第697号 素直な気持ちは引き出せる
こんばんは。パピーいしがみです。今、インフルエンザがすごい勢いのようですね。テレビなどでも報道されていますが、私の住んでいる近隣の小学校・中学校でも、学級閉鎖した所がけっこうあるようです。
今日は連休の真中だったのですが、もしかしたら、ご家族の誰かがインフルエンザで・・・と出かけられなかった方が多いかもしれません。
私も、今年は予防注射をしていないので、ビクビクですが、ここをなんとか乗り切りたくて、うがい、手洗いをこまめにしています。
さて・・・今日、お話しする内容ですが、タイトルは「素直な気持ちは引き出せる」としました。
メールをくださったのは、そらさん。そらさんのお宅には、3人のお子さんがいます。お兄ちゃんは小学校1年生(7歳)。真ん中に年中(4歳)の妹さん。そして、末っ子に7ヶ月の女の子。みんなとても元気だそうです。
特に真ん中の娘さんが、とても活発で、ちょっと持病があったり、疲れやすいそらさんとしては、子供たちの動きを見ているだけ目が回る・・・元気な声も、耳をふさぎたくなるほど・・・だそうです。
そんな中、1年生のお兄ちゃんと、年中の妹さんとの喧嘩が激しく、とても悩んでいたそうです。こんなご相談を頂きました。
ココから・・・
( 前略 )息子と真ん中の娘の事です。娘は特にお転婆で天真爛漫です。息子が、積み木やレゴなどを作っていると、一緒に遊びたいが為に、それを壊したりします。
その為、家ではこんな約束を作ってます。例えば、息子が「いやだ!」と言ったら、娘は、一回行動を止める事!もしくは「3・2・1」と言われたらやめること!。
お兄ちゃんは怒ってしまう前に、妹を部屋に連れて行き、何が嫌なのか(妹に)話してみる事。です。
ところが今朝、子供部屋で、物音がして行ってみると、娘の方の110cmほどの高さの洋服ダンスが45度になって倒れ掛かっていました。娘は必死でそれを抑えてました。
原因は一度に何段か引き出しを引いてしまったからです。その傍らで息子は平然と見てました。
私は一目散に駆け寄りタンスを直し、娘に注意をし、そして息子にも「なぜ助けてあげないの!」と叱りました。
息子は「自業自得だよ。前にもママが注意したのにさ。。。」と。私は、情けなくなりました。
確かにいつも息子の邪魔ばかりしてる娘ですが、『お兄ちゃんも、いざと言う時は妹を助けてくれる』と思ってました。
主人からも、喧嘩ばっかりしてる二人に“もう二人で話をしてはいけない”と言われた事があります。
でも、一日も経たない前に「僕、妹と話したいよ。ごめんなさい、僕たち仲良くするよ」と言うのです。
私からは、「タンスの下敷きになって死んでしまったり、大怪我をする場合だって有るんだから、臨機応変に助けてあげなきゃダメなのよ!」と説明をして、
その後に、「あなたはどう思う?」と、聞いたところ、息子は、「僕は小さい頃から、妹におもちゃを壊されたりしたし、妹も僕の言う事を全く聞かなかったりしてきた。今朝みたいな事があれば、妹もしっかり、“やってはいけない事”を覚えるでしょ。だから僕は悪くない」でした。
日頃「自分で自分の行動の責任を取るように!」と話してはいますが、何故そうまで長女にきつく当たるのでしょうか?
何があってもお兄ちゃんの事が大好きな長女と、長女以外の人には、本当に心優しい息子。どのようにかかわってあげたらいいか、困りました。
どうぞ、お知恵をお貸しください。よろしくお願いします。
ココまで・・・
このような内容のご相談でした。でも、どうやら、お兄ちゃんとしては、今まで随分といろんな面で邪魔をされたりしてきたようです。
私は、問題はそこのところだろうな・・・と思って、こんなお返事をしました。
ココから・・・
娘さんと息子さんのトラブルが多いようですね。でも・・・どうやら事の発端は、娘さんからのちょっかいのようです。
“息子が、積み木やレゴなどを作っていると、 一緒に遊びたいが為に、それを壊したりします。”でも、お兄ちゃんが妹に憎しみを抱いている、という事ではないと思いますよ。
頂いたメールには“主人からも、喧嘩ばっかりしてる二人に“もう二人で話をしてはいけない”と言われた事があります。でも、一日も経たない前に「僕、妹と話したいよ。ごめんなさい、僕たち仲良くするよ」と、言うのです。”とあったように、
妹さんへの思いは、怒りや憎しみばかりではないと思うのですね。それと・・・
“今朝、子供部屋で、物音がして行ってみると、娘の方の110cmほどの高さの洋服ダンスが45度になって倒れ掛かっていました。娘は必死でそれを抑えてました。原因は一度に何段か引き出しを引いてしまったからです。
その傍らで息子は平然と見てました。私は一目散に駆け寄りタンスを直し、娘に注意をし、そして息子にも「なぜ助けてあげないの!」と叱りました。息子は「自業自得だよ。前にもママが注意したのにさ。。。」と。“
