第868号 叱っても治らない
こんばんは。パピーいしがみです。ここ数日、とってもさわやかですね~(^^)『風薫る5月』と言いますが、とても良い季節です。
この季節、山間地に入ると新芽のむせ返るような匂いがしますね。
私の妻はこの「むせ返るような匂いが超苦手!」と言いますが、私は、新緑の芽吹く(エネルギーに満たされていると感じる)この時期の何ともいえない青臭い匂いが結構好きで、嗅ぐと力が沸いてくるような気がします。
植物の新芽がどんどん伸びるように、子供達も活発になる時期です♪
さて、今日のメルマガのタイトルは「叱っても治らない」としました。実は、このワード。よく、ご相談を頂く内容でもあります。
ただ・・・「叱っても治らない」これは全くもって正しくて、基本「叱っても治らない」のです。なぜなら「叱る」ことと「治す」事は、向かう方向が全く違うからです。
「叱る」は、その行為を止めさせようとすることですよね。でも、なぜ止めなければならないのか、止めたとしても、どうすればよかったのか?それは・・・「叱る」で理解させる事はできません。
「治す」為には、何が悪かったのか?どうすればよかったのか?を、“本人が”分かっていなければなりません。
例えば、あなたが、初めての職種の仕事をしたとします。その時にいきなり「違う!何やってんだ!」と叱られたら、どうでしょうね?
「あ、何かミスをしたんだな」というのは分かるでしょう。でも「何をミスったのか?」「どうすればよかったのか?」「どうしてそんなに叱られたのか?」は、分かりませんよね。
これについては私も経験をしています。私は、高校卒業後、18歳で某自動車メーカーに入社しました。(父への反発で「大学なんか行くもんか!」で入った会社でした)
当時もすでに大企業で、いろんな職場がありました。私はサービス(修理や点検等の担当)業務に配属されました。
当時の自動車業界って、かなり職人の世界でした。特に修理の分野は荒っぽく、縦社会。「仕事は盗むもの」という風潮で怒号が飛び交っていました。
又、サービス業務に配属される人は、多くは自動車整備専門学校を卒業した人だったり、自動車整備科のある高校を卒業した人だったりして、私のような進学校からの就職は珍しかったのですね。
車やバイクが好きで就職したとは言え、資格や基礎知識の無い私でしたから、一人の先輩が指導担当者として教えてくれてはいたのですが、あちらこちらで、違う先輩から怒鳴られるのです。「お前、何やってんだ!」「邪魔なんだよ!」のようにです。
男だけの縦社会ですから、言葉も荒くぶっきらぼうです。10歳も20歳も年上の方から怒鳴られるのですから、高校を卒業したばかりの若造はビビッてしまいます。
でも大声で怒鳴られても、私は何を叱られているのか分かりません。どうすればよいのかも分かりません。しょうがないので「すみません!」と大きな声で謝って、逃げるように指導担当の先輩のところに行って
「今、こんな風に怒鳴られるたんですが、何が悪かったんでしょう?」って聞いて初めて、職場のルールや順序などを教えてもらいました。そこではやはり「自分の知らないこと」がかなりありました。
でも「叱る人」もいれば「教えてくれる人」もいた。だからこそ、何の知識が無い新人でも、数年たてば仕事ができるようになれたし、次第に職場にも馴染み、先輩方の人となりも知り、恐怖や萎縮も減って溶け込んで行けたのです。
でも、どうでしょう?もし、その時「叱る」しかしなかったら、何が悪かったのか、どうすればよかったのか?分かるようになるでしょうか?
はい(結論)。ならないのですね。やはり「叱る」だけでは人は成長しないのです。「叱る」人はいてもかまいません。でも「教える」人は“いなければならない”んですね。
そうやって考えて頂くと・・・「叱る」よりも「教える」の方が、かなり少ない・・・と感じませんか?(^^)
そうそう。そんな私も入社3年目に、「今度は、お前が新人を担当しろ」と言われるようになりました。
当時、私は、「自分も一人前として扱われたんだな」と思っていましたが、実はそうではありませんでした。
何も分からない新人を教える事で、「かつては自分も、知らなかった、という事を思い出す」「時間が経過した今も、決して完璧ではない、と理解する」「新人に見習ってもらえるだけの先輩になる」という目的があったのだと、後になって知りました。
初めての職場で数年が経過し、何とか仕事ができるようになった私は、全く何も知らない新人君に「そんな事もできないの?」「そんな事もわからないの?」「あたりまえ」「そんなの常識」のように感じていましたし、そんな風にも言っていました。
その時、一人の先輩がこう言ったのです。「お前も、入ったばっかりは同じだったんだよ(笑)」そうなんです。
全く0からのスタートで、右も左もわからなかった私も、仕事に慣れることで、全くできなかった自分、右も左も分からなかった自分を忘れてしまっていたんですね。
あの時、あれだけ不安だったのに、その不安も忘れていたのです。そうやって考えた時、私達があたりまえにしている事やできていること。「そのくらい分かるでしょ?」と思うこと。
それらも“教えなければ”初めての人には理解はできない、と言えそうですし、「叱って治す」も、「叱るだけ」では改善させる事は難しそうです。
特に、子育て中の私達が相手にしているのは子供達です。やみくもに叱ったり、怒鳴ったりするだけでは、「治す」どころか、理解させる事も難しい。
子供に与えるのは、不安と恐怖。そしてこちらの顔色を伺うことだけです。でしたら、どうすればいいか?はい「叱る」前にちゃんと「教える」をすることなんですね。
できるまで、何度も何度もじっくりと(^^)。
私達が「あたりまえ」「常識」と思うことであっても、もう一度、説明したり、理解させたり、「なぜ、それが必要なのか?」も、教えてあげる必要があるんです。
だって、子供は0から生まれてきているんですからね♪
ちなみに、よくご相談を頂く「片付けをしない」「準備をしない」などは、やりなさい!と叱って子供に一人でやらせようとするのではなく、お母さんも「一緒に」やってみてください。
「さあ、片づけを一緒にやろう、どちらが多く片付けられるかな?」のように、ちょっとした「楽しさ」を加える事で、片づけが「嫌なもの」「メンドクサイ」「やらされる」という印象がなくなります。
最初は、一緒にやりながら、時間を掛けて少しずつ、親の方が手を引いていき、それを褒めながら一人でできるようにしていくのです。
又、その時に、「こうやって片づけができると、今度使う時に、とても使いやすいんだよ」と、片づけをする“意味”なども教える事ができますね♪
もちろん「子供には言ってるけど、親はやらない」は、無いように気をつけてくださいね。子供に片付けの大事さを教えている時には、親はちゃんとそれができている姿を見せていなければなりません。
何も分からない0からのスタートした子供に向かう事で、私達は、「かつては自分も、知らなかった、という事を思い出す」「時間が経過した今も、決して完璧ではない、と理解する」「新人(子供)に見習ってもらえるだけの先輩(大人)になる」という勉強をしています。
これって、実はとても良い経験なんですよ(^^)是非、このチャンスを活かして、自分の子供達が、さらにこの子の子供達に教えられるように、(楽しく)親業を頑張りましょうね(^^)
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