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第999号 いじめとしつけ

こんばんは。パピーいしがみです。

今日は「いじめ」の件で頂いたご相談についてご紹介したいと思います。

ただこのいじめは、ご相談を頂いた方のお子さんが直接やっていたのではなく、その子が首謀者になり他の友達に指示をしてイジメをしていた・・・

又、お母さんは、中学校の先生で、子供には「いじめは絶対にダメ」と厳しく躾けていた方だったのです。

いじめられた子が学校に行かなくなってから分かったことで、お母さんは「まさか自分の子が・・・」と頭が真っ白になってしまったそうです。

当初頂いたメールはこんなご相談でした。

ココから・・・

パピーさま。初めて相談させて頂きます。トンボと申します。

まだ講座も始まったばかりでこんな相談をして、大変失礼か?と思うのですが、私の悩みは、小学2年生の娘と、今後どうやって行けばいいか?です。

私は、今までの娘への姿勢は良くなかったと思っています。と言いますのも、私はかなり厳しく子供を躾けてきました。指摘や小言も多かったと思います。

叩くことはしませんでしたが、認めたり、褒めたりする事はほとんどせず、甘えさせることもあまりしませんでした。

保育園時代の娘は、運動もできるし、字を覚えるのも早く、リーダーシップがあって、先生からの信頼も頂き「とても優秀」「模範的な子」と言って頂き「できる事は自分でやって」が私の口癖でした。

クラスメートのお母さんたちにも褒めて頂き、私も自分の教育方法に自信を持っていました。

小学校に上がったくらいから反発することも増えてきて「反抗期なんだな」と感じていました。

今、小学校2年生になり、その娘が学校で、他の女の子をいじめている事が分かりました。その女の子は、同じ保育園でとても大人しかった子です。

娘がリーダー格となり、他の子とグループを組み、一人の女の子に嫌がらせをして、その子が学校を休むようになった事から発覚したのでした。

娘には、幼稚園の頃から「人には優しく」「いじめは卑怯だ」「絶対いけない事」と言ってきました。本人も「分かってる」と言っていましたし、いじめが起きたらかばってあげるだろう、と思っていました。

ですが、こんなことになってしまい、今後、娘とどう向き合って行ったらよいか、本当に悩んでいます。

パピーさんもお父さんが学校の先生で非常に厳しく育てられた、とお聞きしていましたので、娘の気持ちやこれからの事。どうして行ったらよいか、お聞きしたいとご相談させていただきました。

テキストを読むと、私の至らなかった部分が沢山あったことを感じます。ですがいまさら親の態度を変えても娘のねじまがった性根が治るとは思えずにおります。

私も混乱してうまく文章が書けず申し訳ないのですが、今後の指針などアドバイス頂けたら嬉しく思います。よろしくお願いします。

ココまで・・・

実はトンボさんのご家庭は、ご主人が長期の海外赴任で、ほとんど娘さんと2人きりの生活だったようです。

ご自身が忙しく、又、学校の先生という事もあり、常に娘さんには厳しく接しておられたみたいです。

メールを頂いて私はこんな風にお返事しました。

ココから・・・

トンボさん、こんにちは。パピーいしがみです。

メール拝見しました。そうですか・・・娘さんがリーダー格で一人の女の子をいじめてしまったようですね。

トンボさんご自身も謝罪をされたと思いますが、娘さんも矢面に立たされて、きっと辛い思いもしていると思いますので、あまり執拗に責めたり、きつく叱ったりなさらないでくださいね。

それで娘さんの気持ちや、今後の事でご相談を頂いたのですが、その前に、私は一つ気になることがありました。

それはトンボさんが、娘さんの事を「娘のねじまがった性根が・・・」と書かれていた事です。

確かにいじめをした事は許されない事です。それも首謀者となって周りに指示していた事が分かってものすごくショックだと思います。

ですが娘さんが性根がねじまがっている・・・とは考えてほしくないと思うのですね。

もしかしたら、嫉妬があったかもしれないし、何か不満があったかもしれません。もちろん「寂しさ」からの事かもしれません。

それにきっと「間違った行動」としては初めての事でしょうし、重い事ではありますが、たったこれだけで娘さんの全評価としないでほしいのです。

子供が間違いをせずに育つことはありません。みんな必ず何らかの失敗や間違いをして成長していきますのですから、過去は過去として捉え、これからを前向きに考えてほしいのですね。

