第656号 子育ての常識は正しいの?
こんばんは。パピーいしがみです。
ゴールデンウィークの真っ只中ですね♪全国的によいお天気のようですが、楽しまれていますか?先週のメルマガの内容でご質問を頂きました。
ご質問の箇所、というのは、“それと「誰とでも仲良く」を子供に強く言われていたようなので、いくつかの問題に対してご説明をして、修正をして頂くようにお願いしたのでした。”の部分で、頂いた質問は、
“私も「誰とでも仲良くしなさい!」「やられてもやり返さないの!」って子供に言っているのですが、これって間違っているのでしょうか?”という内容でした。
この「みんな仲良く」「やられてもやり返さない」というのは、幼稚園や学校ではよく言われる言葉ですね。
ですから幼稚園の先生、学校の先生はもちろん、多くの方が“子育ての常識”としてお考えです。
でも実は、これってすごく危険な事なんです。
“子育ての常識、でも現実は非常識”という事は結構ある(かなり多い)のですが、今日はこの「誰とでも仲良く」が危険である、と言う事を、少しご説明したいと思います。
私たちは、できればトラブルは少ない方が良い、と思います。できれば波風立てたくない、とも思いますよね。
ですから、子供達にもトラブル起さないように、と考えます。又、優しい子に育ってほしい、人に迷惑をかけないでほしい・・・とも思います。
特に幼稚園や小学校では、事が大きくならない為にも、“やられてもやり返さない”“ちょっかいを出されても仕返ししない”“ケンカを吹っ掛けられても応戦しない”ように指導されます。
(もちろん、学校で「やられたらやり返せ」などと言う事はできません)
ですが、実はこれって大きな問題を生む事になるんです。
私たちはよくも悪くも動物です。強いものには従い、弱いものを従わせたい、という本能があります。
その為、1つの社会、グループ、チームを作った時には、良きにつけ悪しきに付け、必ずリーダーが生まれます。ただその本能には強弱があります。
例えば、男ばかり三人兄弟の末っ子だったりすると、家ではいつもお兄ちゃん達を相手に競っていますので、強さを誇示して従わせたい、という気持ちが強くなるでしょうし、
とてものんびり育った子の場合、人を押しのけてまで・・・と思ったり、攻撃的になる事はあまりありません。
ですが、幼稚園に入園したり、小学校に入学したりすると、いろんな子が1つの場所に集められ、学年ができ、クラスができます。
そうなった時“強さを誇示したい””リーダーになりたい”“弱いものを従わせたい”という思いのある子は、誰が強くて誰が弱いのかを探り出します。
具体的に何が始まるか?というとちょっかいを出したり、嫌がらせをしたりして、相手の反応を見る事をするのです。
いえ、これは悪意や強引さを持っている子ばかりではありません。ほとんどの子どもたちが遊びの中で(じゃれあいながら)相手の様子をうかがうのです。
ちょっとしたからかい、ちょっとした嫌がらせ、ちょっとしたいじり、ちょっとしたちょっかいで、相手の出方を観察するのです。
私たちもしませんでしたか?仲良くなると、冗談を言ったり、こづいたり、笑いながら叩いたり、ちょっと辛辣な事を言ったり。
友達だったり仲良かったりすると、そうやってじゃれあう事ってあったと思います。
どこまでだったら笑って許せて、どこからが相手が嫌がるのか、それを知ることで、より親密になる事もできますし、相手との付き合い方も見えてきます。
ところが・・・「誰とでも仲良く」を子供に強要した場合、自分がイヤだと感じている、からかいやちょっかいを、“イヤなのに我慢してしまう”様になるんです。
相手からすると「この子の許容範囲はどのくらい?」と探っているのに、自分の気持ちを表さないから、どこまで行っても分からない。
とすると「ココまでやったらどうだろう」「もう少しやったらどうだろう」とエスカレートせざるを得ないのです。
ちょっとしたからかいの筈が、エスカレートしてしまった為に、冗談で言っていたはずの言葉が、蔑みや愚弄する言葉に変わり、ちょっとした嫌がらせが、叩いたり、蹴ったり・・・という明らかな“イジメ”に発展します。
私はこれがものすごく危険だと思うのです。そこまで行ってしまったら、子供が精神的に受けるダメージは計りしれません。
私たちが正しいと思っている「誰とでも仲良く」「やられてもやり返さない」は、こんな風にイジメの温床になりかねないんですね。
