第83号 子供が誰かを傷つけたら・・・?
私は「喧嘩」を悪い事だとは思っていません。自分の意見をはっきり言えること。これはとても大事。男の子ならなおさら。
自分の大切な物(信念・恋人・家族・子供)を守るために自ら危険に立ち向かう強い心を持ってほしいと思います。
でも、時々相手を傷つけちゃう事もあるんですね。そんな時、どうしましょうか?
ココから・・・
パピーさん、こんばんわ。落ちこぼれのもこもこです。もうフォローメールをいただくのも11回になるのですね。夏休みのあまりの母子密着生活にほとほと疲れて、子育ての勉強に背を向けていました。
なのにパピーさんは真摯にメールをくださって、なんだか逃げ腰な自分が恥ずかしくなってきました。
今日メールを差し上げたのは、今回の“子供は親を評価している”が胸に刺さったからです。先日長男(8歳)が公園で数人と野球をして遊んでいたところ、小さないざこざから一人の子に罵声を浴びせられ続け、
我慢の限界を超えたときにその子の顔めがけて硬いボールを投げつけて、口元に怪我をさせてしまいました。
私はその場にいなかったので詳しい事情はわからず、でも怪我をさせたのだからとにかく謝りに行かなくてはと、自分は悪くないと興奮していた息子を「謝れないなら今日は謝らなくても良いから、とにかく一緒に来なさい」と無理やり引っ張って相手のお宅に伺いました。
親が謝るところを見せておかなくてはいけないと思ったからです。相手のお母さんはその場にいたので事情を(少しご自分の息子さんに都合の良い解釈とは思いましたが。お互い様ですが)知っておられ、たずねていくと泣いていました。
とにかく私はこちらが悪いのでと謝り続け、息子が反省したらまた改めて謝りに伺うとその場を辞しました。
帰宅中なぜか私も泣いてしまい、帰宅後、“いくら相手が悪くても怪我をさせるようなことをしてはいけない”と話しても全く理解しない息子に、
「今までママはあなたがママの言うことを聞かずに思い通りにならない時に、たたいたりしたことがあったから、あなたも人にそうしてもいいと思ってるんだよね?ママが悪いんだよね?」と泣きながら言ってしまいました。
息子は相手の言った事は許せないものの、目の前で母親が泣いているので、「ちがうちがう」と泣きべそになってしまい、その場はなんとなくうやむやに。
その後その場にいたほかのお母さんや、一緒にいたほかの友達からの情報も得、息子だけが一方的に悪いわけではない(もちろん悪いのですが)ということもわかり、私もだんだんと落ち着いていきました。
翌朝にまた話し合った結果やっと息子も自分の悪かったところを認めて、ちゃんと相手に謝りに行くこともできました。
と、ここまでは親子ともども勉強になってよかったと思っていたのですが、その一件以来、時々私の揚げ足をとるような発言をするようになりました。
次男に「人をたたくのはダメよ」といっているそばで、「自分だってたたくくせにぃ~」とか、長男が弟に向かってきつく感情的に注意している(箸の持ち方とか)のを諌めると、「ママの子だから仕方ないんじゃな~い」などです。
まだ長男が小さいころから、この子が中学生くらいになったら、きっと馬鹿にされちゃうんだろうなぁ。と漠然と不安に思っていました。
夫は理系で理論的に考え、話す一方で、私は感覚的、感情的に対処するので、その違いに気づいたときから、きっとこの子は母親を軽く見るのだろう。と思っていたのです。
その時がきたと思うと、情けないような、悲観的な気持ちです。
ちなみに今回の事件を聞いた夫からの息子への言葉は「相手にするな」でした。ただ胸のうちのもやもやを吐き出すだけの長いメールですみません。
季節の変わり目で体調が崩れやすいのですから、お体には十分お気をつけください。
もこもこ
ココまで・・・
そして私はこんなお返事をしたのです。
ココから・・・
もこもこさん。おはようございます。パピーいしがみです。お返事が遅くなって申し訳ありません。メール拝見しました。実は私、こういう子供さん。大好きです。
小さい頃の自分のようで、思わず嬉しくなっちゃいます。不謹慎かもしれませんが率直な私の意見を述べさせてもらっていいですか?