そして、私自身の事もお話しすると、私は厳しくされた父に復讐したい気持ちが少なからずありました。

それこそ高校で、父を良く知る先生から「お前は父親の顔に泥を塗った」と言われた時には「よっしゃ!やってやった」という気持でした。

父に叱られるたびに、「ああしろ」「こうしろ」と命令されるたびに、心の中に黒い物が溜まっていくような感覚があり、それがいつしか溢れ出していくように感じていました。

私の中には「俺は父親の為にいるんじゃない!」という思いがあったのですね。父の対面を守るためにいい子でいるのがとても嫌でした。

そこまで行くと確かに『性根がねじまがっている』と言えるかもしれませんが、娘さんはまだまだ小学2年生。これからいくらでも修正はできると思います。

と言うより、この早い段階で、トンボさんがご自身の今までの姿勢を省みて「間違っていた」と気付いて下さったことが、本当に良かったと思います。(まだまだ間に合うと思います)

私も常々言っていますが、叱っても叱っても子供は良くはなりません。

親と一緒に生活をして「楽しい」とか「嬉しい」という気持を感じながら自己肯定感(自分への価値観)を高めていく事で、子供は自分から正しい事、いけない事を学び、自分でそれらを選択して行くようになります。

トンボさんが仰るように、娘さんが小さいころから叱ることが多く、あまり認めたり、褒めたりすることが少なかった・・・としたら、

幼稚園などでは「優秀」「模範的」と言われても、本人は嬉しくなかったのでは?と思います。

本当に褒めてもらいたいのは幼稚園でも友達の親からでもなく、たった一人のお母さんである、トンボさんだったと思いますよ(^^)

でもなかなかそれを分かってもらえない・・・という寂しさや不安もあったのではないかな?と思うのですね。

トンボさんは「いまさら親の態度を変えても・・・」と言われていましたが、今からでも決して遅くはありません。

ただ今まであまり褒めたことが無かったトンボさんですから、こういう事があっていきなり褒めるようにしたら娘さんも「なんかおかしい」とは思うでしょう。

ですからどうでしょう?まずは会話を増やす事から始めたら・・・。

例えば、娘さんが小学校に上がったくらいから反発する事が増えてきて・・・と書かれていましたね。

実はこれってとても良い事で、娘さんはちゃんと意思表示ができる子だった、という事なんですね。

でしたら「こうしなさい」「ああしなさい」と親から指示・命令をするのではなく「あなたはどう思う?」のように子供の意見を聞くところから始めてみて欲しいと思うのです。

それが正しくても間違っても「そうなんだ。あなたはそう思うんだね」とまずは全部聞いてみて、できる事なら「親に従わせる」のではなく「子供の考えているようにやらせてみて」ほしいのです。

子供の気持ちを聞く事は「認める」の基本になります。

そして自分の意見に耳を傾けてもらったり、聞き入れてもらったりすることで自己肯定感を感じるのですね。

もちろん、それで失敗もするでしょう。ですが失敗すればいいんです。間違いだって起せばいい。その失敗や間違いが一つ一つ学びになります。

今回のように大きな失敗であっても、親が頭を下げてフォローしてあげることはできますよね。

今回の失敗を一つの転機として、親子の会話を増やし、笑顔で話せるようになったり、褒めたりすることができてくると、きっと家庭内は和やかになって、娘さんも雰囲気が変わってくると思います。

まだまだ娘さんは生まれて数年です。トンボさんの意識と継続で、いかようにも変化すると思いますので、是非、頑張ってやってみてほしいと思います。

ココまで・・・

このようなメールを差し上げて、約半年ぐらいでしょうか?トンボさんからお返事を頂きました。

ココから・・・

パピーさん、ご無沙汰しています。以前、娘が主犯格でいじめをし、今後どうしたらよいか?と相談をさせて頂きましたトンボです。

その際は、すぐのお返事をありがとうございました。

娘と同じ思いをされてきただろうパピーさんに「これからいくらでも修正ができる」「この件だけで性根がねじまがっている、と考えるのは良くない」と言って頂き、涙があふれました。

