これは素晴らしい変化だな~と嬉しく思いました。
きっと長男さんは、自分を自分で守れるようになると思います。ただ、自己主張ができる、と言う事は、すなわち「親にとっては扱いづらくなる」という事でもあります。
その辺り、MARSさんには少しジレンマを感じてしまった・・・のかもしれません。
なので、私はこんな風にお返事しました。(メルマガ用に少し補足して詳しく書いています)
ココから・・・
MARSさん、こんにちは。パピーいしがみです。メール、拝見しました。長男さん、すごい変化じゃないですか~(^^)
“つい先日は、始めて友達とおもちゃの取りあいをしました。いつも、自分のおもちゃを取られて泣いてばかりいたのですが、ちゃんと自分の言葉で
「今、僕が使ってるの、ダメ!」と言っていましたよ~(;;)すごく嬉しくて「がんばれ~、負けるな~」って、じっとその様子を見ながら、応援していました。”
これは素晴らしい♪良いですね~(^^)私も一緒に応援しますよ♪「その調子、いいぞ~!!」ってね♪
長男さんにこれだけの変化があった、と言う事は、MARSさんご自身も、ご努力してくださっているんだな~って分かります。
“どうしても私は完璧を目指してしまうので、自分本位になりがち。そこに気づかせて頂いて、時々自分を修正するだけで、ずいぶんと雰囲気は変わるんだな~と驚いています。”
とありましたね。いいですね~。どうぞ、これからも時々、振り返って、「あ、ちょっと叱り過ぎているかな?」と感じたら、修正をするようにしてくださいね♪
(私たちは何もしないでいると元に戻ってしまいますからね♪)
それで、新たなご相談がありました。
“自己主張ができるようになったら、イヤイヤや、癇癪がひどくなった様に思います。以前、パピーさんのメルマガで、
癇癪のひどい子には、NOの徹底をするといいと教えて頂いていましたが、我が家の場合、それをそのままやっていいかどうか、お聞きしてみたいな・・・と思いました。”
はい、その微妙な部分、お聞きくださって嬉しく思います。
MARSさんのお子さんは、自分の殻に閉じこもってしまう、と言う傾向がありましたので、あまり強くNOの徹底をすると、元に戻ってしまう、という危険性もあります。
MARSさんは、MARSさんなりの「NOの徹底」をするようにしてほしく思います。
それでは、順番に、お話ししますね。まず1番大事な事です。(これは、ご理解されていると思いますが、確認の意味で書きますね)
1、癇癪は必要な事である、という事を親が認識している。です。
乳幼児期、赤ちゃんは自分の気持ちを「泣く」事で表していました。自分の気持ちを表す・・・これは自己主張ですね。
オムツやミルク、眠いんだ・・という気持ちも全て、泣いて訴えて、自己主張をしてきたのです。
親はその泣き声を聞いて「これかな?」「あれかな?」と探し、赤ちゃんの訴えを聞いてあげていました。
でも、子供たちは成長するに従って要求する内容は変わってきています。
その中には「叶えてあげられる」事ばかりではありませんから、「それはできません」と親が言ったとしましょう。
ですが、子供は自分の要求を何とか叶えたいと強く思います。今まで泣くことで自分の要望を叶えてきたのですから、要望を叶えてほしいと泣いて訴え、
それでも叶えてくれなければさらに大声で泣き、それでも叶えられなければ暴れながら泣き、どんどんエスカレートしていきます。
このエスカレートして行った状態が「癇癪」です。自分の要求を何とか叶えたいが為に起きている状態です。
自己主張をしなくなってしまったMARSさんの長男さんからすると、このように癇癪を起している、と言う事はとても良い状態なんですね。
「癇癪を起こせる」と言う事は良い事なんです。ただ、だからと言っていつまでもこうでは困ります。
よく大人でもいますよね。自分の思い通りにならないと、物に当たったり、人に八つ当たりしたり、ふてくされて放棄したり・・・。
ま~ったくわがままで「子供かよ!」って突っ込みたくなる大人。本当に沢山います(^^)。
でも、こういう状態ですと、社会では生きにくいです。だから「自分の思い通りになる事ばかりじゃないんだ」という事を知る為、
そして「自分の気持ちをコントロールできるようになる」為に、NOの徹底をして、子供に成長してもらうんですね。
そして、それは癇癪を起した時がベストタイミングという事なんです。
そして大事な事の第2番目です。
2、恒常的に「認める」「褒める」「包む」ができている事。