とあった件ですが、これは息子さんが驚き「助ける方法が分からなかった」のではないかな?と思います。
大事(おおごと)になってしまったので茫然としている時に、お母さんがびっくりして来てくれて、茫然としている自分が叱られた・・・だから、とっさに理由を考えて取り繕った・・・のではないかな?と思うのです。
又・・・1年生の子に「臨機応変に助けてあげなさい」と言っても、なかなか難しいし「妹を助けるため」とは言え、タンスが倒れそうな危険な状況下に自分の身を置く事は・・・
なかなかできないと思います。
それと・・・こんなルールを作られているようですね。
“息子が「いやだ!」と言ったら、娘は、一回行動を止める事!もしくは「3・2・1」と言われたらやめること!。お兄ちゃんは怒ってしまう前に、妹を部屋に連れて行き、何が嫌なのか(妹に)話してみる事。です。”
でも、これって娘さんがその通りにできるでしょうか?又、お兄ちゃんも冷静になっての対処は無理だと思います。
いつもちょっかいを出されてイライラしているお兄ちゃんからすると、それは常に妹の面倒を見ている(お守をしている)ようなものです。そうなれば、下の子に対して良い印象も生まれませんし、敵対心だけが育つでしょう。
まだ7ヶ月のお子さんがいらっしゃるそらさんとしては「私が赤ちゃんを見ているんだから、あなたたちは一緒に仲良く遊んでよ」というお気持ちだと思いますが、7歳の子と4歳の子とは遊び方は全く違っています。
どんなに娘さんがお兄ちゃんと遊びたいと思っても、その遊びはお兄ちゃんからするとレベルが低く「楽しくない」んです。
妹さんが「楽しい」と感じている時、お兄ちゃんは常に「お守をしてあげている」状態なんですね。
ちょっと考えてみてください。今、ブロックがあります。頭の中でいろいろイメージしながら、一心不乱にブロックで何かを作ります。
自分の頭の中では自分が考えた町や都市。そこに行き交う電車。その時はものすごく楽しくないですか?わくわくしますよね。
そうやって集中して、熱中している時に、邪魔が入ります。楽しい空想の世界、わくわくする世界に没頭していたのに、突然、その世界を壊されるのです。せっかく作ったものを壊していきます。
私達はどう思うでしょうか?「何すんだよ!コイツ!!」って思わないでしょうか?思いますよね(^^)それが、お兄ちゃんの怒りの根本なんです。
たぶん、最初は「止めて」「邪魔しないで」程度だと思います。でも、何度言っても止めてくれない、話が通じない・・・。とすると、怒りは収まりません。もう実力行使するしかないんですね。
ですが、大事なところは、ここなんです。
実は、私たちって「兄妹なんだから仲良く遊んでほしい」と言いながら、下の子の面倒を上の子に押し付けちゃっているんです。
自分をコントロールできない、自分と遊んでほしいが為に邪魔をする。そういう状態の子をお兄ちゃんに押し付けて、それでお兄ちゃんに「我慢しなさい」って言っちゃうんです。
もし、お兄ちゃん一人の時のように、下の子も見たとしたら、大事なものを触らせないでしょうし、常に気を使っていたと思います。
でも、お兄ちゃんに「どうせ遊んでいるんだから一緒に遊んで」とお願いしちゃっているんですね。
ですから・・・トラブルが起きてケンカになる前に「あ、ごめんね。お母さんが悪かったね」と、下の子を見てあげていなかった“お母さん”が悪かった、と謝って、「お兄ちゃんの怒りはもっともだよ」って認めてあげてほしいんです。
それが毎回でなくてもいいんです。僕の怒りをお母さんは分かってくれている。そう感じるだけで、怒りは治まります。
「まあ、お母さんがそう言うんなら、しょうがない・・・」って納得するんですね。
そして、できれば、お兄ちゃんが一人で熱中し始めたら、ちょっと下の子をあやしながら、お兄ちゃんの集中ぶりを見てあげる、って事もして頂ければなおいいと思いますよ。(これも、できる時だけで結構です)
常にお兄ちゃんを優先・・・でなくても、時々、こうやってじっくり遊べる時間があると子供にも余裕が生まれます。
すると、時々邪魔されても「まあ、今日はしょうがない」って妥協する事もできるんですね。
もちろん、お兄ちゃんが自分の遊びだけでなく、下の子に付き合ってくれたりしたら、「お兄ちゃん、○○ちゃんと遊んでくれてありがとね~お母さん、二人が仲良く遊んでいるのを見ると、とっても嬉しいわ~」って、喜んであげてください。
お兄ちゃんの中に「お母さんは、僕が○○ちゃんと仲良く遊んでいると嬉しいんだな」という事が分かりますからね♪
そうすると、お母さんを助けるために、「少しは面倒見てあげようかな」と思ってくれると思います。
もちろん「お母さんに代わって面倒を見てもらう」のですから、そこに感謝をするのは当たり前ですし、時々はお兄ちゃんが集中して遊べるように、
