第660号 お姉ちゃんを愛せない。
弟は可愛いのに、お姉ちゃんが可愛くない。妹は愛せるのに、お兄ちゃんが愛せない。実は、これってとても良く頂くご相談です。でもこれには、そうなってしまう理由が有るんです。今日は、それについてお話ししたいと思います。
2人のお子さんがいらっしゃれば、2人とも全く同じ性格、という事はまれです。必ず、それぞれ特徴があって、それぞれに長所・短所があると思います。その為、お母さんの中には「この子とは波長が合わない」と、決めつけてしまう方もおられます。
初めてのお子さん(この子が後にお姉ちゃん・お兄ちゃんになります)が生まれた時、この子はお母さんにとっても初めての子なので、とても神経を使って、可愛がってくださったはずです。
初めて子育てをするのですから、何から何まで手探りで、病院にもよく通って、先生にもいろいろ相談して、ミルクの飲み方や、体重の増え方、沢山の事に気を使って育てられたはずです。
でも、どうでしょう?2人目のお子さんの時には、それだけ神経を使うでしょうか?多分、ほとんどのお母さんが、上の子で一度経験しているので、2人目の子はかなりおおらかに接してこられらたと思うのです。
実際、我が家でもそうでした。例えば哺乳瓶。1人目の子は、哺乳瓶を毎回煮沸消毒していました。私が子供を触る時も「手を洗って!」と言われました。でも、2人目の時には、かなりおおらかでした。
「大丈夫・大丈夫。子供には免疫があるんだから」などと言われました(笑)かなりおおらか・・・というか大雑把でした(^^)。でも、実際そうだと思うのです。
多分1人目のお子さんの時には、今まで経験したことがない、初めての事ばかりなのですから、間違いを起こしてはならないと、「こうした方が良い」と言われることをできるだけ完璧に・・・と努力されると思うのです。
子供を大事に思えば思うほど、ちゃんとやろう、きちんとしよう、とお考えになって、努力されたと思うのです。
例えば、上のお子さんが2歳の時に、2人目が生まれたとします。つい2年ほど前に、上のお子さんで経験したことを、2人目のお子さんに同じようにすればいいのですから、どれが必要で、どれが必要でないか、お母さんはもう、だいたいご存知です。
1人目の時には何が何だかわからない・・・という状態で、焦りと不安と、緊張の中で子育てをしたのに、2人目の時には、ずっと気持ちに余裕を持って、子供さんに向かえます。
そう。先ほどのように「あ~、大丈夫。大丈夫~♪」ってなものです。2回目で有れば、大体勝手も分かるし不安な気持ちはほとんど払しょくされています。
でも・・・上の子が成長して、新しい節目や、初体験を迎えるたびに、お母さんも「お母さんとして」初体験をしていかねばならないのです。
2歳になって上の子にイヤイヤが始まります。当然同時期に、ぐずり、癇癪、わがまま、甘え。お母さんが「こうしてほしい」という気持ちを片っ端から踏みにじる。
2歳半になって始まるトイレトレーニング。幼稚園に入って、初めて経験するお母さんとの別れ。下の子のお世話をしながら、次々起きる『初体験』にとまどい、そのたびに悩み、どうしらいいのか考え、育児書などをお読みになってどこかに回答がないか、お探しになります。
でも、それって、本当に疲れる作業なのですね。そうでなくても忙しい、そうでなくても疲れているのに、思い通りに行かない毎日に、ぐったりするほどの疲労感を感じます。そうなった時、どうしても思ってしまうのです。
「下の子は順調なのに上の子はどうしてこんなに手がかかるんだろう?」「この子(上の子)は、わざと私を困らせようとしているの?」って。
そして新たな初体験が起き、それに悩まされるたびに、「やっぱりこの子は可愛くない」という気持ちが起き、その思いは積み重なってしまうんですね。
誕生した子供たちが成長する上で、その成長曲線には波があります。例えば、0歳~1歳までは、まだそれほど手がかかりません。でも1歳~3歳になると、子供は加速度的に急激に成長します。