「認める」「褒める」「包む」ができている事、と書きましたが、完璧にそれができていなくても良いです。
ただ「肯定」が「否定」を上回っている状態。それでこそNOの徹底は効果があります。
なぜかというと、NOの徹底は間違いなく「否定」だからです。
通常に「否定」が多かったとしたら、それ以上に否定を重ねては、ただ子供を抑えつけるだけになってしまいます。
そうなると目的である「自分の気持ちをコントロールできるようになる」ではなく、「どうせ僕の事なんか何も聞いてくれないんでしょ」となってしまいます。
MARSさんもご心配になっておられたように、一度は、自尊心が低下して、殻にこもってしまった子です。
なので否定しすぎはとても怖いんですね。NOの徹底をする前に「肯定」が「否定」を上回る日常にして頂く事。
それが前提にある事をお忘れにならないでくださいね。
その2つをお話して、では・・・やり方についてお話します。NOの徹底、というと、NOを貫く事なんだな・・・と思われるとは思いますが、基本は「認める」「褒める」です。
別の良い方をすると「認め」「褒める」為に、NOを貫くんです。
例えば、お爺ちゃんとお婆ちゃんと一緒にデパートに行ったとしましょう。
おもちゃを買ったり、プレゼントしてもらうのは、“誕生日とクリスマスだけ”と決めているのに、おもちゃ売り場から頑として動こうとしない。
「買って買って・・・」とごね出して、いくら「今日はおもちゃを買いに来たんじゃないんだよ」「誕生日(クリスマス)のプレゼントまで待とうね」と言っても納得しない。
「イヤだイヤだ、今日、買って!今、買って」と泣き喚き、大声で騒ぎだし、暴れ出したとします。
こんな時、1度「今日は買わないよ」と言っているのなら、絶対にそれを覆してほしくないんですね。こんな時にNOの徹底をしてほしいのです。NOを貫いてほしいのです。
もし、この時に「今日はお爺ちゃんやお婆ちゃんがいるから」とか、「泣き喚いて恥ずかしい、早くこの場を納めたい」などの理由で、
一旦NOを言った事を「分かったよ、買ってあげるから静かにしなさい」とやってしまうと子供は、
「そうか・・・こうやって、泣き喚けば無理難題でも何とかなるんだ」と学習するんですね。
そして、このやり方(自分の要望を叶えたい時には泣き喚く)をいたるところで、何度も何度も繰り返します。
当然・・・結果として癇癪が減る事がありません。
その上、叶えてもらえない時には不満だけが残る・・・という結果になりますし、
自分の感情をコントロールする事を覚えずに成長し、社会に出たら、周りからは「わがまま」「自己中」「扱いづらい」と思われますし、子供にとっても大きなマイナスになってしまうんです。
だからこそ、NOの徹底なんです。一旦、NOを言ったらそれを徹底する。
そうすると子供は、できる限りのやり方で自分の要求をアピールします。
ギャーギャー泣いたり、喚いたり、自宅で有れば手が届くものを投げたりするかもしれません。
でも、親はそれを止めようとしたり、なだめようとしたり、説得しようとしてはいけません。
ただただ、親は子供が自分で落ち着くのを待つのです。
癇癪を起している子供は、興奮しています。そんな時に何を言ってもダメなんですね。聞き入れる事はありません。
どんな言葉を掛けても火に油を注ぐようなものです。
だから親があれこれ言うのではなく落ち着くまで時間を掛けるのです。
子どもは、思いっきり発散すれば、必ず落ち着きますので、それまで我慢比べをして下さい。
子供が自分から落ち着けたら、「自分で落ち着けて偉かったね♪」と褒めてあげてください。この「自分で落ち着けて偉かった」という言葉を忘れないでほしいのです。
NOを徹底するのも、落ち着けるまで待つのも、この為です。
ここで「褒める」為に、NOを徹底するんですね。もちろん1回や2回での効果はありません。
何度もこういう事は起こります。でも何度も繰り返すことで子どもは、「自分の思い通りになる事ばかりじゃないんだな」と知り、
「癇癪を起すことは悪い事ではない」「でも、早く落ち着けると褒めてもらえる」という事を理解します。
こうやってNOの徹底を繰り返す事によって、癇癪の時間(癇癪を起してもそれが落ち着くまでの時間)が、今まで30分ぐらい掛かっていたものが20分、15分と短くなります。
これが「自分の気持ちをコントロールできるようになった」その証拠なんですね。
そして自分の気持ちがコントロールできるようになると、癇癪を起している時間だけでなく、次第に癇癪を起す頻度が減っていくんです。