下のお子さんをお兄ちゃんにお守をさせないように、お母さんが相手をしてあげてほしいと思います。
ココまで・・・
こんなお返事をしましたら、しばらくして、ご報告を頂きました。
ココから・・・
前回のご相談に関する回答、大変納得いきました。と、言うのも、私も主人もインテリアデザイナーの仕事をしてまして、3次元で物事を考える事がとっても多く、それを途中で止めさせられたりする苦しさは本当に身にしみてわかってます。
ので、早速実行しました。お兄ちゃんがお友達と遊んで居る時、私は下の子を見ながら、真ん中の娘と遊びました。
そして「お兄ちゃん、いつも○○(長女)ちゃん見ながら遊んでくれてたから、集中して遊べなかったでしょ。ごめんね。今日は、いっぱい遊べた?」と聞いてみました。
すると、「そうなんだよ、○○は、他の人の家に行っちゃいそうになるから危なかしくって、いつも、冷や冷やしながら遊んでたんだよ。今日は、楽しかったよ」と、言ってくれました。
又、私が、全く動けない夜、主人がお客様の現場へ急に行く事になった晩も、末の娘の赤ちゃんならではの甲高い声が頭痛を直撃し、
お兄ちゃんに、「ママ、今、頭がすごく痛くて、赤ちゃんの声がとっても苦しいの。だから、できたら一緒にこの部屋でテレビ見てても良いから、△△(次女)ちゃんをあやしてくれると助かるんだけど出来るかな?」と、聞いてみると、お兄ちゃんは、
「ママ、さっき僕、パパに、今日は目を休める為にテレビ見ちゃ駄目って言われたよ。だから、△△ちゃんを連れて僕のお部屋で遊ぶよ、ママは寝てていいよ」と、応えてくれました。
「ママ、本当に助かるよ、じゃ、甘えて少し寝るね」で、1時間ほど寝ちゃいました。凄いです。下の娘と上手に遊んでてくれたんです。
もちろん!感謝感謝でおにいちゃんに「ありがとう」を言いました。
主人が帰ってきてお兄ちゃんの話をし、主人から「凄いな~僕が居ない時ママを守ってくれたんだって?」お兄ちゃんの言葉は「もちろん!僕凄いんだもん!」でした。
本当にこの内容を速くお知らせしたかったんですよ。有難う御座います。私の読んでる内容を主人に英語で話して一緒に勉強をさせて頂いてます。これからもよろしくお願いします。
ココまで・・・
もう、気づいた方もおられるかもしれませんが、そらさんは、海外にお住まいで、ご主人様とは国際結婚です。
テキストの内容を英訳して、一緒に勉強してくださっている・・・。私もとても嬉しく思います(^^)
さて、今回のメルマガの内容をご覧になって、あなたはどう思われたでしょう?
「なるほど、こういう時にはこうすればいいのね」と思われたでしょうか?
でも、今回、私が参考にしてほしいのは「こんな時にはこうしたらいい」というその“方法”ではなく、そらさんが、お兄ちゃんの態度の原因を理解した時、それまでとその後、態度が全く違った、って事なんですね。
私達は、指摘されたり、抗議されたりすると、ケンカ腰になったり、反論をする準備をしたりしますよね。
それは「どちらに非がある」という冷静な判断ではなく、“攻撃されたたら、反撃したくなる”“やられたらやりかえす”というシンプルな感情によるものです。
特に、子供たちに何らかの問題がある時には、それなりの理由が必ずあります。
子供の問題がなかなか治らなかったり、言っても言っても改善しなかったりすると、どうしても強制的に従わせようとしてしまいます。
指摘・小言・指示・命令・・・。(これらは私が「否定の言葉」と言うものですが)「否定の言葉」を使えば必ず、相手は“反撃したくなる”“やり返したくなる”んですね。
でも、否定の言葉を使いたくなった時、「そこにはそれなりの理由がある」という事が分かりさえすれば、その理由を認めてあげる事で、相手は素直になって自分を見直す事ができるのです。
そう。“素直な気持ちは引き出せる”のです。
これは「親と子供」だけでなく、「人と人」の関係では、どんな場面でも起こります。よくあるのが、激しいケンカをしていたのに、「あの時は、○○してごめんなさい」とお詫びをすると、「いや、私こそ○○してしまって・・・すみません」などのようになる場面です。
“反撃したくなる感情”が消えた時、驚くほどのスピードで「素直になれる」んです。
“怒りの理由”を認める前は、「自業自得だ!」と反発し自分の正当性を主張していたお兄ちゃんが、“怒りの理由”を認めた後は、とても素直で好意的に協力をしてくれる。
そらさんは、お兄ちゃんの言動に不安になって「どのようにかかわってあげたらいいか困りました」と言われていたのですが、
いえいえ、やっぱり“こころ優しい素直な子”なんですよ♪この気持ちをこれからも、大事に育ててあげてくださいね(^^)貴重なご報告、メルマガ掲載のご許可もありがとうございました。
ご興味のある方はこちらをお読みください。
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