もし私がもこもこさんだったら・・・・「よくやった!」「それでこそ、男の子!」「悔しい!っていう思いを相手に伝えたのは大正解!」「でもな。物を投げたのはまずかったな。」「もし目にでも入って失明したら、お前が一生責任を負わなければならないからな。」「今度喧嘩する時は、素手でやるんだぞ」
って言います。
喧嘩をするって言うのは悪いことじゃありません。自分の意思を相手にぶつける。そして相手を威嚇する。きちんとそれが出来るってのは成長している証です。
「いじめは必ずある。」という事はテキストでも、ホームページでもお話していますよね。「いじめは小さなからかいがエスカレートをして起こる」という事もお伝えしています。
子供さんは、からかいがエスカレートする前に自分でそれを阻止できたのですよ。立派ですね。そしてお母さんとしては、「よかった」ですね。子供は立派に成長していますね。
もし、ココで言われたまま、相手に罵声を浴びせられたまま、歯を食いしばりじっと我慢をしていたら、きっと相手の攻撃はもっとエスカレートしていたでしょうし、
それを見ていた誰かが「あいつを攻撃しても抵抗しないぞ!」って、新たないじめに発展したかもしれません。
ただ、ものを投げる。武器を使う。これはいただけません。なぜいただけないか?わかりますか?「卑怯だから?」そうではないのです。
今回はボールでしたので、事なきを得たのでしょうが石を投げたり、棒を使ったり、鉛筆を持ったりした場合、それによって取り返しのつかない事が起きてしまう場合があるからです。
石を投げて相手の頭蓋骨を割り、脳に損傷を与える。鉛筆が目に刺さり、失明する。棒が口を突き、頚動脈を切る。これは、全て過去にあったことです。
当然、加害者は一生その責任を負わなければならないのです。一生その事で苦しむのですよ。これからすばらしい人生が始まる子供にとってこんな重い十字架を背負わしてはいけません。
だから「武器は使ってはいけない」と教えなければならないのです。何が良くて、何が悪いか?そこが明確になれば、理解してくれると思いますよ。
でも、直ぐに相手に謝りに行ったのは正解でしたね。「ココまでしなくちゃいけないんだな」と分からせる為に親が見本を見せるのは勇気がいったことでしょう。
そして、「子供が反省したら、又来ます」この機転が利いた判断もすばらしいです。
相手の親御さんはもこもこさんに「責任感のある親」という印象と「自分の子供にも非がある」という思いを感じさせたことでしょう。もこもこさん。よくがんばりました。
偉かったですね。ところで、原因は何だったの?どうして投げたの?どんな気持ちだった?という事は子供さんから聞いてくださいましたか?