繰り返しながらも、親が姿勢を変えない事で、子どもの中で「これは叶えられる事」「これは叶えられな事」とちゃんと判断できるようになるのです。
又、親がいつも姿勢を変えず、貫くことで、子どもは「自分の影響で親がぶれる事は無いんだ」と、親への信頼も高くなっていくのです。
(親の姿勢が自分の態度で変化したとしたら、・・・子供が喜ぶと思ったら大間違いで、子供はかえって「本当にそれでいいの?」と思い、不安になるんです)
あまりいつもいつもNO!をやってしまう事はお勧めしませんが、これは絶対に聞き入れられない、という時は、「後で必ず褒める」という事を忘れずに試してみてください。
きっと少しずつ、癇癪の時間が減り、頻度が減っていくはずです。
ココまで・・・
こんな風にメールをしましたら、約1週間後、お返事をいただきました。
ココから・・・
パピーさん、こんにちは。MARSです。
NOの徹底について、詳しいお話をありがとうございます。
メールを送った後、メルマガを見つけて、「最初からメルマガを探していれば、こんなにご迷惑をおかけすることなかったな~」と申し訳なく思いましたが、
私と長男の事を良く知っておられるパピーさんに“MARSさんなりのNOの徹底を・・・”と本当に詳しく教えてくださって、とても嬉しかったです。
ありがとうございました。
メールを頂いて、とても良くわかりました。癇癪がひどい子には「NOの徹底が良い」との解釈だったのが、
“「自分の思い通りになる事ばかりじゃないんだ」という事を知る為、「自分の気持ちをコントロールできるようになる」為に、NOの徹底をして、子供に成長してもらう。そして、それは癇癪を起した時がベストタイミング。”
とあって、これは目から鱗でした。そうですよね。自己主張は良い事ですものね。
又、私は自分の都合に子供を合わせようとしていたようで反省です。メールを読んでいて、こういう文面がありました。
“もし、この時に「今日はお爺ちゃんやお婆ちゃんがいるから」とか、「泣き喚いて恥ずかしい、早くこの場を納めたい」などの理由で、
一旦NOを言った事を「分かったよ、買ってあげるから静かにしなさい」とやってしまうと子供は、「そうか・・・こうやって、泣き喚けば無理難題でも何とかなるんだ」と学習するんですね。
そして、このやり方(自分の要望を叶えたい時には泣き喚く)をいたるところで、何度も何度も繰り返します。当然・・・結果として癇癪が減る事がありません。”
これを見た時に、あ、私、これやってる・・・と青くなりました。
そうか~、だから子どもは癇癪が減らず、泣いて要求を通そうとしたんだな・・・と分かりました。
メールを頂いてから「一旦、NOと言ったら覆さないぞ」「落ち着くまで待つ、落ち着いたら褒める、我慢比べで負けないぞ」と決意したのですが・・・
それから子供が癇癪を起してぐずぐずごねる・・・という事がないのです。以前は1日に一回は必ずあったのに(^^)。
もしかしたら、私のその雰囲気が伝わっているのかしら?でも、おかげですごくいい状態が続いています。ありがとうございます。
一人ひとりにこれだけのお返事をされるとしたら、毎日、いくら時間があっても足りないと思います。どうぞ、くれぐれもお体に気を付けてくださいね。
(でも、この親身になって下さるお返事がとてもうれしいです)
これからもいろいろと悩みや疑問が生まれると思います。(自分でもやってみて、それでもだめなら)又、ご相談をさせて頂くかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
ココまで・・・
今回、MARSさんにお返事した内容にいくつか補足をしたので、かなり詳しくなったかと思います。まとめてみますと・・・
NOの徹底の目的は、
・「自分の思い通りになる事ばかりじゃないんだ」という事を知る為。
・「自分の気持ちをコントロールできるようになる」為。
その成長の場にぴったりなのが「癇癪」を起している時。そして、その準備として、
・癇癪は必要な事である、という事を親が認識している事。
・恒常的に「認める」「褒める」「包む」ができている事。
その上で、
・一旦NOを言ったら、時間を掛けてでもNOを貫く。
・子供が自分で落ち着けたら、必ず褒める。
・親が自分の態度を変えずに、常に姿勢を一定にする。
をするのですね。正しくやってみて下さると、必ず成果があると思います。是非、ご参考になさってくださいね♪
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