確かに私は、娘に「私に迷惑を掛けないで」と思っていました。おかしいですよね。今の私にはそれがおかしいと分かります。

が、その時の私は、子供を指導すべき教師の子供が、よそ様の子をいじめて不登校にさせていたと知った時には、頭が真っ白になり、手が震え、どうしたらよいか分からないほどうろたえてしまいました。

そして私には、娘の為の親でいるより、親の為の娘でいてくれる事を望んでいる自分がいました。

パピーさんが仰った“私の中には「俺は父親の為にいるんじゃない!」という思いがあったのです。父の対面を守るためにいい子でいるのがとても嫌でした”が娘の本当の気持ちだと理解しました。

そうですよね。子供は親の対面の為にいるのではありません。

私はそれをずっと強要して「さすが先生の娘さんですね」と言われたかったのです。ご迷惑を掛けた方に頭を下げる事を「情けない」とさえ思っていました。

問題があったのは、子供ではなく、私だったのですね。

それからは、小言や命令、強制などをできるだけやめて「あなたはどうする?」と聞くようにしてみたり「お母さんはこう思うけどどう?」のように必ず子供が自分の気持ちを言えるようにし、

本人が「こうしたい」と言うのであれば「じゃあ、そうしてみよう」とできるだけ取り入れる様に努めました。

ある時「もうお風呂湧いているから入れるけど、どうする?」と聞いてみました。

そしてその答えはなんと「今日は、お母さんといっしょに入りたいな」でした。

一緒にお風呂に入る事など幼稚園の時以来です。でもきっと娘はそんな甘えたい言葉も出せずに、気持ちを抑え隠していたんですね。

私は「そっか~、じゃあ、たまには一緒に入ろうか?」と言って、その後は一緒にお風呂に入って久しぶりにいろんな話をしました。

T君という、女子にモテモテの男の子がいる事。担任の先生の「え~っでは~」という口癖で笑っちゃうこと。ものまねをしておどけて笑う娘を久しぶりに見ることができました。

考えてみると、この頃はこうやって、笑って会話することが本当に少なくて、いつも娘の至らない点を指摘したり「早くしなさい」とせっついたり・・・。

その都度、娘は不機嫌な顔になり、娘の口数が減り、どんどん二人の間が冷めて行ったのでした。

ですが、今回、こうやってパピーさんからアドバイスを頂いて、まだほんの数か月ですが、以前の娘と全く違ってきていることを感じています。

不登校になりかけていた女の子にも「ごめんね」とちゃんと謝って、今は元気に学校に来れているようです。

パピーさんは「早くに分かって良かったんです」と言ってくださいましたが、今、本当にそう思います。

あの時、気付いてよかった。相談できて良かった。修正できてよかった・・・と。

「叱っても人は育たない」これからも私の戒めとして、子供との良い関係を保ちながら、一緒に成長していきたいと思います。

そして「先生」である事より「お母さん」であることを忘れずに過ごします。

貴重なアドバイスをありがとうございました。

ココまで・・・

娘さんが、不登校になりかけていた女の子に「ごめんね」と謝れたこと。そして今は元気に学校に来れている・・・とお聞きして「本当に良かった♪」と胸をなで下しました。

トンボさんのご報告にもありましたが、娘さんが「今日はお母さんとお風呂に入りたいな」と口にしてくれたその言葉・・・

まだまだ娘さんには素直な気持ちが残っていたし、お母さんに甘えたい、という気持があったんだな♪と嬉しく思いました。

もちろん、それを拒否することなく「そっか~、じゃあ、たまには一緒に入ろうか?」と言ってくださって一緒の時間を共有できた事も、とてもよかったと思います。

(たぶん、娘さんはかなりの勇気をもって、その言葉を発したと思いますから)

これからも、娘さんと良い関係を作ってくださいね。

頂いたお返事に“「先生」である事より「お母さん」であることを忘れずに”とありましたように、この覚悟は、今後の親子の絆にとってとても大事な言葉になると思います。

貴重なご報告とメルマガ掲載のご許可、ありがとうございました。

※ご興味がありましたら、ご覧ください。

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