第890号 話を聞かない
こんばんは。パピーいしがみです。今日は、ゆかぺこさんから頂いたメールをご紹介したい、と思います。
ゆかぺこさんには現在、5歳・2歳の女のお子さんがおられます。ご相談いただいたのは、今から1年ほど前で、いくつか問題があったのですが、特に長女さんの「親の言う事が聞けない」とお困りでした。
危険な事、人に迷惑をかける事、物を粗末に扱う事、などなど、「どんなに口をすっぱくして言っても、話を聞こうとしない、言った傍から忘れてしまう」と言われていました。
親の話を聞こうとしない・・・という姿勢は、親としては非常に困ります。今後のコミュニケーションさえも取れなくなるからです。
でも、その姿勢って、親の言葉に否定が多いと起き易く、ゆかぺこさんにはどんな風に言っておられるのか?とお聞きしてみました。
そうしたらゆかぺこさんは、このようにお返事を下さいました。
ここから・・・(抜粋)
◯危険な事→ 大怪我して救急車呼ばなきゃいけなくなるよ!死ぬよ!
◯迷惑をかける事→ みんなに◯◯のことを嫌いになってほしくないからよ。→ みんなに嫌われたい?
◯わざとものを粗末に扱う事→ 自分が作ったものを壊されたり蹴られたりしたら。うれしい??自分がしたことは自分に返ってくるよ。大事に使ってあげたら、◯◯ちゃんもみんなに優しくしてもらえるよ。
このように何度も何度も、説明しています。(毎回毎回、説明するので、ろれつが回らなくなったり、とても疲れます。。)
ところが、長女は、すぐに忘れるみたいで、しかも、普通の声のトーンでは聞こえているのかどうなのか、とにかく言うことを聞きません。
それに加えて、行動を起こす前に、あれこれ事前に教えていると、楽しい気持ちが半減し、聞く耳をもたなかったり「もうやらない!」となります。
やりたい気持ちを大事にしたいと思い、とりあえずやらせることにしてからは、「教える」と「叱る」はセットでしてました。
ここまで・・・
そして、私はこんな風にお返事しました。
ここから・・・(抜粋)
メール、拝見しました。ゆかぺこさんは「教える」は充分にしている、とお考えのようですね。
でも・・・“大怪我して救急車呼ばなきゃいけなくなるよ!死ぬよ!みんなに◯◯のことを嫌いになってほしくないからよ。みんなに嫌われたい?自分が作ったものを壊されたり蹴られたりしたら、うれしい??
自分がしたことは自分に返ってくるよ。大事に使ってあげたら、◯◯ちゃんもみんなに優しくしてもらえるよ。“
・・・これは「教える」ではないですよ。させないように恐怖で縛っている・・・これって結局「否定」なんですね。
又、かなり頻繁に言っているようですね。そうなると・・・子どもは雑音と判断して聴く耳を持ちません。
ここまで・・・
ゆかぺこさんは、その返事を読んで、相当ショックだった様です。その時のことをこんな風に話してくださいました。
ここから・・・
びっくりしました。勉強を始めて、これだけはダメだ、と、(テキストにもメルマガにも)あんなに書いてあって、気をつけているつもりだったのに、思いっきり、自分は否定し続けていた。。
“話を聞いてくれないのは、娘の性格のせいだ”と思っていた自分の酷さに・・・ショックでした。叱るのは早い方がいい、と聞いていたので、癇癪起こしてる時も、おかまいなしに、コンコンと説明してました。
どうやったら、だめなことだと、娘にうまく教えられるか、どうやったら娘がわかってくれるか、そればかり考えてました。
「私の言い方が悪いんだ」「たくさん言うしかないんだ」「諦めずに言い続けていたら、わかってくれる」そう思い続けてました。だから、しつこくなっていました。
聞いてくれないから、注意を引ける脅迫めいた言葉しか、思いつかなくなってました。でもそうじゃなかった。
ここまで・・・
なるほど・・・ゆかぺこさんは、ご自分が強い否定をずっと続けていたとは、気づかずにおられたようです。
「叱るのは早い方がいい」は、私の言葉では無いので、きっとどなたか別の方からお聞きになったのだと思いますが、
危険な事、迷惑をかける、わざとものを粗末に扱う、以外にも、沢山の「叱る」が先行してしまっていたでしょうし、子供が聞く耳を持たない為に、さらに強い、脅迫めいた言葉を選んでしまっていたのですね。
ですが、そこに気づいて下さったゆかぺこさん、すぐにご自分の方針転換をしてくださったようです。ここからは、その後のご報告になります。
ここから・・・
でも、自分のしていたことを悔やんでいても仕方がない!と思い、まず、できることはすぐに取り掛かりました。
1、脅迫、否定をしないこと。2、喧嘩や、トラブルが起こった際は、焦ってすぐに怒らず、必要以上に声かけせず、とりあえず様子を見る、待つ、子供を信じることにしました。必要がなければ「叱らない」をしました。
3、トラブルが起こった時は、落ち着くのを待ち、娘がどういう気持ちか、話をよく聞き、私だったらどんな気持ちになるか、を想像するようにしました。
4、とにかく、褒めるところを探しました。5、「まいっか」と思う機会を多くしました。
全てを、いつも完璧にできるわけではありません。でも、1だけはないように、脅迫はしないように徹底しました。
娘はダメなことだとわかってるのに、感情を抑えられなくてカーッとなって手が出てしまうんだな、本人が誰よりもわかっていて、でもできなくて、葛藤してるんだな。
まずは、気持ちをわかってあげなきゃ。色々、子供の気持ちが見えてきました。毎日あんな小さな体で、心の中で、いろんな感情と戦っているんだ。。
友達とけんかをしても、頭ごなしに否定せず、まずは「どうしたの??」と聞くようにしました。「お母さんも、幼稚園の時、おんなじようなことで喧嘩したわー」など、話して聞かせると、
どんなに癇癪おこしてても、気持ちが落ち着くようで、「それでそれで?」と、こちらの話をきいてくれるようになりました。
長女にも悪いところがあるな、と思ったときは、落ち着いてから(お風呂に入っているときなどに)自分が同じことされたら、どう思う?と、聞くようにしました。
すると驚くほど話を聞いてくれるようになりました。姉妹喧嘩も悩みのタネで(ほとんどが、長女の大事にしているものを次女が触って、シワになってしまったり、ぐちゃぐちゃになってしまったり、お絵描き工作の邪魔をされたり、が原因です。)
長女がキツく押したり、噛み付いたり、叩いたり、ということが繰り返されていました。以前の私は、「触られたくなかったら、お父さんの部屋でしなあかんやろ!」ときつく怒ってしまうことが、一日に何度もありました。
今はまず、一呼吸おいて、手が出たことを責めるよりも前に、私が娘と同じことをされたら・・・と考えて「せっかくこんな上手に作れたのになー悲しいなー」と寄り添い、抱きしめる、これが自然にできるようになりました。
状況がすぐに改善、とはいかなかったですが、日々の生活積み重ねのおかげか、今では、少しの事だと、長女が次女を笑って許せる事がでてきました!