「いい・悪い」の前に冷静に理由をきちんと聞くと子供の頭の中も整理されて、「ココがまずかったな」って自分で善悪を判断できやすくなります。
でも、大きな怪我もなく、相手とも和解でき、そして子供の成長を確認できて、その上、親としての対処も経験できたし・・・私としては『良く出来ました。』の二重丸を差し上げますよ。
さてと・・もこもこさんのお悩みはその次ですね。これについても、私は「立派に成長しているぞ!」と思っています。
9歳ぐらいまでは、知識を吸収して10歳ぐらいからは、その知識から総合的に判断して自ら判断しだす。という事をお伝えしてありますね。
その時期が来ていると思ってください。順調に成長している証なのですよ。これは喜ばなくてはいけません。きっとあと数年後には立派なスーパーマンになってくれます。
楽しみですね。そうそう。喜んでばかりはいられませんでした。もこもこさんは、お悩みなのでした。上げ足を取られる。とのことでしたね。そう言われると言葉に詰まってしまうのですね。
こんな時、普通のお母様方は何と言うと思いますか?「子供のくせに親になんてこと言うの!」です。そう。強制的に言わせないようにするんです。
まあ、言ってみれば「逆上」してしまうんですね。そうすると、子供はどう反応するでしょうか?子供は「親がうろたえる」のが面白くて、同じ事を何度もやるようになります。
又は、親に対して大きな不満を抱えて(自分が出来ないことを棚に上げて、子供にばっかり注意する)と親を評価し、親から心が離れ、何も言わなくなるのどちらかです。
怖いのは後者です。お話を伺うと、もこもこさんの場合は前者ですね。まだまだぜんぜん大丈夫。
後者のように「めっきを塗った親」の姿を子供に見せようとすれば、子供は直ぐに分かります。そしてそれは親に対しての不信感になるんですね。
ですから、もし子供さんが上げ足を取るのなら、それを認めて子供の前でそうしないように約束するのです。
ココはデリケートなところなので、もう少し詳しく説明します。
次男に「人をたたくのはダメよ」といっているそばで、「自分だってたたくくせにぃ~」とか長男が弟に向かってきつく感情的に注意している(箸の持ち方とか)のを諌めると、
「ママの子だから仕方ないんじゃな~い」と言われたとしますね。
子供は、お母さんの反応を見ています。「何と言うかな?」という状況です。ちょっとからかっているんですね。この時、感情的に怒ってはいけません。
まずは、座ってください。そして、ゆっくり、冷静に質問をします。「ママは、そんなにあなた方の事を叩く?ヒステリックに怒る?」と聞いてみてください。
「叩くよ。怒るよ。」と言われたら、「叩くと痛い?」「叩くといや?」「怒るといや?」と聞きます。
「嫌だよ。」「痛いよ。」という言葉が出たら、「そうなんだ。ごめんね。ママは無意識のうちにやっていたんだね」「これからはやらないように気をつけるから、あなたもやめてね。」
「そしてもしこれからママがあなたを感情的に叩くようなことがあったら、『ママ約束破ってるよ』って教えてね。」「感情的に叩かないって二人で約束しようね。」こんな感じです。
もし本当にもこもこさんが『感情的に叩く』のが癖だったら、この約束は辛いかもしれません。
しかし、それを本当にやめさせたいのならご自分が止めなければ子供に止めさせることはできません。
ただ、真剣に話し、約束することで、子供は「自分を認めてくれた」「お母さんは真剣に話してくれた」「僕を一人前として扱ってくれた」と感じ、からかったりおちょくったりしたことを「まずかったな」と思います。
そして、同じようなことは起きにくくなるはずです。どうですか?もし、ご自分が息子さんだったら、こんな時、親がこのような対応をしてくれたら、どんな気持ちがするでしょうか?
もこもこさんが感じているその気持ち。それが子供さんの気持ちです。強制では人は動かない。でも、みんな善悪の判断はもっています。
特にもこもこさんの子供さんは、自分の意思をきちんともって成長されていますからちゃんと対処できるはずです。
ご興味のある方はこちらをお読みください。
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号数 | 内容 | オススメ度 |
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43 | ■ いじめ・・・絶対になくならないもの | ★★★ |
51 | ■ あなたなら・・・どうしますか? | ★★★ |
53 | ■ 私なら・・・こうします。 | ★★★★★ |
54 | ■ あなたなら・・・どうしますか? 最終回 | ★★★★★ |
58 | ■ いじめられた過去からの復活 | ★★★★★ |
59 | ■ 復活のきっかけ | ★★★★★ |
76 | ■ いじめは“絶対に”なくならない! | ★★★★★ |
100 | ■ 親の想像を超えた妨害は起りうる | ★★★★★ |
164 | ■ 知ってると知らないとでは、偉い違い | ★★★ |
176 | ■ 子供の世界にもダークな部分がある | ★★★ |
192 | ■ いじめは絶対になくならない | ★★★ |