それも自分の子どもを“イジメられる側”にしてしまう非常に高い可能性があるのです。
従順で、素直で、優しい・・・それはとても素晴らしい資質です。でもそれができるようになる前に、「自己主張」ができ、自分の意見をはっきり言える事。
嫌われてもいい、みんなに好かれなくてもいい、“自分を守れるだけの強さ”を持つことが絶対に必要なんですね。
こういうご報告を頂いた事がありました。
ココから・・・
勉強して、とても大事な事に気づきました。以前、次男がこんな風に訴え、泣いたのです。
「僕はずっと我慢していた。お母さんが言うように、イヤな事されても、足を引っ掛けられても、頭に来たけど、やり返さなかったよ。でも、あいつらは僕が我慢していればずっとしつこくしてくるんだ。
なぜ僕ばかり我慢しなくちゃいけないの?なぜ僕はやられても我慢していなくちゃいけないの?あんな嫌いなやつとはもう仲良くなんてしたくないんだよ。もう学校なんか行きたくない!我慢なんてしたくない!!」
次男は堰を切ったように大声で泣きだして暴れて手の付けようがありませんでした。
私は、掛ける言葉が見つからなかったけど、だからと言って「やられたらやり返せ」とは言えないし、どうしたらいいのか悩んでしまった事がありました。
でも、私が正しいと思って子供に強要していた事は間違っていたんだと言う事がよくわかりました。
私はトラブルを起してほしくない、面倒を起してほしくない、自分かわいさに、そればかり考えていて、子供の気持ちを抑えつけていたようです。
学校にいる子供たちは、本当にいろいろです。私が見ても「この子とは友達になってほしくない」という子もいるのですから、息子に「誰とでも仲良くしなさい」と言うのはおかしいですよね。
気が合う仲の良い友達がいるのと同じように、嫌いな子がいたっていいんですね。勉強することで、初めてそこに気がつきました。
ココまで・・・
息子さんが、自分の気持ちをお母さんにぶつける事ができて、本当に良かったと私は思いました。なぜなら、お母さんはそれによって気づけるからです。
“なぜ僕ばかり我慢しなくちゃいけないの?なぜ僕はやられても我慢していなくちゃいけないの?”
これが我慢している子の本当の気持ちなんですね。「それっておかしいでしょ?!」本当は、そう言いたいんです。そして、その気持ちはまさに正しいと思うのです。
でも、それを言えない子が沢山いるのです。親に言われたから、先生に言われたから・・・。グッと唇をかみしめて、辛くても、苦しくても我慢している。
からかいや嫌がらせはどんどんエスカレートして、それでも自分の気持ちを抑え込む。
その根本が親の言葉を従順に守っているのだとしたら・・・これは、あまりにも、かわいそうすぎますよね。
だから私は言うのです。「ケンカをするな」「みんな仲良く」「やられてもやり返さない」と言うのはやめましょう。
それより「自分の気持ちをはっきり言おう」「それでケンカになってもいいんだよ」と言ってあげて下さい。
もし、本当にケンカになってやっつけちゃっても、そこには必ず理由があるはずです。じっくり理由を聞いて、確かに自分の子どもが悪かったのなら、そこで、親が頭を下げればいいじゃないですか?って。
私は(教師の)父親にこう言われた事がありました。「お前は俺の顔に泥を塗った・・・」その時「あ~、この人は自分の事しか考えていないんだ」と、ものすごくがっかりしました。
そして自分の子供が生まれたらこう言おう、って思ったのです。「自分の思うようにやってごらん。後の責任は俺が取る!」って。
ちなみに先ほど、ご相談を頂いたお母さんは、ご自分が間違っていた事を子供に伝え、
「もう我慢は止めよう」「あまりしつこかったらケンカしてもいい」「もし、問題になったらお母さんが責任を取るから」と言ったそうです。
次男さんは、いじめっ子達と派手なケンカをして、今は、その時のリーダーとも仲良しだそうです(笑)
いい子だから友達になるんじゃないんですよね。お互いがお互いを認めるから友達になれるんです。
お互いがお互いを認めるには「言いたい事を言える」間柄である必要があるんですね。
自己主張を持つ、というのは、相手に自分を分かってもらう最大の表現方法なんです(^^)ご参考になれば嬉しいです♪
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