もちろん、幼稚園で色々あった時、特別大事にしているものを壊された時は、以前のように噛んだり、強く押したり、もあります。でも、その回数が圧倒的に減りました。
特に、驚くべきは、夏休みでした。次女も、長女の作ったものを壊さずにいられるようになったのが大きいとは思いますが、長女自身も寛容になっています。
長女の作る積み木のお城を、壊さずにじーっと見て「すごーい!!!」と喜ぶ次女。「○ちゃん、私のお城壊さず見ててくれた!うれしい!!!大好きー!!!」と次女に抱きつく長女。
褒められて抱きしめられて嬉しそうな次女。こんな日がこんなに早く来るとは想像もしていませんでした。
「褒める」も、最初は全く上手くいきませんでした。今までは、トイレ行けたね、欲しいもの我慢できたね、野菜食べれたね、と褒めても、娘はおだてられてる、と思ったのか、「褒めないで!!!」と怒っていました。
長女には「褒める」ができない!と思っていましたが、私が“やってほしいことばかり”褒めていたのが悪かった、と気づきました。
娘の気持ちを想像して、本当に褒めてほしい、認めてほしいところを考えました。
集中して作った積み木のおうちや、自分で作った歌、高いところからのジャンプ、踊り。。娘の「見て見て!」に、ちゃんと向き合ってなかったことに気づきました。
見ていたつもりですが、忙しい時は、心ここに在らずで、「すごいねー」とうわべだけで言葉を発していました。
今では、寝る前にホメホメタイムをつくり、「今日のホメホメは、ブロックですごい遊園地をつくれたこと!」と私がいうと、「お母さん、それホメホメするところ違うで!」というので、
「え!じゃあ、今日電車で静かに座ってられたこと!」というと、「それそれ!嬉しい(^^)」と素直に言えるようになりました。
そうしたら、いつの間にか、長女はとっても褒め上手になっていたのです。お友達が、自分にできないことをやっていたら、「○○ちゃんすごいね!!○歳なのにこんなことできるなんて!」と、褒めまくります(笑)
先生に、「すごいって言える◯ちゃんもすごいよ!」と褒めてもらえて、さらにやる気になり、お友達が出したおもちゃを自ら片付けだしたり。長女、お片づけ大嫌いなのに、です。
自信ってすごいなーー!!!と、感動しました。時々私のことも褒めてくれます。それで私もさらにやる気になって、相乗効果です。
他にも・・・補助輪なし自転車も乗れるようになりました。お風呂のシャワーが嫌で嫌で仕方なかった子なのに、自らプールで顔をつけられるようになり、すこーしですが、泳げるようになりました。
夏休み、次女の昼寝の寝かしつけ、毎日寝たふりをして手伝ってくれました。教えてないのに、ひらがな殆ど書けるようになりました。
友達と喧嘩して怒り爆発しても、どうしたら上手く仲良く出来るかを私と話して、考えて、「こうしたらいいんちゃう??」と、ポジティブな意見が沢山言えるようになりました。報告したいことがありすぎてまとまりません。
ここまで・・・
当初、子供が親の話を聞こうとしない・・・というほどの、ゆかぺこさんと、長女さんでしたが、どうでしょう?
お母さんが「否定」をやめる決意をして下さったら、とても雰囲気がよくなって、さまざまな問題が解決したり、急に出来る事が増えたりしていますね。
私も、ご報告を頂いて、本当に良かった、と胸をなでおろしました。その後のゆかぺこさんの言葉です。
“今、子供の意思を尊重して、とことんやりたい遊びをさせてくれる幼児教室に、通っているのですが、そちらの先生に、先日、「〇〇ちゃん、何も問題なく、とても良く育ってらっしゃいますよ。恐らく今までのお母様の接し方が良かったからだと思います。」と言っていただき、ウルウルしてしまいました。
又、主人は、仕事が多忙で、かなりストレスを抱えていますが、子供達に「キャー!!!おかえりー!!!!」と言われてると、本当に嬉しいみたいで、疲れてても、デレデレしています。そんな光景をみるのが、私の幸せなひと時です(^^)“
「否定」をやめることで、親子の関係が改善されて、当初の「親の話を聞かない」という問題は、もう今は無いようです(^^)ゆかぺこさん、貴重なご報告をありがとうございます。是非、この良い感じ、お続け下さいね♪
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