子供が急激に成長する、という事は「沢山の失敗を経験する」と言う事でも有り、このころの手のかかり方は多分、一生の中で“一番”だと言えると思います。
そして子供たちの急激な成長は4歳ぐらいから少しずつ落ち着いてきて、(もちろん成長曲線はまだ右肩上がりで上昇中です)6歳ぐらいから上昇の傾きがぐっと緩やかになってきます。
2人目が生まれる時は、上の子が1歳~6歳ぐらいである事が多く、上の子の成長曲線真っただ中、お母さんの疲れがMAXの時に、さらに下の子の妊娠、出産、そして新たな育児が加わる事で、どうしてもその時期、体力的な余裕、時間的な余裕がなくなります。
すると、どうしてもイライラしますし、どうでもいい事を叱ったり、怒鳴ったり、命令したり強制したり・・・してしまうんですね。そして思うのです。「やっぱり私はこの子を愛することができない」
でも、違うんですよ。誰だってぎりぎりの精神状態でいれば、そうなってしまうんです。まだ成長曲線が緩やかで、比較的楽に育てることができている下の子の状態と比較して、最も成長曲線の上向きの時期の上の子に「異常に手がかかる」と感じてしまっているだけ・・・という事がとても多いのです。
なので・・・「やっぱり私はこの子を愛することができない」「この子と私は波長が合わないんだ」と決めつけてしまう事は避けてほしいのです。
そうやって決めつけてしまう・諦めてしまう事で、改善するチャンスが無くなってしまいますからね。
具体的に言うと、諦めてしまう事で、その時期に抱いたわだかまりをが解消できなかったり、子供に対するマイナスイメージや不信感を抱いたままでいると、その後に訪れる数々の『初体験』に過剰に口出ししてしまったり、
叱ったり怒ったり、否定し続けてしてしまいがちになり、次第に子供は自尊心を失ってしまう、合わせて新たな問題が発生する。という結果になる事がとても多いのです。
そうなると子供の問題行動はますます増加してきます。お母さんの上の子に抱いたマイナスイメージはさらに悪くなってしまい、子供はその雰囲気を痛いほど感じるんですね。
「お母さんは、私の事なんて嫌いなんだな・・・」「どうせ僕なんていない方がいいんでしょ」など・・・。
そうなったとしたら・・・子供にとってもお母さんにとってもマイナスですし、今後の子育ても、これからずっと続く毎日もさらに辛く、苦しいものになってしまいます。
では、ちょうどその時期にあるお母さんたちはどうすればいいのか?なのですが、まずは上の子と下の子にはそれぞれ別々の成長曲線があって、急激な成長には必ず終わりがある事を知ってほしいんですね。
そしてできれば、その時期のお母さんの負担を軽くしてほしいとも思います。お父さんやおばあちゃんが手伝ってくださるようであれば、お父さんやおばあちゃんにお手伝い頂く。
フルタイムでお仕事をしている方は(できる事なら)この時期だけは少し短くして頂いても良いかと思います。
家事を完璧にしようとしないで、少し手を抜いてもらったり、もしくは、よき相談相手やアドバイスをして下る方を見つける。
などなど、ほんの数年ですが、負担が集中してしまう時期に、全てをご自分で背負わないようにして頂きたいな~と思うのです。大変な時期は長い子育ての時間に比べ、ほんの数年です。
ちょうどその時期におられる方には、「いつまで続くのか?」と不安になるかもしれませんが、エンドレスに続く事は有りません。その時期を上手に乗り越えてくださると、後がとっても楽になります。ご参考になれば嬉しいです(^^)
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号数 | 内容 | オススメ度 |
---|---|---|
151 | ■ お姉ちゃんの気持ち | ★★★ |
188 | ■ お母さんは僕を見ていてくれていた | ★★★★★ |
209 | ■ お姉ちゃんとふたりっきり | ★★★★★ |
296 | ■ 不安大敵♪ | ★★★★★ |
318 | ■ みんな「お母さん」に好かれていたい! | ★★★★★ |